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人と関わるのが怖いと感じる原因とは?改善につながる対処法も紹介

メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習
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「あの人と仲良くなりたいけれど、裏切られるのが怖くて踏み込めない」「人を信用できなくて、誰にも自分の本心を伝えられない」など、人と関わることの怖さから思うような人間関係が築けないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

人との関わりが怖いと感じてしまうのは、いじめやパワハラ、親子関係など過去に体験した出来事が関係しているとされています。今回は、須田賢太著書の『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』から、人と関わるのが怖い気持ちの改善につながる対処法をピックアップして紹介します。

怖い気持ちに支配されずに良好な人間関係を築けるようにしたい方は、参考にしてみてください。

人と関わるのが怖いと感じる主な原因

人と関わるのが怖いと感じるのは、過去に体験した出来事が関係しているとされています。たとえば、以下のような経験をした方は人との関わりに恐怖を感じやすいです。

  • いじめや虐待などのトラウマ
  • 学校や職場などで激しく叱責された
  • セクハラ・パワハラを受けた
  • 幼少期に親から認めてもらえなかった など

ここでは、人と関わるのが怖くなる原因について詳しく解説します。

いじめや虐待などによるトラウマがある

幼少期のいじめや虐待は、トラウマになる可能性が高いです。トラウマになると二度と同じ思いをしたくないという気持ちから、当時と似たような場所・状況・人を避けたり他者に対する警戒心が強くなったりします

また、自分が体験した出来事を否定的に捉えやすいという傾向もあります。たとえば、雑談をしている5人組を見かけたとしましょう。このとき5人はたわいもない会話をしているだけなのですが、いじめを受けた経験のある方は、「自分の悪口を言っているのではないか」などと良くない想像をしてしまいがちです。

不機嫌な人を見て、自分のせいで気分を害しているのではないかと委縮してしまうこともあります。このように、人がいる場に行くと「自分のせいだ」「自分を悪く言われている」といった考えが浮かんでくるため、他者との関わりを避けるようになります。

学校や職場などで激しく叱責された経験がある

学校や職場で激しく叱責された経験も、人との関わりに怖さを感じる原因のひとつ。他者が見ている前で怒鳴られた、理不尽に怒られたといった体験は強烈に嫌な記憶として残ってしまいます。

これにより、人と関わるときには常に「怒られるのではないか」と思い他者の顔色を伺いながら過ごすようになります。相手の機嫌を損ねないことを重要視するあまり、偽りの自分を演じて苦しい思いを抱えることも。このようなことが日常的に繰り返されるのですから、人との関わりが怖くなるのも無理はありません。

セクハラ・パワハラを受けたことがある

パワハラやセクハラにより、人との関わりが怖くなることもあります。

  • パワハラ:強制的に残業をさせられる、飲み会への参加を強要される、抱えきれない仕事を押し付けられる など
  • セクハラ:彼氏の有無を何度も聞かれる、女のくせに(男のくせに)といった言葉を投げかけられる など

パワハラやセクハラをする人は、大抵自分よりも立場が上の人。そのため、反抗的な態度を取れないうえに他者にも相談できない状態になりやすいです。

さらに、加害者側はセクハラやパワハラをしている自覚がないケースが多いとされています。本人は指導や遊び心で接しているつもりのため、社内でも問題として認知されにくい傾向にあります。

これにより、被害者側は一人で追い詰められてしまい辞職に至るケースも少なくありません。そして環境を変えた後も、また同じような体験をするのではないかという不安から人と関わるのが怖くなってしまうのです。

自分のコミュニケーションに対して自信が持てない

コミュニケーションに関して自信がないことも、人との関わりを怖く感じられてしまう大きな原因です。

コミュニケーションに自信が持てないのは、幼少期の親との関係が要因のひとつとされています。子どもの頃に親から褒めてもらえなかったり理解してもらえなかったりした経験がある場合、他者とのコミュニケーションにおいて「どうせ自分は理解してもらえない」「人に話したら拒絶される」という思考になりやすいです。

相手に自分の本心を伝えられないため、いつまでも他者と深い関係値を築けません。そのため、人との関わりを嫌うようになります。

自分と他者の境界線が曖昧になっている

人と関わるのが怖いと感じている方は、自他の境界線が曖昧になっていることも多いです。上司からミスを指摘されたとき、自分自身を否定されたように感じたことはないでしょうか。そのような気持ちになるのは、自他の境界が曖昧になっている証拠です。

自分と他者の境界線が曖昧な状態では、他者の言動や態度に振り回されやすく傷つきやすいです。そのため、人と関わるのが怖くなってしまいます。

人に嫌われるのを恐れる気持ちが強い

嫌われたくない思いが強いと、自分の気持ちを抑えこみ周囲の意見に合わせてしまいがちです。そのため自分が本当にしたいと思っていることができなかったり、他者からの頼み事を断れずに大きな負担を抱えてしまったりします。

しかし「断ったら嫌われる」「私なんかが意見を言っていいはずがない」と自分の気持ちを伝えるのに怖さを感じ、誰にも本心を伝えられません。そのため日に日に疲弊してしまい、人との関わりを避けたいと思うようになってしまいます。

人と関わるのが怖い気持ちを改善!「マインドフルネス」を習得しよう

人と関わるのが怖い気持ちを軽減するには、「マインドフルネス」の習得が役立ちます。マインドフルネスとは、今この瞬間を生きられるようになるためのスキルです。弁証法的行動療法(DBT)の基本となるもので、身に付ければ自分で自分の感情をコントロールできるようになります。

