ウーマンラッシュアワーという漫才コンビの村本大輔と言います。
僕は2024年の2月からニューヨークに活動の拠点を移し、マンハッタンに住み、英語で、毎晩コメディクラブでネタをやってまわってる。
英語でというと聞こえがいいが、日本語で書いたものをChatGPTで英語にしてもらいそれを丸暗記して話している。高校も卒業していないので40歳でbe動詞を覚えたレベルだ。
そんな僕のニューヨークでの生活をここに書き、少しでも僕のことを知ってもらおうと連載を受けることになった。
目次
トランプに訴えられた人気番組
アメリカに、スティーブンコルベアというコメディアンがいる。
毎晩、レイトショーという番組の司会をやっていて、鋭いジョークで政治を斬る。みんなに愛されるコメディアンだ。
その番組がトランプに訴えられた。
カマラハリスと演説で少し噛んだところがあって、それをVTRで処理したらトランプが「それは不正だ」と、よくわからない難癖をつけてきて、裁判に発展。
この番組はその時の政権をとにかくジョークで皮肉るので、トランプからしたら気に食わない番組だったんだろう。
この番組の親会社がパラマウントという会社で、パラマウントは裁判が長引き、トランプから目をつけられるのを恐れて、1600万ドルの和解金を支払った。
一説によると、パラマウントは合併したい企業があり、アメリカ政府に申請を出さないといけなくて、その時に、トランプと揉めていたら、合併がうまく行かなくなるんじゃないかと、早めに和解金を払ったんじゃないかと。
しかし、その直後に、番組終了のお知らせが。
番組側がトランプに屈した、忖度した、と、噂がまわった。
しかし、このスティーブンコルベアの存在感はすごい。
なぜか、その翌日にニューヨークで「スティーブンコルベアの番組を終わらせるな、トランプお前が去れ」のデモが起きた。
僕はそのデモが起きるとSNSで流れてきたのでそれを見に行ってきた。正直、泣きそうになった。
コメディアンが圧力で首にされるとなって、たくさんの人たちの抗議。コルベアが救ってきた人たちなんだろう。
国が不安になれば、保守化する。極右化する。そうすると、次は言論から奪われる。
チャップリンも当時、アメリカから赤狩りに遭い、国を追い出された。
みんな愛し合おう、分け合おう、なんてリベラル精神は、共産主義だと、排除される。
国を批判できること
今日この話がしたかったのは、今回の選挙の結果で、イギリスのメディアに「日本極右の党が誕生」と書かれていた。参政党だ。
彼らは「偏った思想の公務員は洗い出して排除する」みたいなことを言っていた。
国が、その政治家が右にめちゃくちゃ偏っていたら、少しでも左だと極左と言ってくるだろう。
中国や北朝鮮では、公の場で政治批判のジョークなど言えない。
おれが、テレビに出てた時、原発や当時の安倍政権を批判する漫才をやっていた。
すると、必ず、笑いに政治を持ち込むなんて不快だ、というコメントがたくさんある。
芸人たちからも、思想の強い変な奴のような扱いを受ける。
しかし、考えて欲しい。
できることが幸せなんだ。国を批判できるということは健全なんだ。
そして、あなたが不快でもそれで救われる人がいる。
スティーブンコルベアの言葉を載せる。
「恐れずに生きることは、とても大きな贈り物だ。なぜなら最近の私たちは、あまりにもしょっちゅう恐れてばかりいるから。それでね、私がコメディで一番好きなこと、わかる?笑っている時、人は何かを同時に怖がることはできない。笑っているなら、君が恐れることなんて私には信じられないよ。」
—スティーヴン・コルベア
彼のようなコメディアンがいるからおれはこの国に来たんだ。
そしてそんな彼がクビになったと発表があった翌日、彼のためのデモが起きる。
彼を孤立させない、そのアメリカは本当に素晴らしいと改めて思った。
村本大輔 コメディアン。ウーマンラッシュアワー。 1980年生まれ。福井県出身。2008年中川パラダイスと漫才コンビ「ウーマンラッシュアワー」を結成。漫才コンクール、NHK上方漫才コンテスト、THE MANZAIなどで優勝。 Abema TVのMCとしてニュース報道に関わったことをきっかけに、政治・社会問題を取り上げた漫才をつくりはじめる。自身の考えをストレートかつスピーディーに届ける独演会が話題となり、舞台での活動が軸となっていく。2024年2月からニューヨークに拠点を移し、スタンダップコメディアンとして日々ステージに立つ。 Instagram:@muramotodaisuke1125 Voicy:https://voicy.jp/channel/820839