イベントレポート

趣味から自給自足まで!失敗しない家庭菜園の始め方/きよ@えがおファーム@mkiyooka

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農薬も肥料も使わずに野菜を育てるプロ農家のきよさんが、ベランダでもできる家庭菜園の始め方を一からレクチャー。土やプランター、苗の選び方から、水や肥料のあげ方、雑草対策まで、夏野菜を育てることをひとつのゴールに、やさしく手ほどきします。

野菜づくりのスキルを身につけ、食糧危機に備える

まずは自己紹介をします。私は、山梨県と埼玉県の2拠点で農業を行い、無農薬、無肥料で野菜を栽培しています。「売らない農家」を名乗ってます。もし私がつくった野菜を食べたければ、農業体験で畑に来ていただき、収穫したものを食べてもらう形をとっております。

農業とあわせて、家庭菜園の先生もやっています。今後、食糧危機が来ると思っています。そのとき、野菜の値段は確実に上がっていきます。大根1本100円だったのが200円、300円になるでしょう。値段があがって買える人はそれでいいですが、そうでない人は自分でつくれるスキルを身につけておいた方がいい。

本やネットには「家庭菜園のやり方」がいろいろと載っていますが、うまくいかない人がたくさんいます。上手くいかなくなってから、相談をされます。だから、私がわかりやすくスキルを伝えていきたいと思っています。

土づくり−−プランターの中に「自然界」をつくる

プランターで家庭菜園を始めようとする場合、何をベースに土づくりをすればいいでしょうか。一般的には、水はけをよくするために、底に軽石を入れることになっていますね。でも、実際に自然界を見てみると、土は黒、赤、黄色といった層になっていて、その下に石が転がっていることはありませんよね?

家庭菜園を始めるためには、プランターの中に自然界をつくればいい。これが基本的な考え方。だから、石を入れる必要はないのです。もともとプランターの底には土がぬけないようにする網があるので、水はけをよくしようとしなくても、自然に抜けていきます。

石を入れると、なめくじの住処になってしまいます。これ、意外だと思うんですけど、真実なのです。ナメクジの住みやすい環境を自ら提供してるんですから。ある日突然苗がない、葉っぱがない、という経験をしたことがある方は多いと思いますが、そういったときは必ずなめくじが這った痕があるはずです。

水を毎日あげるのもNGです。土がぐじゅぐじゅになり、肥料も水で流れてくるので、なめくじにとっていい環境のできあがり。とにかく、石は入れてはいけません。

複数の土を入れて「層」にする

まずは、プランターの中に、2つの土の層をつくりましょう。
下半分から2/3は、肥料が入っていない「赤玉土」。これを踏み固めたあと、その上にホームセンターなどで売られている「野菜を育てる土」を入れます。これで自然界に近い状態を作ります

肥料は野菜を育てる土の中に入っているので、別で入れなくて大丈夫です。肥料の入っていない土を使って有機栽培でやろうとしている場合、足りなさそうな場合に追肥でやるほうがいいでしょう。

特定の野菜向けの土なども売っていますが、オーソドックスな野菜を育てる土がおすすめです。というのも、専用の土だと、違う野菜を植える際に成長が遅くなるケースもあります。みなさんには、できれば年間を通して野菜をつくってほしいので、「野菜の土」のようなものがいいでしょう。

苗を選ぶ−−自然に育てたいなら、種から育てた苗を使う

夏野菜といえばナスですが、ナスの苗には2種類あります。ひとつは、種から育てた一般的な苗。もうひとつは接木苗といって、よく見ると茎の下部にクリップみたいなものがついており、クリップから上がナスで、下は違う野菜なんです。害虫に強い野菜の苗の土台をつくって、その上にナスを接着させるというやり方です。値段は接木苗のほうが高くて、一般的な苗が70円から130円くらい、接木苗は200円から250円ぐらいします。

家庭菜園をやるときには、一般的な苗のほうがやりやすいです。なぜなら、接木苗は「肥料ありき」で育てることが前提だから。化学肥料や追肥ありきで育てる前提になっているので、肥料のあげ方を間違えると虫が来てしまいます。自然に育てたい、有機栽培をやりたいという人は、種から育てた苗を植えてください。

苗を植える(1)−−掘ったところと苗を密着させる

次に、プランターへの植え方の話です。まずは、苗の根っこに水を吸わせてあげます。ポットがすっぽり入るぐらいの桶を用意して、ぽちゃっとポットを浸水させてください。浸水させると土から空気がぷくぷくとでてきます。空気が出なくなったら、水からあげてプランターに植えてあげましょう。

土に埋めたら、しっかり上から圧をかけて、掘ったところと苗が密着するようにします。そうすることで、根っこが伸びていきやすくなります。根っこは圧がかかっているのが好きで、空気の層を嫌います。空気があると伸びていきにくく、根っこ自身が「自分はこれ以上成長できないんだ」と判断しちゃって、下手すると枯れてしまいます。

種をまくときには「鎮圧」といって種をぎゅっと押さえるのですが、苗も同じです。土台があると踏ん張れる。根を出して、芽を出して、上に茎を伸ばしたいときに、土台がふにゃふにゃだと踏ん張れません。人間も同じですよね?

肥料と根っこの関係

肥料の入った「野菜の土」だけを入れると、根っこがすぐプランターの中にまわってしまいます。土の中が根っこだらけになります。根っこが伸びないとそれ以上成長できないのでうまく収穫できません。

一方、土を層にしてあると、肥料がない層は成長がゆっくりになります。肥料のない世界で水分を吸いにいき、結果的に根っこが生きる術があるので、シーズンを通して野菜として成長し続けます。そして、次のシーズンは茎を刈り取り、根っこだけ残してその土を使いましょう。残った根っこは空気の通り道になるし、次の野菜の栄養分にもなります。こうすることで同じ土を何年も使い続けられるのです。

プランターの選び方、いい苗の見分け方

根っこの伸び方には2種類あって、横に伸びるものと下に伸びるものがあります。夏野菜でいうと、ナスとピーマンは横、トウモロコシとオクラは基本的に下に伸びていきます。

基本的に、下に根が伸びていく野菜は移植を嫌います。特に、オクラは要注意。苗が小さいうちに植えましょう。植え替えるときはできるだけ根っこを傷めないようにして、土も落とさずそのまま移しましょう。

下に伸びるタイプの野菜は、横型ではなく、縦型の深いプランターを使います。そうしないと、すぐにプランターの底まで根っこがいってしまいます。ホームセンターで深さが50〜60cmのプランターが売っているので、そういうものを使いましょう。

そして、苗を買うときは、
・葉っぱが色は濃いものよりも、薄いもの
・葉っぱと葉っぱの間(節)ができるだけ等間隔のもの
・葉脈が左右対称のもの
を選ぶようにしましょう。