人と関わるのが怖い方は、過去の体験から生じるネガティブな感情に振り回されているケースが多いです。そのため、マインドフルネスを身に付けて感情をコントロールできれば、人との関わりも今より楽にできるようになります。

ここでは、須田賢太著書の『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』からマインドフルネスを身に付ける方法をいくつか紹介します。

自分の心の状態を把握する

まずは、マインドフルネスのベースとなる「心の状態把握」から始めましょう。ここで、以下の状況にいる自分を想像してみてください。

恋人が他の異性と話しているのをたまたま目撃した。楽しそうに話す恋人を見て「もしかして浮気?」と疑念や不安が湧き上がりモヤモヤしている。

まずは、実際に目の前で起こっていることに意識を向けます。たとえば「恋人は他の異性と話している」「私は今、不安と疑いで心臓がバクバクしている」といった形です。

その後、今起こっていること・自分の中に湧き上がっている感情を実況中継しましょう。「楽しそうに話している二人を見て、怒りがこみあげてきた」といった具合です。このとき、「私といるよりも楽しそうだから、もう私のことを好きじゃなくなったんだと思う」など事実かどうかわからない思い込みを混ぜないように注意します。

最後に、自分の感情をまるごと認めてあげましょう。今の気持ちになっているのが悪いことのように感じたら「この気持ちは感じていていい」「この気持ちを抱えているのは悪いことではない」と言い聞かせるとよいです。

最悪と最高のシナリオを用意する

起きた出来事に対して、最悪と最高のシナリオを用意するのもおすすめです。たとえば、恋人が他の異性と話している状況を見て浮気を疑ってしまったとき。最悪のシナリオは、「恋人は浮気をしている」となります。

これに対し、最高のシナリオを考えましょう。たとえば「私への誕生日プレゼントを相談しているのかも!」といった形です。最高のシナリオの内容はこれなら相手を許せるどころか、むしろ嬉しいと思えるものにするのがベストです。

最悪と最高のシナリオができたら、最後に現実的なシナリオを考えます。「恋人は相手の女の子に話しかけられたから、ただ話しているだけかも」といったように現実的なシナリオを考えることで、最悪・最高のどちらも極端な回答であったことが客観的に把握できます

グレーのままにする

物事に対して白黒はっきりさせたいと思ったとき、あえてグレーのままにしておくのも大切です。

たとえば、友達に連絡をして返信はしないのにSNSが更新されているのをみたとします。このとき「SNS更新できるなら返信できるじゃん!」と怒りの感情にまかせて催促の連絡を入れたり、「そういえばこの間も……」と過去の出来事を掘り返してさらにイライラしたりすることはないですか?

これは「連絡はできる限り早く返すべき」という自分の中の物差しで判断してしまっていることが原因。友達は今よりもっと落ち着いているときにゆっくりと返事を考えたいのかもしれないし、返信はいつでも良いと考えるタイプなのかもしれません。

何事に対してもどちらかが正しくてどちらかが間違っているというように白黒つけるのではなく、グレーの状態に身を置けるようになると人との関わりも今より楽にできるようになります

「これはこれでよかった」と起きた出来事を徹底的に受容する

仕事でミスをして怒られたとき「あの時、一度上司に確認しておけばよかった」と過去の行動を思い返して後悔することもあるでしょう。反省は大事ですが、長い間後悔しているとそれは徐々に苦悩へと変わってしまいます

苦悩は、自分が負った心の痛みを拒否したときに生まれるもの。苦悩から解放されないと、これからに目を向けられずに同じミスを繰り返してしまいやすいです。ミスを繰り返すと上司などから怒られることが増え、より人と関わるのが怖いと感じてしまう可能性があります。そのため、どんな悪い出来事も「これはこれでよかった」と認めてあげることが大切です。

感情に支配されそうになったときは呼吸を意識する

ネガティブな感情に支配されそうになったときは、呼吸の仕方に意識を向けてみましょう。呼吸に集中できるようになると、「今この瞬間」の感情や現実を受け入れやすく強い感情にも容易に振り回されないようになります。

ここでは、回数を数えて呼吸に集中する方法を紹介します。

  1. 床にあぐらをかいて座る、もしくは椅子に座って床に足をつける
  2. 腹式呼吸で吸いながら「一回目を吸っている」と意識する
  3. 腹式呼吸で吐きながら「一回目を吐いている」と意識する
  4. 2~3を10回繰り返す
  5. 途中で他の物事に意識が向いてしまった場合には1番目に戻ってやり直す

『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』には、上記で紹介した内容以外にもマインドフルネスを身に付けるための効果的な方法がたくさん紹介されています。より詳しい内容を知りたい方は、ぜひ読んでみてください。

まとめ

今回は『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』から、人と関わるのが怖いと感じる気持ちの改善に効果的な手法を紹介しました。人との関わりに怖さを感じるのは、いじめや虐待、パワハラなど過去の体験が大きく関係しています。ただ、人が怖いという気持ちは物事への捉え方を変えていくことで改善可能です。

本書を読んで人と関わるのが怖い気持ちを軽減し、人間関係を上手に構築できるようにしていきましょう。


メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習 著:須田賢太 / マンガ:まるいがんも

メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習

著:須田賢太 / マンガ:まるいがんも
定価:1,250円(税込1,375円)
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