ふとしたきっかけから嫌な記憶を思い出してしまって、ネガティブな気持ちに引きずられてしまった経験があるのではないでしょうか?
「学生時代の嫌な記憶を思い出して、次に進むのが怖い」
「嫌な記憶を嫌なことで終わらせず、前向きに捉えたい」
「どうしても消したいくらい嫌な記憶があるときは、どうしたらいい?」
このようにモヤモヤした気持ちを抱きながら、過ごしているかもしれません。そこで今回は、嫌な記憶を消す方法を解説します。前向きに生きていきたい方、嫌なことを思い出したときにすぐ切り替えたい方は、参考にしてみてください。
目次
嫌な記憶を抱えている人は多い
心理学博士の榎本博明氏が実施したアンケートによると、20代の3人に2人は「消してしまいたいほどの嫌な過去がある」という結果が出ています。
多くの人が嫌な記憶を抱えており、ふと思い出して気分が落ち込んだり、長い期間引きずったりしているのです。
嫌な記憶を放置したままにしていると、過去の思い出を振り返ることをしなくなるため、良い思い出や懐かしい気持ちになって前向きになることが難しくなります。
したがって、消してしまいたい過去を放置するのではなく、嫌な記憶を消す方法を身につけたり、ポジティブな出来事として書き換えることが大切です。
嫌な記憶を忘れるための脳のメカニズムとは
嫌な記憶を忘れるためには、「条件」と「海馬」が関わってきます。
人間の脳は、ある一定の「条件」が起こることで、そのときの記憶を思い出すという機能をもっています。そこで、嫌な記憶と同じ状況で良いことが起こると「良い記憶」に置き換えられるという手法があります。
また、一次的な記憶を置いておく「海馬」を刺激することでも、「過去の記憶」として忘れるのに効果的です。海馬は運動や食事、コミュニケーションなどで活性化させられます。
このような脳のメカニズムを利用することで、嫌な記憶を忘れていくことが可能です。
嫌な記憶を消す方法8選
嫌な記憶を消すには、以下の8つの方法が挙げられます。
- 感情を吐き出す
- 新しい思い出を作る
- 体を動かす
- 考えない時間を作る
- マインドフルネスを行う
- 記憶は過去のものとして捉える
- 笑顔で生活をする
- タッピングセラピーを取り入れる
自分の生活スタイルで取り入れやすい方法を、試していってください。
1.感情を吐き出す
嫌な記憶をひとりで抱え込まずに、吐き出すことで消化できます。感情を吐き出す方法は、以下のとおりです。
- 紙に書き出す
- 人に聞いてもらう
- 専門家に頼る
感情を吐き出す習慣を取り入れたい場合は、紙に書き出す方法がおすすめです。感じた感情をありのままに書き出してみることで、気持ちが楽になります。「書き出す」という作業と、溜まった感情を出すことにつながっていくのです。自分に合った方法で、定期的に吐き出しましょう。
2.新しい思い出を作る
新しい思い出を作っていくことで、嫌な記憶が緩和されます。「失恋の傷は、新しい恋で癒される」という言葉があるように留まるのではなく、新しい思い出を作るために行動していくことが大切です。新しい思い出を作っていくために、思い切って環境を変えてみるのもよいでしょう。
3.体を動かす
定期的に運動を習慣として取り入れることで、気持ちが紛れやすくなります。とくに夜は嫌なことを思い出しやすかったり、ネガティブな気持ちになりやすかったりするため、適度に疲れを感じるくらい体を動かしてみてください。
運動に抵抗がある方は、まずは一歩外に出て歩いてみるなど、スモールステップで始めてみることがおすすめです。運動の内容は細かく決めなくてもよいため、体を動かすことに焦点を当てましょう。
4.考えない時間を作る
何も考えない時間を意識的に作ることで、嫌な記憶を含めて思い出したくないことを考えずに済みます。体を動かさずにじっとしていると、嫌な記憶だけではなくさまざまなことを考えてしまうため、週に◯時間など決めて考えない時間を作りましょう。
5.マインドフルネスを行う
マインドフルネスのやり方として有名なのが「瞑想」で、姿勢を正しながら自分自身の呼吸に集中することが大切です。具体的なやり方は以下のとおりです。
- 姿勢を正す
- 呼吸に集中する
- 思考を止める
あぐらをかいたり椅子に座ったままでも問題なく、背筋を伸ばしながら旨を大きく開いてください。鼻呼吸をしながら、吸うより吐く時間を長く行いましょう。
「考えないようにしよう」と意識しすぎてしまうと、逆に思考が止まらなくなります。思考が止まらない場合は「今考えているんだな」と思いながら観察してみてください。
6.記憶は過去のものとして捉える
自分の記憶はあくまでも過去のものとして捉えることで、嫌な記憶に対しての感情が変わります。また「なぜ落ち込んでいたのか?」「どこが嫌だと思っていたんだろう?」と冷静に振り返るきっかけにもなります。
嫌な記憶を過去のものとして捉えたうえで、新しいものを取り入れ「楽しい記憶」をたくさん作っていきましょう。
7.笑顔で生活をする
笑顔でいることを意識しながら生活することで、気持ちが前向きになったり明るい気分になったりします。笑ったあとに涙が出たりすることもあるかもしれませんが、感情を表に出すことが大切です。自分が明るくなるだけではなく、周囲にもよい影響を与えるため笑顔でいることを心がけましょう。
8.タッピングセラピーを取り入れる
アメリカの退役軍人のトラウマ治療に効果を発揮したと言われているタッチングセラピーは、不安やトラウマだけではなく嫌な記憶も緩和します。実践方法は、以下のとおりです。
- 嫌な記憶をひとつ思い浮かべる
- 鎖骨下を15回ほどさする
- 眉頭→目の下→わきの下→鎖骨下の順番に5回ずつタッピングする
場所問わず簡単に実践できるため、日常生活から取り入れてみてください。
嫌な記憶を思い出さないための予防法
嫌な記憶を思い出さないために「ネガティブからポジティブへ変換をしてみる」、という方法があります。
変換する方法の例としては、次のものが挙げられます。
- 失敗が続いてツラい→今回の失敗を活かして、次はうまくやれるはず!
