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最強のイギリスから独立を勝ち取ったアメリカの外交力

胸アツ戦略図鑑 逆転の戦いから学ぶビジネス教養
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アメリカがイギリスからの独立を目指した「独立戦争」。最強のイギリスから、生まれたての国であるアメリカはなぜ独立できたのでしょうか

この記事では、アメリカが独立した変遷を、戦略がテーマのビジネス書「胸アツ戦略図鑑 逆転の戦いから学ぶビジネス書」よりご紹介します。アメリカが独立を勝ち取った外交力を知っておけば、ビジネスが行き詰まったときにも役立ちます。ぜひ最後まで読んでみてください。

アメリカ独立戦争

植民地であるアメリカが独立するまでの流れを見ていきましょう。

植民地時代のアメリカ

国際社会を常にリードする存在であるアメリカ。しかし、数百年前までは、イギリス・フランス・スペインなどの植民地でした。これらの国々はアメリカの植民地をめぐって争い、勝利したのがイギリスです。

イギリスはアメリカに大きな影響力を持つようになりましたが、強烈に支配してはいませんでした。イギリス人がアメリカに渡って建設した植民地では、かなりの自治が認められており、商業も発展。またフランス軍に対抗するためにイギリス軍の力が必要だったので、両者はウィン・ウィンの関係でした。

ところが、七年戦争が終わると、イギリスはアメリカとの貿易に強い規制をかけ、税金も引き上げました。アメリカの人たちは猛反発。

課税強化の姿勢を強めるイギリスと、抵抗するアメリカ。互いに我慢の限界を迎え、アメリカ各地の代表者が集まってイギリスに自治権の尊重を要求します。しかしイギリスは武力で押さえ込もうとしました。

アメリカ側もアメリカ大陸軍を結成し、徹底抗戦の構えを見せます。このときの総司令官は、のちにアメリカ初代大統領となるジョージ・ワシントンでした。

切り札は外交

イギリスとアメリカの戦争は本格化。アメリカ内部では、独立を目指す勢力と和解を目指す勢力に分かれていました。しかし、アメリカに渡っていたイギリス人作家のトマス・ペインが「アメリカは独立すべき」と書いた、「コモン・センス」という本がベストセラーになると、アメリカ独立が世論の常識となります。

1776年7月4日には、会議で13の植民地の代表による「13植民地の独立」が採択。アメリカの政治家であるトマス・ジェファーソンらは「アメリカ独立宣言」を発しました

しかし、この独立を他国が認めるかどうかは別の問題です。イギリスは戦争を継続し、軍事力で劣るアメリカは大苦戦。

アメリカはフランス軍に協力を求めます。当時、フランスとイギリスは犬猿の仲でした。敵(イギリス)の敵(フランス)を味方にしようと考えたのです。

フランスもすぐに全面的な協力姿勢を見せたわけではありません。しかし、ニューヨーク北部で勃発した「サラトガの戦い」でのアメリカの大勝を見て、協力する決意を固めました。

フランスはアメリカの独立を認めます。軍事支援も約束し、実際にアメリカ独立戦争にも参戦しました。ただし軍事力ではまだまだイギリス優位の状況には変わりません。

戦争の終結

イギリス優位の状況の中、イギリスはアメリカへの船の出入りを防ぐために海上封鎖を行います。

これに対しロシアなどの国々が、「ウチはどっちの味方にもつかないけど、海上封鎖を続けるなら海軍を使う用意がある」と、武装中立同盟を結成。また、ヨーロッパでの戦争が落ち着いたことによるプロ軍人のアメリカ軍への加入など、風向きが変わっていきました。

イギリスは国際社会にあまり味方がいなかったうえに、イギリス国内でも、もともとイギリスから渡った人たちであるアメリカ軍と戦争するのはどうなのか、という反対意見も出はじめます。

戦争が始まってから6年あまり、ついに最終局面を迎えます
1781年にイギリス軍はバージニア州(現在のアメリカ東部)へ進入します。これを受けてアメリカ軍は北部にいた軍を南下させてフランスの援軍などと合流。
すると、イギリス軍約7千に対し、アメリカ軍は約1万5千と、数で優位に立ちます。イギリス海軍の海からの支援をフランス海運が阻止すると、イギリス軍は海と陸から包囲されました。

イギリス軍は降伏し、アメリカとの戦争を主導していたイギリスの内閣が時を同じくして崩壊。後任の首相は戦争終結に動き、1783年にイギリスとアメリカとの間でパリ条約が結ばれました

戦争は、アメリカの独立が認められる形で終結したのです。

軍事力を上回る外交力

ここでは、独立を勝ち取った後のアメリカをみていきます。

独立後のアメリカ

見事に独立したアメリカ。しかし独立後にすぐ超大国になったわけではありません。政府の脆弱さを解消するために「合衆国憲法」が制定され、ワシントンが初代大統領に就任します。

イギリスとの戦争などで、独立から100年で国土は3倍、国民は14倍以上に膨れ上がります。猛烈な勢いでの成長です。

しかしこれは国内の分裂や先住民の迫害を生み出します。奴隷制の是非をめぐってはアメリカ南部と北部が対立し、アメリカ国内での内戦「南北戦争」に発展しました。

膨大な犠牲者を出した南北戦争はアメリカ北部側の勝利に終わり、アメリカ分裂の危機は回避されました。

アメリカは成長を続け、超大国となっていくのです。

武力を超えた立ち回りのうまさ

イギリスがヨーロッパの国々ともめていることを察知し、アメリカはそれをうまく利用しました。アメリカの外交力がイギリスの軍事力を上回ったのです。

武力を超えた立ち回りのうまさが独立につながったのでしょう。

まとめ

植民地だったアメリカは、協力者をみつけ、うまく立ち回ることで独立を勝ち取りました。アメリカの外交力が勝因だったといえるでしょう。

ビジネスにおいても、立ち回りのうまさは大切です。誰を味方につけて、どのように動けばいいのかをしっかり考えることで、自分にとって優位な状態を作れるようになるでしょう。

戦略がテーマのビジネス書「胸アツ戦略図鑑 逆転の戦いから学ぶビジネス書」では、古代から現代に至るまでに起きた数々の戦いをまとめて紹介しています。先人たちの生み出した戦略やその生きた道筋を知り、これからのビジネスや人間関係などに活かせるように、ぜひ本書を手に取ってみてください。

 


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