ぼーっとしてる人は頭がいいと言われているのは本当なのでしょうか。ぼーっとしている姿を見ると何も考えてなさそうに見えてしまい、頭がいいという印象は持ちづらいかもしれません。しかし、実際は頭がいい人が多いのです。
ぼーっとしているとき、脳内ではデフォルトモード・ネットワークが稼働して情報の整理や関連付けが行われています。デフォルトモード・ネットワークとは、脳が休息状態にあるときに活発に働く神経ネットワークのことです。
デフォルトモード・ネットワークにより、情報が脳に定着したり、脳の活動が活性化するので、ぼーっとするのはメリットが大きいと言えます。
この記事では、ぼーっとしてる人が実は頭がいい理由や、ぼーっとすることで得られるメリットを解説しています。ぼーっとすることは、脳内の情報を整理するのに重要な役割を果たしています。ぜひ最後まで読んで、頭のいい人の脳の使い方を真似してみてください。
目次
ぼーっとしてるけど頭がいい人の特徴
「ぼーっとしている」と聞くとネガティブなイメージを持つかもしれませんが、特有の知性が備わっていることも少なくありません。ここでは、ぼーっとしてるけど頭がいい人の特徴について説明していきます。
観察力がある
ぼーっとしている人は、周囲に無関心であるように見えますが、実際には高い観察力を持っていることがあります。日常の細かな変化や他人の微妙な表情の違いに気づくことができるのです。
これは、ぼーっとしている間に脳が周囲の情報を無意識に収集し、整理しているため。観察力が鋭いことで、問題解決や新しいアイデアの発見に役立つことが多いのです。
斬新な発想をする
ぼーっとしている状態は、脳がリラックスし、自由な発想がしやすい状態になっています。これは、脳のデフォルトモード・ネットワークが活発に働いているからです。
デフォルトモード・ネットワークは、斬新な発想を生み出すのに重要な役割を果たします。実際に、多くの偉大な発明や発見は、ぼーっとしているときやリラックスしているときに生まれたと言われています。
ぼーっとしてる人は、このデフォルトモード・ネットワークが活性化するため、斬新な発想ができるのです。
深い思考力がある
ぼーっとしている状態は、脳が深い思考をするための準備期間でもあります。この間に、過去の経験や知識を整理し、新しい視点から物事を考えられるようになるのです。
深い思考力を持つことで、複雑な問題に対しても冷静に対処し、効果的な解決策を見つけられます。これは、表面的な情報にとらわれず、本質を見抜く力を持てているからです。
学習効率がよい
ぼーっとしている人は、学習効率が高いことが多いです。これは、脳が情報を整理し、長期記憶に変換するための時間を持てているからです。ぼーっとしている時間に、学んだことを繰り返し考えて深く理解するので知識がしっかりと定着します。
また、リラックスした状態で学ぶことで、ストレスが軽減され、より効果的に学習することができます。
アイデアが生まれやすい
ぼーっとしている状態はアイデアが生まれやすいということが分かっています。前述のデフォルトモード・ネットワークが活発になるためです。
ぼーっとしている時間を無駄に思い、暇ができるとスマホやゲームに時間を使う人が多いですが、脳を絶えず使い続けることはデフォルトモード・ネットワークを妨害することになります。何もせず、ぼーっとする時間が重要なのです。
頭がいい人がぼーっとするメリット
ここでは、頭のいい人がぼーっとすることにより得られるメリットを紹介します。
デフォルトモード・ネットワークを活性化させる
ぼーっとすることで、デフォルトモード・ネットワークが活性化します。これにより、自分の過去の経験や記憶が整理・統合されます。脳内の情報がすっきりと整理され、定着するのです。
ワシントン大学の研究によると、デフォルトモード・ネットワークを稼働させてぼーっとしているときの脳内では、通常の15倍のエネルギーが消費されていることが明らかにされました。つまり、脳は、ぼーっとしてるときのほうが重要なのです。
リラックスすることで新しいアイデアが生まれる
リラックスしてぼーっとしているとき、デフォルトモード・ネットワークが稼働して情報を整理します。これにより、それぞれの情報が結びつきやすくなり、新しいアイデアが生まれるのです。
また、新しいアイデアをひらめいたときの脳の状態は、ぼーっとしているときの脳の状態とほぼ同じだったという実験結果もあります。リラックスしてぼーっとしている時間のほうがアイデアが生まれやすいのです。
ストレス解消と精神的リフレッシュができる
