デメリットやリスクなどの欠点がまったく存在しない商品やサービスはありません。重要なのは、その欠点を相手が受け入れてくれるかどうかです。
この記事では、欠点もセットにして合意に繋げるコツを、対人関係の全技術を凝縮した「頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術」よりご紹介します。ぜひ最後まで読んで、欠点ごと受け入れてもらえる交渉術を身につけておきましょう。
目次
欠点を受け入れてもらうには
欠点を納得して受け入れてもらう方法を見ていきましょう。
欠点がない商品はない
婚活パーティや異業種交流会など、自分をどうにかして売り込まないといけない場面で、「自分には欠点があるから」と遠慮する人はいないでしょう。人には欠点があって当たり前。どうにかして相手に合意してもらえるように工夫するのではないでしょうか。
これは商品やサービスにおいても同じこと。必ず何らかの不便や不備があるはずで、欠点がまったくない商品やサービスはありません。その欠点を相手が受け入れてくれるかどうかが重要なのです。
また、人によっては、利点だと思っていることが欠点になることもあります。欠点の捉え方は人によって変わるからです。
たとえば、素材にプラスチックを使っていて軽量であるという商品の長所は、原材料に石油を使っているので環境に配慮していないという短所になることもあり得るということ。
人によって変わる欠点の捉え方。これも踏まえて欠点を抱えた状態で合意に繋げるにはどうすればいのでしょうか。次から説明していきます。
欠点と利点の両方をみせるとよい
欠点を抱えているからといって、欠点を隠し、欠点を上回る長所をアピールすればよいわけではありません。
相手から納得感を引き出し、安心して購入してもらったり契約を結んでもらったりするには、欠点(デメリットやリスク)と利点(メリットやベネフィット)の両方を見せること。相手にとって不都合な部分を利点とセットにして伝えるとよいのです。
これは商品でもサービスでも人でも同じこと。自分の欠点を客観的に伝えると、信頼度や好感度を増すことができます。たとえば、生命保険を販売する広告では、リスクもあわせて伝えた方が好感度が上がることがわかっています。
交渉においては、その欠点を相手が納得したうえで受け入れてくれるかどうかが重要。そのために、欠点と利点をセットにして伝えることが大切です。
これを著者は「両面呈示モデル」と呼びます。売る側・買う側など、自分とは立場や意見が反対の相手に対して有効だとわかっています。一方で、利点と欠点のいずれか片方しか相手に提示しないことを「一面呈示モデル」と呼び、立場や考え方が同じ相手に対して有効です。
「初頭効果&親近効果」で利点を印象に残す
欠点と利点をセットにして伝えるときは、利点から開始し、欠点を利点でサンドウィッチして利点で終わるようにしましょう。これは、「初頭効果&親近効果」で利点を強く印象に残すため。人は1つの情報が提示されると、最初と最後の部分を記憶しやすいといわれているからです。
このとき、利点と欠点は、相手にとってもはきりと「利点」「欠点」だと感じられるようにメリハリをつけて伝えることがポイント。
前述のプラスチック製品であれば、「この素材はプラスチックなので軽量です(利点)。原材料に石油を使っているためCO2は排出しますが(欠点)、これまでの製品に比べてCO2の排出量は1/10となっており、環境に配慮しています(利点)」などと明確に伝えます。
このように、最後に提示する利点は、欠点を十分にカバーできると示すことができれば効果的です。
後出しは絶対にしないこと
ここでは、一般的にルール違反とされるローボール・テクニックについて説明していきます。
危険なローボール・テクニック
欠点は、交渉が合意される前までに提示しておくことが重要。合意後ではいけません。
利点だけを提示して相手に合意させたあと、あとから欠点を提示する手法を「ローボール・テクニック」といいます。これは「承諾先取り法」とも呼ばれるもので、合意させたあとから相手にとって不利な条件や欠点を提示する方法のこと。
相手には、一度合意したことをやり切らなければならないという義務感が生じる「一貫性の原理」が働き、約束を破棄しにくい状態になります。これでは良好な人間関係を維持することは難しいでしょう。
相手を不利な状況に陥らせてしまうローボール・テクニックは極めて危険なテクニック。
「頭のいい交渉術」は良好な人間関係を継続することが目的ですから、このテクニックはたとえ無意識であっても使わないように注意しましょう。
いかに無駄な争いをしないかを考えるのが「頭のいい交渉術」
相手がローボール・テクニックを使ってくることがあるかもしれません。このテクニックは、簡単に言えば「後出しジャンケン」であり、一般的にはルール違反です。
対処法としては、合意する前にルールを確認しておくこと。契約書が存在しない取引であっても、条件変更があった場合には契約解除ができる旨をメール文書などに残しておくことをおすすめします。正式な契約書を交わさなくても法的な証拠になり得るからです。
相手との良好な関係を保つためにも、合意後に条件を変更されないための防衛策は大切。「相手にどう勝つか」ではなく、「いかに無駄な争いをしないか」という思考は、「頭のいい交渉力」を身につけるために重要なことだといえます。
まとめ
利点と欠点をセットで伝えることで、相手に欠点を納得したうえで合意に繋げることができます。「初頭効果&親近効果」で利点を相手に強く印象付けるとよいでしょう。
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