友達や恋人に相手にされない、同僚は後輩の指導をしているのに自分は通常業務もままならなくて上司から呆れられているといった状況から、「誰からも必要とされていない気がする」「自分は生きている価値がないのではないか」と思っていませんか?
誰からも必要とされないと感じて辛くなるのは、他者評価が自己評価に直結していたり自己肯定感が低くなっていたりすることが関係しているとされています。今回は、須田賢太著書の『』をもとに、誰からも必要とされないと感じて辛い状況から脱するための方法を紹介します。
周りの人から必要な存在だと認められたい、大切に扱われるようになりたいと思っている方は、参考にしてみてください。
目次
「誰からも必要とされない…」孤独で辛い気持ちになる原因
「誰からも必要とされない」と感じて辛い気持ちになるのは、主に次のような出来事が原因とされています。
- 依存相手を失った
- いじめを受けている
- 頑張っているのに仕事で結果が出ない
- 雑用ばかりで仕事にやりがいを感じられない
ここでは、各項目について詳しく解説します。
依存相手を失った
誰からも必要とされないという気持ちは、依存していた相手がいなくなったと感じたときに起こりやすいとされています。たとえば、以下のようなときです。
- 友達や恋人は自分から連絡しないと何も連絡してこない
- 任せてもらった業務で失敗してから、上司が別の人に仕事を頼むようになった
- 期待してくれていた上司を裏切るような行為をしてしまい、話しづらくなった
- 友達が結婚・出産して、夫(妻)との時間を大切にし始めた
誰からも必要とされないと感じる方は、相手に必要とされることで自分に価値を見出しているケースが多いです。そのため、相手から頼りにされなくなったと感じ始めた途端「自分はもう相手から必要ないと思われたのだ」と思ってしまうのです。
いじめを受けている
学校や職場などでいじめを受けている方も、「自分は必要とされない人間だ」と思い込みやすいです。
同級生から「お前は必要ないんだよ」という言葉を浴びせられたり、上司から理不尽に怒られたりする日々が続くと、自分は必要のない人間なのだと錯覚し始めてしまいます。そのため、学校や職場の人間関係が良好かどうかは孤独感や無価値感に陥らないために非常に重要な要素なのです。
頑張っているのに仕事で成果が出せない
毎日残業をしたり休日を返上したりして仕事を頑張っているのに思うような結果を出せない場合、徐々に自己評価が低下していきます。さらに周囲からも評価されないため「自分は会社に必要ない存在なのではないか」「いない方がよいのではないか」と感じるようになってしまいます。
雑用ばかりで仕事にやりがいを感じられない
同僚は新しい業務をどんどん任されているなか自分は雑用ばかりこなしている場合、仕事へのやりがいを見い出しにくいです。
自分がいなければ回らないチームやシステムに携わっているのであれば、仕事上での自分の必要性ややりがいをわかりやすく認識できます。しかし、そうではない環境にいる場合には「何のために仕事をしているのかわからない」「自分はこの会社にいなくてもいい存在なのではないか」と思い悩んでしまうことも。これにより、辞職に至るケースも少なくありません。
誰からも必要とされないと感じて辛くなってしまう理由
ここまで、誰からも必要とされないと感じる原因についてみていきました。しかし、同じような境遇でも気にせず楽しく生きられている方もいます。では、「誰からも必要とされない」と辛くなってしまっているのはなぜなのでしょうか。
他者評価で自分の価値を決めている
最も大きな理由は他人からの評価をもとに自分の価値を推しはかっているからです。他者から相談されたり、たくさんの仕事を任せられたりと他者から必要とされているのが明らか場合にはとくに問題なく過ごせます。
しかしミスをして上司の期待を裏切ってしまったり、少し人間関係がもつれたりして他者から頼りにされなくなった場合、「自分は必要とされていない」と思い込んでしまいます。他者評価がそのまま自己評価に直結しているので、他者から必要とされていない自分には何も価値がないと辛くなってしまうのです。
自分を必要としてくれる人に依存したい気持ちがある
誰からも必要とされないと感じる方は、自分を必要としてくれる他者に無意識に依存してしまう傾向があります。
自分を認めてくれる方、感謝・好意を向けてくれる方がいるときは精神的に安定していますが、そのような方がいなくなってしまった場合「誰も自分を必要としてくれないし、私はいらない存在なんだ」と不安定になってしまうのです。
そのため依存先は複数に分散させておくか、自分軸で生きられるよう徐々に変えていくのが大切です。
承認欲求が満たせていない
誰からも必要とされないと感じたときに辛くなる方は、承認欲求が強いケースも少なくなりません。承認欲求とは誰しもが持っている基本的欲求のひとつで、誰かから認められたい、自分を価値のある存在だと思ってほしいという気持ちを指します。
そのため、他者から頼りにされたり褒められたりしたときには「自分には価値がある、自分は必要とされている」と感じてとても満たされた気分になります。しかし、物事がうまくいかず周囲からも評価されなくなった途端、「誰にも必要とされない自分は生きている価値がない」「自分はいらない存在なのだ」とネガティブな感情に支配されてしまうのです。
自己肯定感が低い