ぼーっとすることは、ストレス解消や精神的リフレッシュにもつながります。これにより、集中力や注意力が向上し、仕事や学業において高いパフォーマンスを発揮できます。ぼーっとすることで脳もリフレッシュしているのです。
仕事や勉強で集中しているときは、脳の中の情報が散らばったままになっています。ぼーっとすることで散らばった情報が整理され、新しい情報を結びつけてくれます。
ぼーっとすることによるデメリット
ぼーっとすることによるデメリットもあります。詳しく見ていきましょう。
注意力が低下する
ぼーっとすることによって注意力が低下します。デフォルトモード・ネットワークが稼働すると、脳のエネルギーを使いすぎて疲れを感じてしまいます。通常の脳の活動に比べて15倍ものエネルギーが消費されるからです。
また、余計なことを考えすぎてネガティブな感情に支配されてしまう可能性もあります。嫌なことを思い出してしまったり、不安な気持ちが溢れてくるのです。仕事や勉強に集中したいときは、デフォルトモード・ネットワークが稼働しないようにする必要があります。
周囲からの誤解を招きがち
ぼーっとしていると、周囲の人から変わった人だと思われてしまいがちです。1人でぼんやりしていて、他人に興味がないように感じられます。少し抜けているようにも見え、実は頭がいいのにそうは見られない傾向があります。
周りの人とは異なる印象を与えるため、コミュニケーションが取りづらい人だと思われてしまうのです。
何もしないでぼーっとする時間を持とう
ぼーっとすることで脳の情報を整理することができます。ここでは、ぼーっとする時間を持つ必要性を説明していきます。
- 「何も考えない」をする
- アイデアを生み出すために有効な「創造性の4B」
- 問題と徹底的に向き合ったあとにぼーっとする
詳しくみていきましょう。
「何も考えない」をする
デフォルトモード・ネットワークが稼働する時間が少ないと、物事を深く考える機能が低下します。その結果、注意力・集中力・思考力・判断力・記憶力・想像力などがすべて低下し、脳の老化も進みやすくなります。
自分ではリラックスしているつもりでも、スマホやゲームをしていればデフォルトモード・ネットワークは稼働しません。デジタルデトックスをして何も考えない時間を持つことが大切です。
なかでも散歩は気分が改善して思考が広がるといわれています。たまにはスマホを置いてのんびりと散歩に出かけてみるのもよさそうです。
アイデアを生み出すために有効な「創造性の4B」
「創造性の4B」とは、アイデアが生まれやすい場所のこと。以下の4つです。
- Bathroom(入浴中、トイレ)
- Bus(バス、移動中)
- Bed(寝ているとき、寝る前、起きたとき)
- Bar(お酒を飲んでちょっとリラックスしているとき)
歴史的な発見も4Bと関係しており、これらに共通しているのは「リラックスしている」「ぼーっとしている」ということ。アイデアを生み出すためには、ぼーっとする時間が重要だということがわかります。
ひらめきが欲しいと思ったら、考えるのをやめてぼーっとしてみるのがおすすめです。
問題と徹底的に向き合ったあとにぼーっとする
ぼーっとすることでアイデアが生まれやすいとはいえ、なにもせず長い時間ぼーっとしていれば次々に最高のアイデアがひらめくのかといえば、そうではありません。ひらめきには4つの段階があります。
- 第1段階:「準備」
- 第2段階:「孵化(インキュベーション)」
- 第3段階:「ひらめき」
- 第4段階:「検証」
第1段階の「準備」で本や資料を読んだり、議論や討論をしたりして、問題や課題と徹底的に向き合います。その後、第2段階の「孵化」でその問題や課題をしばらく放置します。ここが「ぼーっとする」段階です。
ここでしばらく放置することで、第3段階の「ひらめき」が生まれます。そして最後の第4段階で理論的・実践的に「検証」するのです。ひらめきを得るためには、孵化の時間が必要です。問題と徹底的に向き合ったあと、ぼーっとしてアイデアを待ちましょう。
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ぼーっとしている人は頭がいい理由と、ぼーっとすることのメリットを紹介しました。デフォルトモード・ネットワークをうまく使えば、脳内の情報が整理され、新しいアイデアが生まれやすくなります。がむしゃらに脳を働かせるのではなく、リラックスしてぼーっとする時間が必要なのです。
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