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和歌ってド素人が詠んでもプロっぽいんじゃね?有名な歌と並べてバレるか検証してみた

ワカジツ
#ライフスタイル

こんにちは。ライターのワカジツです。

皆さん「和歌」をご存知でしょうか?
「授業で習ったことがある」くらいの人が多いかもしれないですね。

和歌を簡単にいうと、5・7・5・7・7の計31文字で構成された詩で、日本の文学の歴史を語るうえで欠かせない形式とされています。

百人一首とか古今和歌集みたいな、現代でいう「平成の名曲100選」みたいなベストアルバムもめちゃくちゃ出されてますからね。

ただ、この和歌を見ていると、どうしても思うことがありまして…

いきなり5・7・5・7・7ですみません。

簡単に言うと「これくらいの文字数なら、僕でも作れるのでは??」ということです。

和歌って形式上、たった31文字しか無いんですよ。その中で試行錯誤して情景描写を行っているんだと思いますが、31文字なら僕もプロ顔負けの作品が作れるのでは?と思うんですよね。特に素人相手ならぶっちゃけ違いなんてわからん気がするんですよ。

そこで今回は、名歌とされている偉人の和歌と、僕が作ったものを並べて、どれくらい反応に差があるのか・バレるのかを確かめてみました。

これで僕はワカジツ、もとい小野の和歌ジツとしての地位を確立していきたいと思います。ではどうぞ。

名歌を考える

今回は、以下のルールに則って、僕がプロと謙遜無い和歌が作れているのかをジャッジしていただこうと思います。

  • 和歌を10個ピックアップする
  • そのうち1個は、ワカジツが作ったもの
  • 和歌素人さんに、和歌と現代訳を見せる
  • 10個のうち「素人が作ったものはどれ?」と質問
  • 集計して、バレていなければ天才和歌マスター爆誕

またジャンルは合わせたほうが判断しやすいと思ったので、恋愛の和歌で統一して進めていきます。

さて、僕は今日から詩人なので、クリエイティブをつきつめていきますね。
クリエイティブなので寝起きの姿で失礼します。

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思い浮かばね~~~~~~。

わざわざ風情を感じるために短冊10本セット買ったのに。

なにこれ、31文字のくせにめちゃくちゃむずいじゃん。

てか良く考えたら、普段140文字のTwitterでもわかりやすく伝えるのが難しいのに、それをさらに削って31文字ってまじで制約がでかすぎる。

めんどくさくなってChatGPTに「和歌を作って」って言ったら、アンサーが枕草子くらい長かったし。どうなってんだこれ。

たった1句、31文字を考えるのがここまで難しいとは…。

とりあえず頭をひねりまくって考えていきます。

和歌10個をピックアップ

和歌を考えてから早1週間、ようやくそれっぽいものができました。あとでお見せしますね。

このオリジナルの和歌と、実在する偉人の和歌を拝借して、同じフィールドに並べていきます。

一応素人に見せるといっても、有名な和歌はもちろん授業とかでも習うので、なるべく「知らないのでは?」と思える和歌をチョイスしました。
てか現代に残っている時点でめちゃくちゃ有名なので、知ってたらすみません。(国語2だったので自信ないです)

なお今回は、和歌と合わせて現代訳も送ることにしました。

現代訳は、サンクチュアリ出版さんの『いとエモし。 超訳 日本の美しい文学』から拝借しました。

この本は万葉集や古今和歌集などに綴られた古の言葉たちを、いまを生きる私達の感覚に合わせて“エモ訳“した上で、超美麗なイラストによって視覚化した新感覚エッセイです。

引用:サンクチュアリ出版

先人のエモパワーを、ハンパないクオリティのイラストと共に感じられる1冊なので、ぜひ手にとってみてください。(唐突な宣伝)