- 上司に怒られた→私に期待をして、言ってくれているんだ!
- 自分の発言で相手を傷つけてしまった→気づけたから、今度会ったときに謝ろう!
ポジティブ変換していくことで、悪いことばかりでないと思えるようになります。また、自分を責めてしまうのではなく、日頃から自己肯定のクセをつけて、自分の心を労っていってください。
嫌な記憶を思い出したときの対処法
嫌な記憶を思い出して、ツラいときには以下の方法を試してみましょう。
- ストップと声に出す
- 呼吸を整えてみる
- 前向きになる行動をとる
周囲の状況に合わせて、行ってみてください。
ストップと声に出す
嫌なことを思い出したら、「ストップ」と声に出す、もしくは心の中で唱えましょう。
ストップと言うと一瞬思考や記憶が止まります。これを繰り返していくと、頭の中がリセットされて、思い出していた嫌なことが消え去っていきます。
最初はうまくできないかもしれませんが、練習をしていく内に段々とコツを掴めてくるのです。マイナス思考を断ち切る練習をして、嫌な記憶から自分の心を守るようにしましょう。
呼吸を整えてみる
深呼吸をして、心を落ち着かせましょう。
心身が興奮状態のときは、交感神経が優位になっていて浅い呼吸になっています。深呼吸をすることで、副交感神経優位のリラックスモードに切り替わり、気持ちが落ち着いてくるのです。
ここでは、「スクエア呼吸法」と「チベット式呼吸法」を紹介します。
スクエア呼吸法のやり方
4秒かけて息を吸い、4秒間呼吸を優しく止めて、4秒かけて息を吐き出し、4秒間呼吸を優しく止める。頭の中で4秒ずつカウントしながら、正方形を描くイメージで、気持ちが落ち着くまで約2〜3分続ける。
チベット式呼吸法のやり方
4秒かけて息を吸い、4秒かけて息を吐いていく。全身の力を緩めるイメージで、息を吸うときに頭の中で「心は」、吐くときに「緩まる」と唱えるのがポイントです。
次は吸うときに「私は」、吐くとき「ほほえむ」と唱えて、息を吐き終わったら実際に笑顔を作ります。これを4セット行います。
前向きになる行動をとる
嫌な記憶を思い出したときには、人と話をする、出かけるなどのポジティブな行動をとることで、ネガティブな気持ちが切り替わります。おすすめのポジティブ行動は、以下のものが挙げられます。
- 友達と話す
- 旅行をする
- 音楽を聴く
- 歌を歌う
- 運動をする
- 気になっている本を読む
- 好きなお香を楽しむ
- ティータイムを楽しむ
上記以外にも、自分が「楽しい」「心が落ち着く」と思える行動をとって、早い段階でネガティブな感情から気持ちを切り替えることが大切です。
嫌な記憶を消す方法を身につけて前向きな気持ちになろう
嫌な記憶を消すために感情を吐き出し、考えない時間を作りましょう。日頃から笑顔で過ごすことで、明るく前向きな気分になります。
また嫌な記憶を思い出したときの対処法として、言葉にしたり書き出したりとアウトプットが必要です。『学びを結果に変えるアウトプット大全』では「日本一アウトプットをしている精神科医」である樺沢紫苑氏が、さまざまなアウトプット術を紹介しています。
80個のアウトプットを図解でわかりやすく解説しているため、読みやすくなっています。アウトプットできるようになって気持ちがクリアでいたい、前向きになりたい方はぜひ手に取ってみてください。