仕事

「何もできない自分が嫌い」無価値感で苦しい状態から脱するためにできること

メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習
#仕事

仕事や他者とのコミュニケーションなどさまざまな面において「自分は何もできない」と感じ、生きるのが辛くなっていませんか?周りの人が当たり前のようにしていることができなかったり、恋人や友達に雑に扱われたりして「自分は何も価値がない人間なんだ」と思ってしまうこともあるでしょう。

しかし、「自分は何もできない」というのは誤解です。何もできないと思っている方でも、考え方や物事への捉え方を少し変えるだけで今の苦しい状況を打破することができます。

今回は、須田賢太著書の『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』をもとに、何もできない自分から脱するための方法を解説します。何もできない自分に嫌気が差している、自分に自信を持てるようになりたいという方はぜひ参考にしてみてください。

「自分は何もできないダメな人間…」と無価値感に陥ってしまう原因

自分に対して「何もできないダメな人間だ…」と感じてしまうのは、自分が思い描く理想と現実の差が大き過ぎるためといわれています。ここでは、無価値感に陥ってしまう原因について詳しく解説していきます。

白黒思考で物事を判断している

1つ目は、白黒思考で判断するクセがついていること。白黒思考とは、物事をできる/できない、悪い/良いなど白黒はっきりさせようとする考え方です。幼少期にテストで100点を取ると親に褒めてもらえるけれど、それ以外の点数だと出来ていない部分を指摘されて怒られたり呆れられたりした体験のある方に多くみられます。

このような方は大人になってから何事も0か100かで考えやすい傾向にあり、少し失敗しただけで「自分にはできない」と思ってしまいがちです。そのため、無価値感に陥りやすいとされています。

完璧主義になっている

完璧主義の方は、何事も「100点の状態でこなさなければならない」「手を抜くことなどあってはいけない」と考えて行動します。責任感が強く妥協しないのは非常に良いことですが、このような考え方を繰り返し行っていると白黒思考になりやすいです。

いくら完璧にしようと思っていても、完璧には進まない物事もたくさんあります。そんなとき、完璧主義では「自分はダメな人間だ」「自分は本当に何もできない人だ」と責めてしまいやすいです。いつでも完璧にできる方は存在しないため、思うようにいかなかったときも自分の頑張りを認めてあげられるようになりましょう。

失敗を過度に恐れる

物事を始める際、失敗はつきものです。しかし、失敗に対しての恐れが強いと物事に挑戦するハードルがとても高くなってしまいます。興味のあることでも「自分には無理かもしれない」と感じたら、失敗を恐れて挑戦しません。そのため、なかなか新しいことを始められず、他者と比べて自分は何もできることがないという状態に陥りやすいです。

失敗を恐れるのは、周りからの評価を気にしている方に多いとされています。失敗したら他者からの印象が悪くなってしまうのではないかといった思い込みから、自分の可能性を潰してしまうのです。

常に他人と比べてしまっている

他人と比べることも、「自分は何もできない」と感じる原因になります。他人と比べること自体が悪いのではなく、周囲と比べることで自分にできていない部分を探し出し強い劣等感を抱くのが問題です。強い劣等感は、自己嫌悪に陥りやすいからです。

自己嫌悪に陥ると普段ならスムーズにできることもできなくなってしまい、余計に自己否定することに。これにより、「自分は何もできないダメな人間だ」といった思い込みが強くなってしまいます。

自尊心が低下している

自尊心とは、ありのままの自分を大切に思う気持ちのこと。自尊心が低いと、自己評価も低くなりやすいです。自分が持つ能力を信じられないため、「どうせ自分にはできない」と物事に対して否定的な捉え方をするようになります。また、周りの人はできていないとは思わないのに、「今の自分ではダメだ、もっと頑張らないと」と頑張りすぎてしまうのも特徴です。

自尊心の低さは、幼少期の体験が大きく関わっているとされています。親に認めてもらえなかったり褒められたりした経験が少ない、過保護・過干渉の親に育てられて自分でやるべきことをさせてもらえなかった場合、自尊心は低くなる傾向にあります。

自分は何もできないというのは大きな誤解である

自分は何もできないと思っている方も、生活する中でできていることはあるはずです。たとえば、以下のようなことが挙げられます。

  • 毎日献立を組んでご飯を作る
  • さぼらずに仕事をする
  • 必要な作業をコツコツ進める など

長い間、同じ環境・人間関係の中で過ごしていると自分のやっていることを当たり前のように感じてしまいます。ところが、一歩外に出て価値観の違う方と話したり全く異なる環境に飛び込んでみたりすると、自分の当たり前が他人にとっては尊敬に値するものだと気づくケースが多くあります。

そのため、「自分は何もできない」というのは大きな誤解なのです。

「何もできない自分」から脱するためにできること

ここまで、自分は何もできないと思ってしまう原因についてみていきました。何もできないと思ってしまうのは、極端な思考や自尊心の低さが主な原因です。そのため思考パターンを変えたり自尊心を高めたりすれば、何もできないという苦しい思いをすることはなくなります。

ここでは、須田賢太著書の『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』から、何もできない自分から脱するための具体的な方法を紹介します。

