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常識外の奇策を用いて戦いに勝利した天才、ハンニバルの戦い方とは

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古代ローマが力をつけはじめ、勢力を伸ばしていたころ。カルタゴの名将ハンニバルは、ローマと戦い続けていました。

ハンニバルの戦法は、当時の人からすると考えられないようなものばかり。奇策を駆使して大国と戦ったハンニバルの戦法は、どのようなものだったのでしょうか。

この記事では、ローマ打倒にかけた天才ハンニバルの戦いを、戦略がテーマのビジネス書「胸アツ戦略図鑑 逆転の戦いから学ぶビジネス書」よりご紹介します。天才と天才の対決のゆくえをぜひ最後までご覧ください。

カルタゴとローマの戦い

ここではまず、カルタゴの名将ハンニバルの戦いをみていきましょう。

天才ハンニバルが生まれる

日本がまだ弥生時代だった頃、地中海の方では大きな動きがありました。 一大勢力を築いたローマ帝国がまだ小さな都市国家だったころ、地中海世界で繁栄していたのがカルタゴです。 カルタゴは海の商人として活躍したフェニキア人が北アフリカに作った国。貿易の拠点として栄えていました。

古代ローマが力をつけ始めると、ローマとカルタゴはシチリア島北部の都市メッシーナを巡って争うようになります。こうして第一回ポエニ戦争が幕を開けます。

カルタゴの将軍はハミルカル・バルカ。海軍を率いて暴れまわり、戦況が傾いても、四方をローマ軍に包囲されながら何年間も孤軍奮闘していました。

しかしカルタゴは敗戦。非常に不利な講和条約をつけられ、まさに存亡の危機に立たされていました。このような状況の中、ハンニバルは名将・ハミルカルの息子として生まれたのです。

常識を覆す遠征

第一回ポエニ戦争によりカルタゴはシチリア島全土を失ってしまいます。このため、イベリア半島の植民地経営を開始。ハンニバルは父であるハミルカルの築いた植民地を引き継ぎ、25歳にしてイベリア半島領主となりました。

ここでローマはイベリア半島を攻略していくハンニバルを危険視し、対立することになります。第二回ポエニ戦争の始まりです。

ハンニバルはローマを迎え撃つのではなく、ローマの本土に攻め込もうと考えます。とはいえ、スペインとフランスの間には、ピレネー山脈・ローヌ川・アルプス山脈があり、これらを徒歩で、しかも大群で超えなければなりません。

特に冬だったアルプス山脈には雪が降りしきっており、道中にはカルタゴに敵対的な部族までいます。遠征などとても無理と考えるのが普通。しかし、だからこそハンニバルはアルプス越えに挑んだのです。しかもこの行軍には、人や馬だけでなく象も連れていきました。

多くの犠牲者を出しつつ、過酷なアルプス山脈を15日間かけて渡り切ったハンニバルたち。途中ローマに友好的でない部族を味方につけて、攻め込む準備を整えていきます。

人数的に不利な状況での奇策

ハンニバルたちは、アルプス越えを果たしたことで自身も勢いもついていたのでしょう。巧みに象部隊を使い、劇的な勝利を重ねていきます

このとき、ハンニバルとの戦いを持久戦に持ち込もうとしたローマの将軍ファビウスが更迭され、次にローマの実権を握ったのは将軍ミヌキウス。これにより古代最大規模といわれる「カンネーの戦い」が始まります。

ローマ軍8万に対し、ハンニバル軍は5万。人数的にハンニバルは不利ですが、直接対決は望むところです。

ハンニバルは「斜線陣」を採用しました。これは、中央ではなく両翼の軍を強化し、中央が持ちこたえているスキに、両翼から敵を包囲する作戦。この作戦で、包囲されたローマ軍は総崩れになります。ハンニバル軍の死者5千に対し、ローマ軍の死者は5万。ハンニバルの大勝利となりました。

連戦連勝のハンニバルは、周辺諸国と反ローマ同盟を結ぼうとしていました。ローマに対抗できる勢力を目指しつつ、有利な条件でローマとの講話に持ち込みたかったからです。

しかし、これまでの戦いでメンツが丸潰れになってしまい、復讐に燃えるローマは講話を受け入れません。ハンニバルが進軍の勢いを遅らせた時間を利用し、国力で勝るローマはハンニバルの本拠地イベリア半島へ攻め込みます。

その結果、大部分が追い詰められ、シチリア島の都市が攻め落とされてしまいます。流れが変わったのです。

天才と奇策

ここでは、カルタゴの名将ハンニバルとローマの名将スキピオの戦いを見ていきます。

カルタゴの敗戦からハンニバルの最後

ハンニバルの連戦連勝から流れが変わったこの時、イベリア半島でローマ軍を指揮していたのは将軍スキピオ。彼も後世に語り継がれるほどの戦略課でした。天才ハンニバルと天才スキピオが対決するのが「ザマの戦い」です。

今度は両軍とも兵力としてはほぼ互角。しかし、ハンニバル軍は寄せ集めの傭兵部隊で構成されていたと言われ、結束に欠けていたようです。 得意の象部隊の突撃が空振りに。一方でスキピオはハンニバルを包囲して勝負がつきます

まるでカンネーの戦いを再現するようでした。 ハンニバルの戦い方をよく研究していたようです。

この敗戦後カルタゴは小さな国家となってしまいました。生き延びたハンニバルは決して諦めず、再起を図って動き続けます。ローマに課された多額の賠償金を払うためにカルタゴの財政改革に乗り出し、政治家としての結果も出しました

しかし改革が急進的だったため、国内の反ハンニバル派があらわれることに。またローマの圧力もあって亡命を余儀なくされます。

ハンニバルは亡命をしながらチャンスを伺いましたが、最後は亡命先で毒を飲んで自殺しました。ローマ打倒にかけた生涯でした

ローマ帝国の成立

このあと、ローマは地中海の覇者へと成長していきます。

第3回ポエニ戦争でカルタゴを滅ぼし、地中海東方にも進撃を開始。最終的にはマケドニアとギリシャの諸都市を支配下に置きます。

度重なる戦争で貧富の差が拡大し、国内の反乱を招いて「内乱の1世紀」と呼ばれる混乱の時代になりました。

しかし反乱を鎮圧する過程で有力者が台頭し、日本でもよく知られるカエサルも活躍。現在のフランスあたりになるガリア遠征や、エジプトのプトレマイオス朝の撃破に成功します。

こうして世界帝国・ローマ帝国が成立していきました。

まとめ

名将ハンニバルは、ローマと戦い続けました。普通はしないような選択・驚きの奇策でローマに大勝利します。

現代においても、新たなビジネスを始める人は、普通の人からすると考えられないような選択を行うことが多いです。常識にとらわれずに行動することで、ビジネスチャンスをつかめるでしょう。

戦略がテーマのビジネス書「胸アツ戦略図鑑 逆転の戦いから学ぶビジネス書」では、古代から現代に至るまでに起きた伝説の戦いをまとめて紹介しています。ぜひ本書を手に取って、先人たちの生み出した戦略やその生きた道筋を知り、分析や考察をして、これからのビジネスのヒントにしてみてください。

 


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