相手の気持ちを操れれば様々な「人間関係」で優位に立てる!
長い海外生活でアウトローとの「心理戦」を戦い抜いてきた著者が、メンタリズムとギャングの知恵をあわせた心理テクニックを紹介。流行の行動心理学よりも、効果的です!
みなさま、はじめまして。メンタリストでビジネス心理術の専門家、ロミオ・ロドリゲス Jr.です。
私は普段、「相手の心を読み取り、操る」心理テクニック(=心理術)を、ビジネスの現場で活用していただくのを仕事にしています。
具体的には、ビジネスパーソンに心理術のノウハウを伝えるセミナーをしたり、2010年には香港大学で「メンタリズム」の講義を行なったり。2015年には、心理術に精通した後進育成のために、「一般社団法人日本マインドリーディング協会(JMRA)」を立ち上げました。
そんな私が、このたびサンクチュアリ出版より、最新刊『気づかれずに主導権をにぎる技術』を発売することになりました。
目次
「ギャング」と「心理学」に学んだ
最強のテクニック
自分で言うのは少々気恥ずかしいのですが、本書には、他の心理術の本にはない強みがあると思っています。それは、私の生まれ育った特殊なバックグラウンドに関係があります。
1972年に香港に生まれ、イギリス、カナダ、日本と移り住む中で、私は「アウトロー」と呼ばれる人々と関わりを持つようになりました。私自身がカナダでカジノのディーラーをしていたころ、仕事柄どうしても避けられず、地元のギャングたちとの交流が生まれたのです。
ときには、彼らとトラブルになったこともありました。そこで役立ったのが、「気づかれずに主導権をにぎる技術」です。
1つ対応を間違えたら、どんな目にあわされるかもわからない。そんな過酷な環境で、私は命がけで「相手の心を読み取り、操る」技術を磨いたのです。
メンタリストとして「心理学」から学んだ知識、カジノディーラーとして「ギャング」から学んだ知恵、それらを合わせて、私はきわめて実践的な心理術を築き上げました。
このテクニックで「主導権」をにぎりさえすれば、上司や部下、取引先やお客様、恋人や気になるあの人まで…、あらゆる人間関係において、相手を自分のペースに巻き込め、思いのままにできるのです。
このコラムでは、本書から厳選した、ビジネスの現場で使える心理術のエッセンスを4つ紹介します。ぜひ、ご覧の上、ご活用ください。
(男女の駆け引きで使える心理術については、本で確認してみてくださいね)
「主導権」をにぎれたら、ビジネスが一気にラクになります。
「ワーディング」を使って
上手に根回しを行なう
はじめに紹介するのは、自分の提案になかなかイエスと言ってくれない、上司を攻略するための心理術です。
ガンコな上司相手には、「ワーディング」と言われる心理術を使いましょう。
ワーディングとは直訳すれば「言い回し」を意味し、相手を自分の希望する方向に、言葉によって誘導することです。
たとえば、あなたが社内である提案を通したいとしたら、上司に対して、次のようなワーディングを駆使してください。
「社長がこの提案は筋がいいとおっしゃっていたのですが、部長はどう思いますか?」
シンプルなテクニックではありますが、これほど効果的なものはありません。
もし、あなたがそんな上層部の人間とはコネクションがないというのなら、知人を総動員するなりして、100人くらいにアンケートをしましょう。
「部長、100人強にアンケートを行なったのですが、そのうち90パーセントはこの商品が欲しいそうです。部長、この人数の多さをどう思いますか?」
こう言われたら、相手も簡単に否定はできません。
もし、あなたがどうしても通したい提案があるのなら、変に上司にゴマをするよりも、ワーディングを駆使して根回しをしたほうが、提案の採用率が飛躍的にアップします。ぜひ試してみてください。
部下に無理めな目標を達成させる
「ピア・プレッシャー」
次に紹介するのは、部下に対して少々ハードな目標を押しつけるときに使える心理術。その名も「ピア・プレッシャー」と言います。
ピア・プレッシャーとは、仲間や同僚からの心理的な圧力を意味します。日本の企業にありがちな、付き合い残業もピア・プレッシャーの一種と言えるでしょう。
