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イヤな気持ちを和らげる五感を使ったマインドフルネスの実践

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イライラや不安、怒りで不安定になったり、衝動的になったりすることはありませんか?
感情に振り回されないためには、自分の心と向き合いコントロールする習慣を身につけることが大切です。

その方法をメンタルクリニック院長である須田賢太著書の『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』より紹介します。

マインドフルネスで呼吸を整える

イヤなことがあったときは、まずは呼吸で心をコントロールしましょう。呼吸は感情を安定させる身近な手段です。

マインドフルネスとは「今この瞬間」に集中すること。それ自体は、物事をよく観察するためのスキルであり、直接的に感情をコントロールしたり行動を変えたりするものではありません。

とはいえ、今この瞬間の呼吸に集中すれば、思い込みや感情に任せて行動することが減り、結果的に自分やまわりの人を守ることにつながります。

ここでは以下の3点について解説します。

  • モヤモヤしたら呼吸に意識を集中
  • マインドフルな呼吸法
  • 生活のなかの呼吸法

モヤモヤしたら呼吸に意識を向ける

友達からいやなことを言われてイライラしたり不安になったり……。強い感情に心を支配されてしまったときは、自分の呼吸に意識を向けてみてください。

自分の呼吸であれば、いつでもどこでもどんな状況でも意識して集中することができます。ひとつのことだけに集中して、心をマインドフルな状態にするうえで、呼吸はいちばん手近な方法と言えるかもしれません。

怒りなどの強い感情は、思考や行動に影響を及ぼします。衝動的な行動で人間関係を壊さないために、感情的な心と理性的な心のバランスをとり、賢い心に到達することが大切です。

それには呼吸を整えて心を安定させましょう。呼吸をコントロールすることは、感情をコントロールすることにもつながるのです。

マインドフルな呼吸法

マインドフルな呼吸法にはいくつか種類がありますが、ここでは「呼吸を数える」方法を紹介します。

  1. 床の上にあぐらをかいて座る、または椅子に座って足を床につける。
  2. 「1回目を吸っている」と意識しながら、お腹がふくらむように腹式呼吸で息を吸う。
  3. 「1回目を吐いている」と意識しながら、腹式呼吸で息を吐く。
  4. 自分の呼吸を静かに観察しながら、これを10回繰り返す。
  5. 途中で気が散り、何回目かわからなくなったら、1回目に戻る。

慣れないうちは、雑念に頭を悩ませるかもしれません。でも、そんなときは「今、心がさまよってた!」と気づけることが大切です。雑念が出てきたら、いったん流れに身を任せてから、少しずつマインドフルな状態に戻りましょう。

生活のなかで呼吸を意識する

呼吸を意識することは、普段の生活のなかでもできます。

寝る前の深呼吸は、吸うより吐く時間のほうが長くなるように意識します。

友だちとおしゃべりしているとき、パソコンに向かっているときなど、長く、静かに、均等に呼吸をしてみましょう。なにかをしながら呼吸を意識するのは難しいですが、「呼吸を意識する」ことに慣れるためにもぜひ挑戦してみてください。

イヤな気持ちに支配されて苦しいのは、今ある感情や起きてしまった現実を拒んで受け入れていないから。マインドフルな呼吸を通じて「今この瞬間」に集中し、「今この瞬間」の感情や現実を認めて受け入れることで、心が落ち着いてきます。

イヤな気持ちを五感で整える

マインドフルネスでは、呼吸に加えて感覚を意識することも大切です。
ここでは五感を研ぎ澄ませ、今この瞬間に意識を集中させる方法を解説します。

  • 「触覚」を使ったマインドフルネス
  • そのほかの感覚を使ったマインドフルネス

おすすめは「触覚」を使ったマインドフルネス

いつも感じている感覚に対しても注意深くなることで、子どもの頃のように新鮮な気持ちで「今」を感じとれるようになります。

触覚は五感の中でも新しい感覚を抱きやすく、実感も湧きやすいためおすすめです。
たとえば、以下のようなとき。

  • お風呂に水をためて足を浸す
  • ふかふかの毛布の上に横たわる
  • ペットをなでる

体を使ってどんな感覚が届いてくるか、その感覚は時間とともに変化しているか、いつもと違うところはないか、意識のすべてを集中させて丁寧に感じとりましょう。

そのほかの感覚を使ったマインドフルネス

触覚以外の4つの感覚を使ったマインドフルネスの方法を以下にご紹介します。

  • 嗅覚
  • 味覚
  • 聴覚
  • 視覚

嗅覚と味覚を使ったマインドフルネスは、言葉をほとんど必要としないので、集中しやすく、言葉がきっかけとなって過去を回想してしまう可能性があまりありません。

嗅覚は、アロマや花の香り、パンやお菓子を焼くなどでマインドフルネスを実践しやすいです。

味覚では、ひと口ずつ味わう、ちょっと贅沢なものを食べる、あめをなめるなどをします。

一方で、聴覚を使うときは、楽器演奏のみで歌詞のない音楽や、自然の音を聞くのがおすすめ。

視覚の場合は、目の前にあるものをただ観察し、分析したり予測したりしないように注意します。キャンドルの火のゆらめきを見つめたり、窓から景色や星を眺めたりするといいでしょう。

今、この瞬間に意識を集中させることが大切です。

「雑念」が出てくるときの対処法

マインドフルネスに慣れないうちは「雑念」に頭を悩ませるかもしれません。しかし、繰り返し練習してマインドフルネスを身につければ、雑念にとらわれずに実践できるようになります。

感覚に集中しているつもりが、気づいたら「明日の会議イヤだな」「さっきの投稿、反応がなかったらどうしよう」と心がさまよっていることはよくあることです。

そんなときはまず「今、心がさまよってた!」と気づくことが大切です。雑念を無理に振り払おうとする必要はなく、いったん流れに身を任せます。そして、自分に順番に言い聞かせてみてください。

  1. 「明日の会議がイヤだと思っていることに気づいている」
  2. 「とりあえず雑念に身を任せよう」
  3. 「感じている毛布の感覚に集中しよう」
  4. 「私にはできる。大丈夫」
  5. 「私は今、なにに触れて、どんなことを感じている?」

そうして少しずつマインドフルな状態に戻ってくるのです。慣れればより早く戻ってこられるようになり、いずれは心をさまよわせることなくマインドフルネスを実践できるようになります。

まとめ

マインドフルネスの状態になれば、なにか起きたときに、とっさに浮かんだ考えを鵜呑みにせず、その物事をただ体験することができます。思い込みで判断したり、感情に任せて行動したりすることが減り、結果的に自分やまわりの人を守ることにつながるのです。

ぜひマインドフルネスを実践して、自分の心をコントロールできるようになりましょう。

メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』では、感情的に不安定になったり、衝動的になったりするのではなく、自分の心をコントロールできるようになる30の行動リストを4コママンガとともにお届けしています。

今に集中して、毎日をもっと楽しみましょう。


メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習 著:須田賢太 / マンガ:まるいがんも

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