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恋するあなたへ。女流歌人たちが和歌に込めた想いとは

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古の女流歌人たちによる恋の歌。いまの私たちの感覚に合わせて表現すると、記憶が呼び戻されるような言葉にできない感覚を味わえます。

この記事では、女流歌人たちが歌に込めた想いの数々を、先人たちの言葉を「いまを生きる私たちの感覚」に合わせた「エモ訳」と超美麗なイラストの『いとエモし。超訳日本の美しい文学』よりご紹介します。当時の女性たちの切なさや胸いっぱいの気持ちを感じることで、いまを生きるあなたの心も「エモパワー」で癒してくれるでしょう。ぜひ最後まで楽しんでくださいね。

女性の立場からうたわれた歌は繊細でエモい

女流歌人とよばれる女性たちがうたった歌をご紹介します。現代語訳ならぬ「エモ訳」で作者の気持ちを知れば、彼女たちと同じことを感じていると思えるかもしれません。

絶世の美女として知られた小野小町

思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを

あーあ。

会えてめちゃくちゃ嬉しかったのに。

夢だってわかってたら、ずっと寝てたよ。

歌の名人として平安時代を代表する女流歌人である小野小町。「六歌仙」のひとりで、絶世の美女として知られていますが、その素性はよくわかっていません。女性の立場からうたわれた、繊細でエモい歌のひとつです。

小野小町の歌をもうひとつご紹介。

色見えで うつろふものは 世の中の 人の心の 花にぞありける

花はいいよね。

だって咲いてるか枯れてるかなんて、ひと目見ればすぐにわかるから。

でも、やっかいなのが見えない花。

心の花。

だって人の「好き」はいつ枯れるかわからないでしょ。

それが私は、とってもイヤなの。

古語の「色」という語には、身分・表情・本音・恋心・気配・欲・恋人・愛人などさまざまな意味があります。さまざまな色があるから、意味もさまざまにあるのかもしれませんね。

聞けないのよ

思ふかたに 聞きしひとまの 一言よ さてもいかにと いふ道もなし

気になる人と

2人きりになったとき。

一瞬、「好きサイン」を出された気がするんだけど、

すぐに人が戻ってきちゃった。

「え、あたしのこと好きなの?」

って、気軽に聞ける性格だったら、

よかったのだけれど。

こちらは、鎌倉時代に活躍した女流歌人・永福門院の歌です。花園天皇の歌の指導者でもありました。美しい心情表現に心がつかまれます。

しのぶ恋

玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの よわりもぞする

私よ、ムダに生きるな。

私は、この想いを墓場までもってゆく。

この恋心は、私の中だけにあればいい。

気持ちが弱るくらいなら、

命よ、いまここで果ててしまえ。

生涯独身をつらぬいた式子内親王の歌。「しのぶ恋(人知れぬ恋)」といえば式子内親王、というほどです。藤原定家と恋仲だったという説もあります。

別れの決意

三輪の山 いかに待ち見む 年ふとも たづぬる人も あらじと思へば

私は、もうここを出ます。

私を訪ねてくる人もいませんから。

「もう終わったんだ」

そう決めた。

そうでもしないと、進めないから。

女流歌人である伊勢が、恋仲だった藤原仲平との別れを決意した歌。しかし、まだ決めきれない様子がうかがえます。

月をながめて想うこと

ここでは、美しい月をながめて詠んだ歌をご紹介します。

あなたはどこで

こよひ君 いかなる里の 月を見て 都にたれを 思ひいづらむ

あなたは今夜、

どこで

この月を見ているのでしょう。

そして、

誰のことを思っているのでしょう。

私にはわかりません。

わかりたくもありませんけど。

艶と不思議な迫力を感じるこの歌は、平安時代中期に宮仕えをしていた馬内侍という女流歌人のもの。道長、道隆、公任などの時代をときめく男性貴族たちと関係を持ったと言われています。

お月見

月はただ むかふばかりの ながめかな 心のうちの あらぬ思ひに

月を見ている。

月を見ている。

月を見ている。

でも、本当は何も見えていない。

私が見ているのは、心の中のあなた。

心のときめきを前にしたら、どんなに美しい景色でも意味がなくなってしまいますね。鎌倉時代の後期〜南北朝時代にかけて活躍した女流歌人・祝子内親王の歌です。

まとめ

ただ現代語訳するのではなく、現代の感覚に寄せた言葉で表現することで、女流歌人たちの繊細な気持ちや映像が浮かび上がってくるようです。いつの時代でも、私たちは恋をするのでしょう。

先人たちの言葉を「いまを生きる私たちの感覚」に合わせた「エモ訳」にし、超美麗なイラストで視覚化した『いとエモし。超訳日本の美しい文学』では、先人たちが作品に込めた「エモパワー」を強烈に感じられます。

切なくなったり、勇気がわいてきたり、なんともいえない胸いっぱいな気持ちになったりすることでしょう。ぜひ本書を手にとって、言葉にできない「何か」を存分に味わってみてください。


いとエモし。 超訳 日本の美しい文学 k o t o

いとエモし。 超訳 日本の美しい文学

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定価:1,480円(税込1,628円)

 

枕草子、万葉集、古今和歌集、徒然草……などに綴られた古の言葉たちを、「いまを生きる私たちの感覚」に合わせて“エモ訳“した上で、超美麗なイラストによって視覚化した新感覚エッセイ。