自己肯定感の程度は、誰からも必要とされないと感じたときの辛さの度合いに影響します。自己肯定感が低い方は、できていることよりもできていないことに目を向けてしまうケースが多いため、「自分は何もできない」という無能感に陥りやすいです。
他者から「ちゃんとできている」といわれても自己評価が低いため、他者からの良い評価を受け止められずにお世辞なのではないかと思ってしまいます。
さらに、自分に自信がないため仕事や人間関係などすべてにおいて主体的に行動できず、重要な仕事を任せてもらえなかったり、気の置けない友人や恋人ができなかったりすることも。そのため、誰からも必要とされない人間なのだと思い込みがちです。
「誰からも必要とされない…」そう感じたときに試してほしい3つの対処法
誰からも必要とされないと感じる方は、他者評価を大事にしています。そのため、他人の言動・態度に振り回されているケースが多いです。また、自己肯定感が低くなっている方も多く見受けられます。そのため、辛い気持ちを軽減するには自己肯定感を上げたり自分軸を持ったりすることが大切です。
ここでは「モヤらない練習」から、今すぐできる自己肯定感を上げる方法や自分軸を持つために必要なことをピックアップして紹介します。
自分の価値観を思い出す
他人の言動や態度に振り回されたり、他人の気持ちを最優先にして行動してしまったりする方は自分の価値観を思い出す作業を行うと効果的です。自分の価値観に従って生きられるようになると、他者評価がそこまで気にならなくなります。
そのため、価値観を大切に生きるだけで誰からも必要とされなくて辛いといった気持ちの改善が期待できます。
自分の価値観は、次の4つの質問に答えることで思い出すことが可能です。
- 以前の私は、どんな理想の人生を思い描いていた?
- 日頃からいちばん大切にしていることは?
- どんな人間になりたい?
- 人生で成し遂げたいことは?
価値観は、自分がほかの誰でもない自分であることを教えてくれる大切なものです。質問に答えて大切にしたい価値観がわかったら、阻害要因となる人間関係や環境の見直しをしましょう。
今まで他者評価を大事に生きてきた方にとって、人間関係の見直しは非常に難しいことでしょう。しかし良い人間関係は、お互いの価値観を大切にしながら付き合い続けられるものです。
これからも関係を続けていきたい方には自分の価値観を伝え、お互いの価値観を大切にしながらの付き合いが可能かどうか話し合いましょう。
「ごめん」を「ありがとう」に変換する
恋人や友達などに約束をドタキャンされたり、イライラした態度を取られたりして自分は大切にされていないと感じることはないでしょうか。相手からそのような態度を取られても、仕方ないと我慢ばかりしていると自己肯定感がどんどん下がっていってしまいます。そのため、自分を大切にしない相手との関係は見直さなければなりません。
相手から雑な対応を取られるのは、上下関係があると錯覚しているからです。相手の方が上であると認識して接していると、相手も勘違いして横柄な態度に出やすくなってしまいます。
このような上下関係ができてしまう大きな理由のひとつに、過度な謝罪が挙げられます。相手に何かしてもらったとき、「ありがとう」ではなく「ごめん」と言っていないでしょうか。「ごめん」は、相手に対して悪いことをしたときの謝罪に用いる言葉です。
謝罪が必要のない場面で多用していると、相手との間には上下関係があるかのように錯覚してしまいます。自分の用事に付き合ってもらったとき、間違いを指摘してもらったときなど相手に何かしてもらったときは申し訳ないという気持ちを抑えて、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
断定しない
断定しないことは、感情コントロールに効果的とされるマインドフルネスの手法のひとつ。マインドフルネスとは、「今この瞬間」に集中するためのスキルのことです。「今」に注意を向けることで、強い感情にも振り回されずに済むようになります。
「誰からも必要とされない…」と辛い気持ちを抱え込んでしまう方は、物事を悲観的に捉えがちです。ここで、恋人が自分にあまり連絡してくれなくなった状況を想像してみてください。
このとき「自分にもう気がなくなったんだ、別に好きな人ができたんだ」と捉え、自分は必要なくなったと思ってしまう方もいるでしょう。しかし、それが事実かどうかは本人に聞かなければわからないはずです。
本当は仕事が忙しくなってしまっただけなのかもしれないし、もともと連絡ツールは日程調整や用事があるときに使用するものと認識しているため連絡を取らないだけなのかもしれません。相手の気持ちは相手にしかわからないため、自分のなかで「こう思っているはず」という断定はしないようにしましょう。
まとめ
今回は、誰からも必要とされないと感じる原因から対処法まで詳しく解説しました。他者評価で自分の価値を決めていたり、自分を必要としてくれる相手に依存したい気持ちがあったりする場合、誰からも必要とされていないと思い込みやすいです。
この状態から脱出するためには、断定をやめること・自分の価値観を思い出すことなどが効果的とされています。
須田賢太著書の『』には、記事内で紹介した方法のほかにも誰からも必要とされないという思考から抜け出して楽しく生きられるようになるヒントがたくさん詰まっています。自分に自信を持ちながら周囲の方達と対等で良好な人間関係を形成したい方は、本書をじっくりと読んでみてください。