【リレー連載】3冊で、わたしを語る。

幸せの形を、自分で選ぶ力をくれた ― パートナーシップコーチ ミリーを形づくった3冊

#連載エッセイ
#【リレー連載】3冊で、わたしを語る。

人は、たった数冊の本に、人生の地図を描いてもらうことがある。
まだ輪郭のあいまいだった自分に、芯を与えてくれた言葉。
迷ったとき、何度でもページをめくりたくなる物語。
そんな「わたしを形づくった3冊」を、サンクチュアリ出版のイベント登壇講師たちが語ります。
それは本の話であり、同時に「わたし」の物語でもあるのです。

語り手:(パートナーシップコーチ ミリー)

パートナーシップコーチのミリーと申します。
大切な人との関係や、自分とのつきあい方について、言葉を届ける仕事をしています。
20代までは、ずっと「生きづらさ」と一緒に生きていたように思います。
親との共依存からうつになったこと。
人間関係の悩みが尽きなかったこと。
抜け出したくても、どうすればいいのかわからなかったこと。
幸せになりたいはずなのに、何が幸せなのか、ずっとわかりませんでした。
そんなとき、そばにいてくれたのが本でした。
静かに問いかけてくれる言葉たちに、少しずつ、自分を取り戻していったように思います。
今日は、「わたしにとっての幸せ」を見つけるきっかけをくれた、3冊をご紹介します。

1冊目 『星の王子さま』サンテグジュペリ(集英社)

子どもの頃は、絵ばかりを眺めていました。
大人になってから、文字に込められた意味がすこしずつ染みてくるようになって、今では、哲学のように感じながら読み返しています。
「肝心なことは目では見えない」という言葉に、今も毎回頷きます。
王子さまが出会う「大人たち」はみな、数字や肩書きの中にしか価値を見いだせず、「じゃあ幸せって、何なの?」と問い直したくなる存在ばかり。
関係を育てる時間、誰かを思う気持ち、そのような「目に見えないもの」こそが、わたしにとっての幸せの本質なんだと、この本が教えてくれました。

2冊目 『嫌われる勇気』岸見一郎・古賀史健(ダイヤモンド社)

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最初に読んだときは、登場する いけすかない青年にイラッとしながらも、読み終えた頃には「これは、昔の自分だ」と気づいて、なんとも言えない気持ちになりました。
人にわかってほしい、評価されたい。
でも素直になれない、傷つきたくない。
誰もが少しずつ抱える未熟さや痛み。
この本は、それらとどう付き合っていくかを、見つめ直すきっかけになったように思います。
「嫌われる勇気」というタイトルは少し強く聞こえるけれど、本当は、「誰かを変えようとする代わりに、自分の人生を引き受ける」ということ。
それに気づいてから、他人との距離感も、自分との向き合い方も変わりました。

3冊目 『うさぎのミミリー』庄野潤三(新潮文庫)

大きな出来事は何も起きず、最初から最後まで、心の中にあたたかい風が吹いているような本です。
季節の移ろいや、家族との何気ないやりとり。
そうした なんでもない日々を愛する目線に、ずっと憧れてきました。
忙しい日常の中で、つい「もっと特別なことをしなくちゃ」と焦る時期もありました。
でもこの本に出会ってからは、「何もない今日が、実はいちばん尊いのかもしれない」と思えるようになったんです。
今もふとしたときにページを開いて、自分の呼吸を取り戻したくなるような、そんな一冊です。

おわりに

どれも、大声では語らない本たちです。
でも、自分がぐらついたとき、そっと背中を支えてくれるような存在です。
この3冊に共通しているのは、「目に見えないもの」に光を当ててくれるところ。
愛とか、関係とか、自分の内側とか。
それはきっと、いちばん見失いやすいものだから。
「幸せ」は、誰かに与えられるものではなく、自分の中で静かに育てていくもの。
わたしもいつか、誰かの中に静かに残る言葉を、差し出せる人でいたいなと思います。

ミリー|パートナーシップコーチ
1981年生まれ、東京都出身。
機能不全な家庭で育ち、20代までをうつや夫との別居など、生きづらさを抱えながら過ごす。
心の在り方を見直したことをきっかけに、夫婦関係や人間関係が改善。
大手企業に18年勤務したのち、自分の経験を活かすため現職へ。
“自分を起点にした人生”を始める講座「But First, Me」を開催中。
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恋愛コンサルタント Millie(ミリー)
#Well-being
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