これまでの成功体験を書き出して自己肯定感を高める

自己肯定感を高めるには、必要以上の卑下をせず短所も長所も受け入れありのままの自分を大切にするのが効果的とされています。そのため、他者に褒められたことをそのまま受け取るのも良い方法です。なぜなら、他者はあなたの価値を知っていて褒めてくれているからです。

しかし「ありのままの自分を大切に思えない」「褒め言葉をそのまま受け取れない」といった方もいるでしょう。そのような方は、成功体験を書き出すことから始めるのがおすすめです。成功体験を視覚的に把握できれば、自分の頑張りを認めやすいため自己肯定感も少しずつ上がっていきます。

以下は、成功体験を書き出した例です。

  • 目標:海外旅行に行ったときに、現地の方と英語でコミュニケーションが取れるようになりたい。
  • 行動:英会話レッスンに通い始めた。
  • 成果:前よりも電車で流れる英語のアナウンスが聞き取りやすくなった。
    外国人観光客に道を尋ねられた際に、英語でなんとか説明することができた。

成功体験は、どんな小さなことでも構いません。どんな目標を立ててどう行動したのか、その結果どのような成果が得られたのかを具体的に書き出してみましょう。

「ごめん」を「ありがとう」に言い換える

友達や恋人、家族など他者と関わるとき、必要以上に謝っていませんか?たとえば、相手が自分に対して何かしてくれたとき。申し訳ないという気持ちから「ごめん」と言っていないでしょうか。

ごめんなさいを使うのは、人を傷つけたり迷惑をかけたりして謝罪するときです。何かしてもらうたびに「ごめん」と言っていると、相手との間には上下関係があると錯覚させてしまうことがあります。これにより、相手が横柄な態度を取るようになったり自分との予定をないがしろにしたりと雑な対応をするようになる可能性があります。

しかし「何もできない」と思っている方は自尊心が低いため、相手にそのような態度を取られても「自分はダメな人間だから仕方ない」と諦めてしまうでしょう。そのため、自尊心がさらに低下していってしまいます。

このような状態に陥るのは、「ごめん」を多用して相手の方が立場が上であると錯覚を起こさせてしまっているからです。そのため、普段使っている「ごめん」を「ありがとう」に言い換えていきましょう。相手から何かしてもらったとき、ちょっとしたミスを指摘してもらったとき、悩みを聞いてもらったときは申し訳ないと思う気持ちを抑えて、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えるのです。

本来、自分の意見を伝えたり相手に何かしてもらったりするのは、申し訳ないと思う必要のないものです。少しずつ過度な謝罪をやめていきましょう。

自分ポイントカードを作成し統御力を高める

統御力を高めるのも、何もできない自分という思考から脱却するのに良い方法です。統御力とは、全体をまとめて支配する力のこと。統御力が高いと、自分の感情を自分で上手にコントロールできるようになります。自分は何もできない人間だと感じる方は、ネガティブな感情に支配されやすい傾向にあります。そのため、統御力は高めておくに越したことはありません。

統御力を高めるなら、自分ポイントカードを作成するのがおすすめ。カードには、小さな目標を書き留めておくだけで大丈夫です。目標をクリアしたら、スタンプを押していきましょう。目標難易度は、ちょっと頑張ったらできるくらいがベストです。

目標の例をいくつか挙げておきます。

  • 本を1日5ページ読む
  • 通勤の際は階段を使う
  • 英単語を1日3つ覚える など。

自分ポイントカードはクリアしていくうちにカードがスタンプで埋まっていくため、視覚的に「私はできている」と理解できます。そのため続けていくと少しずつ自信が持てるようになり、取り組む物事に対して「私ならできる、乗り越えられる」と前向きに捉えられる効果が期待できるのです。

自分よりうまくいっていない、恵まれていないように見える他者と比べる

他者と比べて強い劣等感を感じてしまう方に行ってほしいのが、自分よりもうまくいっていない、恵まれていないように見える方と比べることです。決して、他者を見下すということではありません。うまくいっていない方を見て、劣等感をなくすのが目的です。

劣等感は自分にはないものを持っている方、うまくいっている方を見ることで生じるもの。そのため、それとは逆のうまくいっていない方に焦点を当てるようにすれば「自分が特別できていないわけではない」と気づけます。これにより、「自分はダメな人間だ」という苦しい気持ちからの解放が期待できます。

まとめ

今回は、須田賢太著書の『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』から、何もできない自分から脱するための具体的な方法を紹介しました。自分は何もできないダメな人間と思っている方にも、他者にはない魅力や才能がたくさんあります。

しかし、それに気づくにもまずは無価値感から脱することが欠かせません。ここで紹介した方法以外にも、無価値感から脱却するためにできることはたくさんあります。書籍を読んで辛く苦しい思いから抜け出し、自分に自信を持って楽しい日々を送れるように意識を向けてみてください。


メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習 著:須田賢太 / マンガ:まるいがんも

メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習

著:須田賢太 / マンガ:まるいがんも
定価:1,250円(税込1,375円)
詳しくはこちら
アメリカで生まれたDBT(弁証法的行動療法)という、境界性パーソナリティ障害に効果があると世界で初めて科学的に立証された治療法を、わかりやすく噛み砕いて、実践しやすい内容で紹介しています。