ということで、10個並べたものがこちら。

和歌 現代語訳
1.かはりたつ すへて恨みの そのうへに
憂さあはれさは 仮のふしぶし
ともに過ごして時間が経ち、相手に対して恨みだけが残ったんだとしたら
これまでの「好き」とか「つらい」とかって感情もぜんぶ、仮のものだったんだろうね。
最初から「本物」じゃなかったってことさ。
愛って、何なんだろうね。
2.ほほえみにうつつ こころおどるとき
ゆめみるごとく
君とつむぐものがたり おわりなきしあわせ
君の微笑みに酔いしれ、心が舞い踊る刹那。
まるで夢幻に浸りながら、君と未来の物語を紡ぎたい。
終わりのない幸せを追い求め、ただふたりで続けたい。
3.白栲の 袖の別れを 難みして
荒津の浜に 宿するかも
どうしても離れがたくて、
出発を明日に延ばしたよ。
あともう一晩だけ、
旅立つ前に、君と会いたくて。
4.今朝よなほ あやしくかはる ながめかな
いかなる夢の いかがみえつる
今朝起きると
見えるものすべてが変わってしまった
どうなってしまったんだろう
昨日までのわたしはもういない
5.鳴神の 少しとよみて さし曇り
雨もふらぬか 君をとどめむ
雨が降ってほしい。
雷が鳴ってほしい。
そうしたら、もう少しだけ
あなたと一緒にいられるのに。
6.逢いびきて むつごと過ごす つかの間に
なんじはにわかに はがいたむらむ
やっと会えた。やっと会えた!
でも、楽しく話せたのはほんの一瞬。
このひとときは、すぐに消えてしまった。
その親不知の傷みは、なにを表しているの?
7.月はただ むかふばかりの ながめかな
心のうちの あらぬ思ひに
月を見ている。
月を見ている。
月を見ている。
でも、本当は何も見えていない。
私が見ているのは、心の中のあなた。
8.花見れば 袖濡れぬ 月見れば
袖濡れぬ 何の心ぞ
花を見たら、泣けてきた。
月を見たら、また泣けた。
どこからか、自然とあふれ出てくる気持ち。
これは、なに?
それはきっとー
9.思ふかたに 聞きしひとまの 一言よ
さてもいかにと いふ道もなし
気になる人と2人きりになったとき
一瞬、「好きサイン」を出された気がするんだけど、
すぐに人が戻ってきちゃった。
「え、あたしのこと好きなの?」
って気軽に聞ける性格だったら、よかったのだけれど。
10.五月まつ 花橘の香をかけば
昔の人の 袖の香ぞする
夏が近づき、この時期になると咲くタチバナの花。
この花の香りをかぐと
君が来ていた服の匂いを思い出す。
そして君のこと、思い出してしまうんだ。
そろそろ、夏、いつものこと。

現代語訳 一部引用『いとエモし。 超訳 日本の美しい文学』

長くなってすみません。

この中には、偉人が普通に作った和歌と、僕が全力で考えぬいた和歌が入っています。
あとはドボンとして、AIにお願いして作ってもらったものを入れました。

つまり歴史的な和歌が8個、ワカジツ作が1個、AI作が1個です。

どれが僕の作品か、わかりますか…?

いきますね。

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6番の
逢いびきて むつごと過ごす つかの間に
なんじはにわかに はがいたむらむ

……どうでしょう?だいぶ和歌っぽくないですか?

この詩は、4年前にマッチングアプリで知り合った女性とデートに行ったときの話です。

何度もメッセージを重ねて、ようやく会うことになった女性とそれなりに会話も弾み、楽しく過ごしていました。

ところが突然、

「わたし歯が痛いから、今から近くの歯医者さんに行くね!!!!」

といってその場で初診の予約をキメて、速攻で帰られました。

デート中に、その場で行ける歯医者を予約することってある??

