認知科学で変わる!ビリギャル式「英語脳」の作り方

英語が最速で話せるようになる方法

#連載エッセイ
#認知科学で変わる!ビリギャル式「英語脳」の作り方
この記事は書籍『 私はこうして勉強にハマった 』の関連コラムです。

「英語ムリ…」は思い込みだった?──“心のメガネ”を磨こう!

いきなりですが、質問です。
最近いつ、「ムリ!!」と思いましたか?
どんなときに、誰の前で、何に対して思いましたか?
ちょっと思い出してみましょう。
では、その「ムリ!」は、なんで「ムリ!」だったんでしょうか。
そこにはどんな根拠があったのでしょうか?
どうして私たちは、やったこともないのに、たいした根拠もないのに、「ムリ!」と決めつけて思い込んでしまうのか──?
その思い込みが、知らず知らずのうちに、
わたしたちの未来にどんなふうに影響を与えているのか?
今日のテーマは「努力の前に、認知をチューニングせよ!」です。

認知は、心のメガネ👓️

英語学習で一番厄介なのもズバリ、「自分には英語ができない」という思い込みです。
「認知」というのは、「心のメガネ」だと思ってください。
なんとこのメガネ、人それぞれ違っているんです。
なぜなら、私たちはこれまでの人生で見聞きしてきたすべてのこと──

たとえば、お父さんやお母さんの口癖、初めて行った修学旅行のワクワク、
読んだ本、観た映画や漫画、信じてきた宗教や、育った地域、通った学校の雰囲気……
こうした“体験のすべて”から、知らず知らずのうちに影響を受けて、
それぞれ自分だけの「認知のメガネ」を形づくっているからです。

さらに、私たち人間は、毎日、目や耳などから色んな情報をインプットしています。
それらの情報を処理するときにも、このメガネが使われます。
このメガネを通して、「解釈」をしているわけです。
この認知が違うと、同じものを見たり聞いたり体験したりしても、感じ方が違う。
人によってはうれしい!と感じる出来事が、違う認知のメガネを持った人には、傷つくような体験になったりする。

たとえば、誰かから「ここ、もっとこうしたほうがいいんじゃない?」と言われた時、
「あ、これは成長のチャンスだ。ありがたいアドバイスだな」
と受け取る人もいれば、
「ダメ出しされた…やっぱり自分は能力がないんだ」
と受け取る人もいる。
あるいは職場の上司から大事なプレゼンを頼まれた時、
「こんな大事なプレゼンを任されるなんて、私期待されてるんだわ! これはチャンス!絶対成功させてやる!!」
と、受け取る人もいれば、
「どうしよう、こんな大事なプレゼンで失敗したら評価が下がっちゃう……。どうして上司は私に頼んだんだろう。もしかして、評価を下げたくて意地悪されたのでは……!!」
と受け取る人もいる。
人それぞれ「受け取り方」が違うのは、人それぞれ「認知の違い」があるからです。
ここで重要なことは、どっちの受け取り方の方がよりテンションが上がって、より良いパフォーマンスを発揮しやすいか? ということです。
明らかに、前者の人のほうがきっといっぱい努力して準備するだろうし、準備段階で色んな人からもらうフィードバックをどんどん活かして、プレゼンをブラッシュアップしていけそうですよね。

そう、このように「認知のメガネ」によって、人は「感情」が変わり、「行動」が変わり、そして「結果」まで変わってしまうのです。

英語学習の話に戻りましょう。
日本人の英語学習の壁になっているのが、「マインドセット」だと前の記事でお話しました。失敗したくない、間違えたくない、恥をかきたくない……という日本人の保守的なマインドセットは、第二言語習得においては足を引っ張っている厄介な存在です。

そこでまず、みなさんにこの「ネガ認知」を変えてほしいのです。でないと、今後お話する英語学習法が全く意味なくなってしまいます。「絶対無理!」と思っている人に行動を変えさせること、努力を続けさせることは、ほぼ不可能だからです。

だから、英語ができるようになるためには、まず「私はできる! やってやるんだ!」という認知を持つところから始めてもらいたいのです。

認知のワナ:あなたの“脳”が勝手に作ってる「できない物語」

私たちの脳は、「自分が信じていること」を証明しようとする性質があります。
これを心理学では、「確証バイアス」と呼びます。

例えば、「私って人見知りなんだよね」という自分に対する認知バイアスを持っている人は、自分が人見知りをしている場面ばっかりをよく覚えている。
そのバイアスにそぐわない場面、例えば、あなたが初めて会った人とすぐに打ち解けた経験とか、困っている人にさっと声をかけた経験とかは、「人見知りなんだよね」に合わない情報や経験なので、あまり思い出されない傾向にあります。

同じように英語でも、「私は英語が苦手だ」という認知バイアスを持っていると、英語のテストでひどい点数をとったこととか、外国人に声をかけられてビビっちゃってなにもできなかったこととか、そんなんばっかりが思い出される。これはすべて「確証バイアス」という現象です。
つまり、私達が持っている「思い込み」のほとんどはただのバイアスで、あんまり根拠がないものが多いんですね。

英語が「できる人」と「できない人」?🙆🙅🙆‍♀️🙅‍♀️

そもそも、「英語ができる/できない」って二択じゃないです。
生まれつき、「英語できる人」と「できない人」に分かれて生まれてくるってこと? そんなわけなさすぎますよね。
ピアノや水泳と同じで、「今はこのくらい」「これから上手くなれる」というスキルの成長段階にすぎない。
子どもが「自転車にまだ乗れないから、私は乗れない人間だ」って言ってたら、大丈夫だよ、練習したら乗れる人間の仲間入りできるよって、声かけますよね?
同じことを、自分にもしてあげてほしいんです。

“できない自分”は今だけの姿です。未来永劫続くわけじゃないよ。

「できる人=特別」じゃない。全員が最初はゼロから🏁

英語を話せる人って、「もともと語学の才能がある特別な人」だとどこかで思い込むのはやめましょう。

私だって、高校2年生のとき、Saturdayが何曜日かもわかんないところからのスタートで、この時点では「英語超キライできない人間」だった。中学1年生から英語の授業が始まったけど、英語なんてできなくても困んねえし! と開き直って無視し続けて5年くらいが経っていました。

でも、坪田先生と慶応を目指すことになって、超基礎の単語を毎日30個ずつ暗記して、中1の英文法からコツコツやって、ちょっとずつ「できた!」を積み上げていったら、慶應義塾大学の文学部のクソむずい長文読解が解けるようになって、この頃には「英語別にキライじゃないしまあまあできるかも人間」に成長したわけです。
※詳しいいきさつについては映画「ビリギャル」をご覧ください。

「特別な人ができる」んじゃなくて、「やってたら、できるようになる」だけ。
だから、あなたが今「できない」と思っているのは、“やってないだけ”かもしれないよ、ってことです。