育児は試行錯誤の連続。特にインターネットが発達した現代は、不確かなネット上の情報に振り回されて「あれをしなきゃ」「これはだめ」とがんじがらめになっていませんか?
8月新刊『5万組を子育て支援して見つけた しない育児』より、実は「しなくていいこと」をご紹介します。
目次
スマホ
1日中やることがいっぱいのママにとって、唯一まとまって座ることができるのが授乳タイム。私は、この時間を息抜きにどんどん使うべきだと思います。スマホでゲームするのもいいし、録りためたドラマを見るのもいいですね。子どもが少し大きくなってきたら、一緒に知育アプリをするのも楽しいですよね。
学会が配布しているリーフレットなどでは絵本が推奨されているけど、一緒に見つめる先がスマホであってはいけない理由はないはず。育児中、スマホに触る時間をいかに確保できるか、その要領のよさと、柔軟性のある思考こそが、健全な子育てにつながると思います。
おやつ
「おやつは与えるべきですか?」。この質問もよくいただくのですが、「おやつ」ではなく「補食」と考えるとわかりやすいです。子どもは胃の容量が小さく、一度にそんなに多くは食べられないので、細切れにして少量ずつ食べる子が多いです。
離乳食期の子は、離乳食を食べ、それを補う母乳やミルクもしっかり飲めている場合、栄養は十分にとれています。「7カ月から」などと書かれたおせんべいやビスケットも売られていますが、わざわざそれを買って与える必要はありません。
1歳をすぎて完了食になったら、補食が必要です。手っとり早いのは小さいおにぎり。私がよくやっていたのはパンケーキ。小さく焼いて、冷凍庫に大量にストックしておく。解凍すればすぐに食べられるので便利だし、にんじんやほうれん草をすりおろして入れておけば栄養も満点です。
そして、手づくりにこだわる必要はありません。もちろん、つくるのが好きな人はどんどんつくったらいいし、「今日は余裕があるからつくろっかな~」という日だけつくるのもいい。でも、普段は市販のもので十分です。
3歳もすぎれば、子ども同士でお菓子を介したコミュニケーションが生まれます。そのとき、「うちはコレあげてないの」ばっかりやっていたら、親子ともどもすごしづらくなってしまいます。チョコレートやキャンディの解禁、見たことのない色のお菓子……ハードルは次々とやってきますから(笑)、心を楽に、臨機応変に対応していきましょうね。
連絡帳
保育園に通っていると、だいたい2歳までは連絡帳の記入が求められます。まだ満足にしゃべれない0~2歳児、連絡帳は先生と保護者をつなぐための大切なツールですが、毎日となると大変。「何を書けばいいかわからない」と悩む人も多いようです。
苦手意識のある人は、もっとシンプルに考えましょう。先生が連絡帳から知りたいのは、子どもの体調です。体調がいい日は「今日も元気です」の一言でいいのです。「鼻水出てます」「ちょっと睡眠不足です」とかも挟みつつ、毎日「今日も元気です」でまったく問題ありません。
「今日も食べるのが遅かったです」「今日もお友達と遊びませんでした」と、ネガティブ情報ばかり伝えてくる先生には、 自由記述欄を大いに活用して、「家ではこんなことができました!」「この子はこんなことが得意です!」と、できるだけポジティブな情報を伝えるようにしましょう。先生も人間 ですから、ポジティブで返されるとネガティブは返しにくくなります。連絡帳は、先生と保護者がそれぞれの立場で、子どものいいところをやりとりする場であるべきだと思います。
自己肯定感
ここ数年、「自己肯定感」という言葉が子育てのキーワードになっています。自己肯定感とは、「自分はありのままでいい」「生きているだけで価値がある」と思える感覚のこと。
「あなたの育て方次第で子どもの自己肯定感が決まる」なんて言われると親としては責任重大、なんだかしんどいよな~。
しかし、長年ママ業をやってきた私は、子どもの自己肯定感を上げるたった2つのポイントに気づきました。それは、「愛情表現」と「スキンシップ」です。とにかく、子どもにたくさん「愛してる」「大好き」と伝え、たくさんハグしてあげましょう。
こうして、自分という存在を認めてもらえる環境に身を置いて育つと、大きくなって失敗したときにも、子どもは「自分が悪い」とは考えません。自分を否定するのではなく、あくまで「自分の行動の何がいけなかったんだろう?」という思考になり、前向きに次の一歩が踏み出せる子になります。
愛情表現を受ける機会が少なく、「~してはいけない」「~しなさい」と減点法で採点される環境に置かれると、自己肯定感はうまく育ちません。
そして、子どもの自己肯定感を育みたいのなら、ママ自身、子育てでうまくできないことがあっても、自分の存在を否定しないこと。子どもから、パパから、たくさんハグしてもらっ て、ママの自己肯定感も高めていきましょうね。
子育てに本当に必要なのは「ママの笑顔」
子育てでいちばん大事なことは、食事でもしつけでもなく、ママが自分らしく笑っていること。
ママが自分を犠牲にせずやりたいことをやる姿が、自分の頭で考えられる子どもに育つための何よりの手本となり、結果的に幸せな親子関係を築くことにつながります。
今回ご紹介した『5万組を子育て支援して見つけた しない育児』では、やらなきゃの呪縛を一つひとつ手放していくコツを100個お伝えしています。
著者は5万組以上の出産・育児に寄り添い、自身も12人の母である助産師HISAKOさん。
Youtube登録者50万人以上の「助産師HISAKOの子育てチャンネル」では、
多くのママに関わってきた経験と自身の出産子育てから痛感する、理想と現実のギャップや
多くの子育て、夫婦のお悩みを解決しています。
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しなくていい=決して“手抜き”ではありません。
育児をする上で本当に大切なことを手放さないでいられるよう、身軽になるために進んでいきましょう。
(画像提供:iStock.com/miyuki)