…という悲しみの句だったのですが、そのまま書くとさすがに現代っぽくなるので、

むつごと=仲よく語り合う会話
にわかに=突然
らむ=どうして~だろう。

など、古語チックな要素も入れてみました。文法は合ってるか知らん。

ちなみに「むつごと」は、恋仲レベルの男女に使う言葉だそうですが、それは僕の妄想ということで勘弁してください。

ちなみにAIの作品はこれでした。

2番のやつです。

最初のクソ長文からするとめちゃくちゃ削ってくれたのですが、ここからは何回指示しても31文字に収めてくれなかったので諦めました。たぶんいい句だと思います(適当)

では、これらを和歌素人さんに見せて、評価を得たいと思います。

ど素人が書いた和歌はバレるのか

ということで、あとは実際に僕の和歌を現代人に見ていただいて、「素人が書いたな」とバレるかどうかを検証していきます。

最初は「とりあえず友達2~3人に見てもらうか」というノリだったのですが、詩を作っているうちに結構愛着が湧いてきたので…

ネットで100人にアンケートを取りました。(それなりに消える金かな)

これくらいサンプルがあれば、けっこう信ぴょう性があるのではないかなと。

たぶん着手していただいた100人の方からすると、マジで意味不明だったと思いますが、本当にありがとうございます。

ちなみに僕が書いた詩は、6番に該当します。

 

ということで、結果はこちら!!!!

 

問:10個の和歌のうち、現代人が書いた詩はどれだと思いますか?

 

答:

9が1番多い!!!

思ふかたに 聞きしひとまの 一言よ
さてもいかにと いふ道もなし

です。

なんと、34人もの方が「9番は現代人が書いた」と認識しました。

「いかにも現代風の感覚が散りばめられていると思わせるような短歌だと思う」
「この和歌を読むと最近のことのような感情を感じました。若い感じの気持ちを読んでるような気になったからです。」

などの意見がありました。これは和歌というよりも現代語訳がフランクなのが影響しているのかもしれませんね。

次点がAIが作った2番(29名)で、その次が8番(10名)。
僕がつくった6番は、4位タイという結果でした。

「2番とも迷ったが、後半の「はがいたむらむ」が現代人が作ったらしきウケ狙いの雰囲気が感じられたから。」
という意見がありました。

あとは親不知という言葉が現代っぽすぎるという声が大多数でした。
非常に恥ずかしいです。

とはいえ、僕の和歌は「現代人が作った」とは思われなかったわけです!

これは素人にしては、けっこうプロの偉人たちと肩を並べられたのでは…!?!?

僕は、プロ和歌ニスト小野の和歌ジツを名乗ってもいいのではないでしょうか!?

・・・・・・

そう思ったのですが、「最も好きな和歌を選んでください」という質問では、ぶっちぎりで最下位(2票)でした。

なんならAIにも2倍以上の差で負けていました。つらすぎ。

小野の和歌ジツを名乗るには、まだまだ道のりが長そうです。

まとめ

ということで今回は「偉人の和歌はやっぱりすごい」という結論に達してしまいました。

あとは本気を出したAIにも負けたので、ライターの引退も近いかもしれません。

また今回色々な和歌を見て思ったのが、意外と和歌って面白いなということです。

授業でやってるときは退屈極まりなかったのですが、ちゃんと現代語訳を見て理解することで、なんというか風情や趣みたいなのをしっかりと感じられた気がします。

いとエモし。 超訳 日本の美しい文学』は、いままであまり和歌に触れてこなかった人が、改めて和歌を楽しむのにぴったりな1冊です。

エッセイ風和訳×イラストと、様々なアプローチで和歌を楽しめます。
新しい趣味にもめちゃくちゃいいと思うので、興味がある方はぜひ手にとってみてください。

僕は次は松尾芭蕉と5・7・5でバトルしたいと思います。

ではまた。


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いとエモし。 超訳 日本の美しい文学

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定価:1,480円(税込1,628円)

 

枕草子、万葉集、古今和歌集、徒然草……などに綴られた古の言葉たちを、「いまを生きる私たちの感覚」に合わせて“エモ訳“した上で、超美麗なイラストによって視覚化した新感覚エッセイ。