たとえば、通常なら1か月で6、7件の契約をとれればOKという商品を扱っている営業部があるとします。そこで部下に、何とか月10件の契約をとらせたいという場合、次のようにピア・プレッシャーをかけてみましょう。
「他の営業部の話だが、先月は20件の契約をとった人間が6人もいる。君にはぜひ15件の契約をとってきてほしい。ただ、たしかにハードルは高いから、最低でも10件。どうだ、難しい話じゃないだろ」
このように、他の人ができているんだから、あなたもできるよね、という圧力をかけるわけです。
ポイントとしては「まわりができているから」と言って同調を促すこと。そして、最初にあえて目標を高めに設定しておいて、そこから本来の数字にまで落とすこと。
この2点を意識することで、強力な圧力をかけつつも、こちらが譲歩までしたように見せることができます。
例に出した以外にも、私たちのまわりには、ピア・プレッシャーがあふれています。知らず知らず、あなた自身がその圧力に押し潰されないように、十分注意をしてください。
「言葉」だけでも、強力な圧力がかけられます。
取引先に面倒なことを頼むなら
「ドッグラン」を使え
ビジネスの世界では、ときには厳しい要求や手間のかかるお願いを、取引先にしないといけません。そんなときに使える心理術が、この「ドッグラン」です。
これは一言で言うと、相手に「ごほうび」を提示するということ。
ようは、ドッグレースの犬の前にぶら下げる肉のようなものです。日本では「馬の前にニンジンをぶら下げる」と言えばわかりやすいでしょう。
たとえば、急に取引先に製品の注文数を100ロット追加しなければならない、だが先方がその納期に間に合いそうにないという場合、この心理術を用いて、次のように交渉します。
「じつは、うちと関係のある会社が、今度そちらに新たに発注を予定しているのです。ただ、今回の納期に間に合わないと、多分その話もなくなるかと……。どうしても間に合わないのなら、何とか下請けの方にでも協力いただき、間に合うようにしていただけませんか? 新しい取引を逃すのはもったいない話ですし……」
何なら、これは架空の話でも構いません。
あとになってから「じつはあの話が先方の都合でなくなってしまって……」と言えばいいだけの話です。
もちろん、それでは良心が痛むという人もいるでしょうし、あまり多用すると、築いてきた信用を失います。
どうしても、というときだけ使ってほしいテクニックです。
結論をなかなか出さないお客様を
即決させる「二者択一」の力
「失敗したくないから」「自分に自信がないから」「情報が不十分だから」
などの理由で、なかなか結論を出せない人っていますよね?
こういう人がお客様だと、セールスに時間がかかり、イライラしたりするものです。
そこで、活用してほしいのが「二者択一」の力。
本当は他に選択肢があったとしても、選択肢を2つに絞ることで、相手の決断の時間を大幅に縮めることができます。
しかも、ここでは、よりパワフルな「二者択一」を相手に強いる心理術をお伝えしましょう。
通常の二者択一では、決断をしない人に対して「AかBか」を迫ります。この上級編として、「具体的なA」と「抽象的なB」の2つを相手に提示しましょう。
このとき、あなたが選ばせたい選択肢を、「具体的なA」にするのがポイント。人間は、具体性のあるほうがよりよいもの、正しいものであるように感じます。いっぽう、抽象的な選択肢に対しては、疑心暗鬼になるわけです。
たとえば、あなたが仮にビデオカメラを売りたい場合、具体的な「4K高画質で829万画素、光学20倍ズームで撮影が可能なカメラ」と、抽象的な「いま40代の人がよく使うカメラ」の両方を、お客様に売り込みます。
同じような価格帯なら、よほどのことがない限り、具体的に紹介したカメラをお客様は選ぶでしょう。
このように「数字」やそれ以外の「事実」をもとに具体的な提案をしてください。他の心理術同様、相手を知らず知らずのうちに操る強力なテクニックです。
私の最新刊、『気づかれずに主導権をにぎる技術』には、このような「主導権」をにぎる心理術を53個、収録しています。ぜひ、あなたの人間関係を一変させる武器を手に入れてください。