今ここで買ってほしいときに、効果的なアピール方法があります。興味もないのに、つい注目してしまう「限定」という言葉。これを効果的に使いましょう。
この記事では、「今すぐココで買って欲しい」を叶えるアピール方法を、対人関係の全技術を凝縮した「頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術」よりご紹介します。ぜひ最後まで読んで、トップ営業マンも使用するテクニックを使いこなせるようになってください。
目次
「限定」をアピールすること
購買意欲を高める「限定」の手法について説明していきます。
購買意欲を高める!トップ営業マンの常套手段
「〇〇限定!」と聞くと、購買意欲を刺激される人も多いのではないでしょうか。興味はないけれど、ついつい注目をしてしまいます。
「限定」をアピールすることで、相手の購買意欲を高めることが可能に。トップ営業マンの常套手段です。
心理的リアクタンス
人は自分に自由があると考えており、その自由が奪われたり脅威にさらされたりすると、自由を回復しようとします。この状態を「心理的リアクタンス」といい、「限定」はこの心理を利用しています。
「限定」は「あるラインを超えたらできない」という見方もでき、限定を設けることで相手の自由を制限するからです。意図的に「してはいけない」という状態をつくることで、相手は逆に「したくなる」ということ。
「今、ここでしかできない」というような、緊急性を刺激する場合に有効なテクニックです。
人は禁止されればされるほど、それをやってみたい、そこから解放されたいと思う生き物。交渉でも禁止をうまく混ぜ込むことで相手を動かしやすくなるのです。これは「カリギュラ効果」というもの。心理的な反発作用という点において、心理的リアクタンスの一種といえます。
限定アピールに有効な3つのパターン
ここでは、限定の3つのパターンをみていきましょう。
パターン1 期日・時間
販売そのものに期限を設けるパターンです。以下のようなフレーズが用いられます。
- ○日まで販売
- 季節限定
- タイムセール
- キャンペーン中
- ○日までは△円(割引価格)
- ○日までにご購入いただいた方には特典がつきます
使う機会は少ないかもしれないものの、「閉店セール」なども有名な方法です。
パターン2 人数・資格
人数制限を設けるパターン。その人数の枠から外されたくないという相手の感情を刺激する方法です。
- 先着5名様
- 先着順にて、なくなり次第終了
「数量限定」にも置き換えられます。
- 限定10食
- おひとりにつき2個まで
10人しか食べられない、用意されている個数の人数しか購入できないということになるからです。
「競争相手」を意識させるテクニックも。
不動産業者の方が内覧に来たお客さんに「この物件を内覧された他のお客様も非常に気に入っているご様子でした」とすでにライバルがいることをアピールすれば「限定」効果が働きます。その物件を購入できるのは先着1名に限られるからです。
人数制限をアピールしなくても同様の効果が得られます。
「資格」については、会員登録をしなければならない「会員限定」や誰かの紹介が必要な「紹介制」などがあります。
「人事担当者のみ申込み可能」のように、特定の職業・職種・所属部署などに限定する方法も「資格」にあたります。
パターン3 場所
旅行先など相手がなかなか訪れることができない場所で有効です。
- ○店限定
- ○県限定
特にアピールしなくても、相手が勝手に限定と判断してくれる場合も。
数が少ない・流通の制限がある場所の特産品・ここでしか手に入らない伝統工芸品などです。鮮度が命の生モノも、「今ここで食べるしかない」と思わせることができます。
この場合、「鮮度を保つことができないため、郵送はお受けできません」というフレーズも添えておくと効果的でしょう。
「限定」のつくりかた
自分の商品サービスに「期日・時間」「人数・資格」「場所」のいずれかで限定がないか探してみましょう。
もしなければ、限定をつくってしまうのも手です。限定にしても売れ残ってしまったらと躊躇してしまう場合は、限定を超過しても販売するプランBを事前に用意しておくとよいでしょう。
その場合は、正当な理由もセットにすること。たとえば、「大好評をいただいたため」「アンコールの声をいただいたため」などのフレーズを入れるのです。ある期間を超えた以降に販売するなら、「感謝の気持ちを込めてキャンペーン期間を延長します」と伝えましょう。
限定を使うときに注意したいこと
ここでは、限定を使うときの注意点を説明していきます。
限定アピールは自由の意識を持っている場合のみ成り立つ
「限定」を強めていくと、「制限」→「強制・強要」となっていきます。人は強制されたと感じたら、その行動に対するモチベーションが激減します。
相手の行動を促したいときは命令形を使って強制しないこと。相手の自由を阻害しない伝え方が重要です。
たとえば、子どもは親から「勉強しなさい」と言われると勉強したくなくなります。「このスイッチは押してはダメ」と言われると押したくなってしまうもの。これらは心理的リアクタンスから起こる感情です。
セールスの場面で強制することは少ないかもしれませんが、子どもに対して行動を促したいときなどにやってしまいがちなので気をつけましょう。
限定を仕掛けられたら冷静に対応すること
「限定」を仕掛けられたら、いったん立ち止まることが大切。そして、以下のようなことを考えるとよいでしょう。
- 過去のケースなど、情報を集める
→本当に限定なのか
→今買わなかったら、本当に手に入れられなくなるのか
- 限定でなかったとしても本当にそれが必要なのか
- 手に入れられなくても、他のもので代用できないか
相手と距離を取り、考えてみることで、冷静な対応が可能になるでしょう。
まとめ
「限定」を設けることで相手の購買意欲を一気に高めることができます。相手を心理的リアクタンスの状態にする3つのパターンから設定していきましょう。
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