職場や学校で人間関係に関する悩みを、誰もが一度や二度は抱えたことがあるのではないでしょうか。
「なんで自分ばかり仕事を押しつけられるのか」
「職場の人間関係をもっと円滑にしたい」
「上司や後輩との関係が上手くいかない」
など、多くの人と関わりながら仕事をしていると、人間関係の問題に頭を抱えることがあります。そんなときは、心理学を用いたコミュニケーションが有効です。
そこで今回は、犬塚壮志著書『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』から、良好な人間関係になれる心理学のテクニックを紹介します。職場や恋愛で役に立つ心理学を解説しているので、対人関係で悩みがある方はぜひ参考にしてみてください。
目次
人間関係が上手くいく!心理学を学ぶメリット5つ
人間関係において、心理学を学ぶメリット5つを紹介します。
- 人間関係の悩みを解決して改善できる
- ビジネスで成功しやすい
- ストレス発散方法が分かる
- 自分自身を知ることができる
- モチベーションを維持できる
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.人間関係の悩みを解決して改善できる
心理学を学び正しく活用できると、仕事やプライベートでの人間関係の悩みを解決することができます。心理学を学ぶことで、相手の気持ちを理解する力が身に付きます。自分と相手お互いにとって、心地よいコミュニケーションをとれて、初対面の人へも良い印象を与えられるでしょう。
心理学を用いたテクニックを使用することで職場の人間関係や、営業をしている場合は顧客との関係が良好になります。その結果、働きやすくなったり、営業成績が伸びたりなどのメリットがあります。
2.ビジネスで成功しやすい
心理学を学ぶとビジネスの成功に繋がりやすくなります。心理学を学ぶと、相手の心理を把握し巧みにコミュニケーションをとることができます。良好な関係を作り、仮にぶつかることがあってもしこりを残さず、自分は損しないように物事を運べるでしょう。
無駄な争いは避けつつ、相手になめられない関係を構築します。ビジネスで好成績を納めたいのであれば、心理学の活用は大切です。
3.ストレス発散方法が分かる
心理学を学んで職場やプライベートで良好な人間関係を築けるようになれば、ストレスも軽減されます。ストレスが溜まって部下を叱ってしまったり、体調を崩したりなどすることもあるでしょう。
心理学を学べばストレスをコントロールできるようになるので、周りの人と良好な関係を作り、自分自身を守ることができます。心理学を使って、自分のストレス発散方法を知りましょう。
4.自分自身を知ることができる
心理学を学ぶと、自分自身を知ることに繋がります。心理学を学ぶとき、「人前でうまく話せない」「仕事相手と距離を詰めたいのになかなかできない」など、自分自身についている癖や行動を知ることから始まります。
自分の無意識の行動や、苦手な部分を補うために心理学を学べば、自分自身を知ることができます。改善してより良い方向へ進むことができるでしょう。
5.モチベーションを維持できる
心理学はモチベーションの維持にも有効です。人は行動を起こすとき、強い弱いの差はあっても、何らかのモチベーションを感じ動かされています。しかしモチベーションが下がったとき、「何のためにやっているんだろう?」「取り組むのが面倒」と感じて、継続できないことも。
心理学を学ぶと自分がやる気になる要因などが分かるようになるので、モチベーションを維持しやすくなります。心理学はモチベーションの維持にも有効です。
職場の人間関係構築に役立つ心理学3選
メリットを理解したところで、職場の人間関係構築に役立つ心理学のテクニックを3つ紹介します。
- 類似性の法則
- ミラーリング効果
- ラベリング効果
それぞれ解説します。
類似性の法則:相手との共通点を見つける
類似性の法則とは、自分と共通点のある人や、似た経験を持つ人に親近感を抱くというものです。人は自分と類似している人を好むだけでなく、説得や相談にも応じやすくなることが分かっています。職場の人と距離を縮めたいときや、仲良くなりたいときは、相手に自分との共通項や類似性を認識してもらうと、親近感が増すでしょう。
外見、考え、経験、道徳心はとくに効果的なので、アピールしていきます。相手の情報を事前にリサーチして自己開示しながら、距離を縮めていってみてください。
ミラーリング効果:行動を合わせる
ミラーリング効果とは、好感を抱いている相手の仕草や行動を真似してしまうことです。また自分と同様の仕草・行動をとる人のことを好きになってしまうことです。ミラーリング効果は意識的に起こるのではなく、無意識に親近感を抱きます。
活用するには、相手の身振りなど些細な行動を真似することです。ポイントとして、毎回真似るのではなく、時折混ぜて不自然にならないことが重要です。
同調して頷いたり、首を傾けたり大きなアクションにならないよう注意が必要です。相手に行動を合わせるミラーリング効果を活用して、好意的に評価してもらえるようになりましょう。
ラベリング効果:暗示をかけて行動を促す
ラベリング効果とは、相手にイメージを植え付けて心を動かすテクニックです。相手にラベル(レッテル)を貼ることで、行動を促すことができます。たとえば部下に「あなたは仕事が早いね」「資料が丁寧だね」とラベルを貼ると、部下は意識的にも無意識的にもラベルを貼られた通り、行動を起こそうとします。
用いる際の注意点として、「いつも失敗ばかりだね」とネガティブに作用するラベルを貼ってしまうと、望まない方向に相手の思考や言動が誘導されてしまいます。ラベルを貼るときは、相手がどのように受け取るかをしっかり吟味してからラベリングしましょう。
ビジネスで使える人間関係の心理学3選
つづいて、ビジネスで使える心理学のテクニックを3つ紹介します。
- サンクコスト理論
- 反復性の理論
- プロスペクト理論
それぞれ詳しくみていきましょう。
サンクコスト理論:人はコストをかけたものを選ぶ
サンクコスト理論とは、過去に費やしてきたお金、時間、行動などの物事にこだわって何らかの判断や意思決定をしていまうことです。「サンクコスト」とは「埋没費用」の約で、すでに支払ってしまったコストのこと。これまで費やしてきたコストを基準に考えてしまい、合理性に欠ける判断をしてしまうことがあります。
ビジネスで活用するときは、商談前などに相手がこれまでかけたコストを割り出しておくことです。そのうえで、「あなたはこれだけのコストがかかっていますよ」とそれとなく伝えます。サンクコストはすでに埋没しているので分かりにくいもの。相手に直接伝えて、交渉材料にしてみてください。
反復性の理論:好意を受けると返したくなる
反復性の理論とは、他人から恩恵を受けたら、似たような形でそのお返しをしなくてはならないという心理です。この原理に従うと、人はあたえてくれる人を選びます。ビジネスで活用するには、先に相手にあたえることで、相手から選ばれやすくなります。
あたえるものは手土産などの物質的なものだけでなく、相談に乗る、仕事を手伝うなどの行為も含まれます。商談や交渉で活かすコツとして、自分から率先して貸しを作りにいきましょう。自分にとっては重要でないけど、相手にとっては重要なポイントを見つけることで、相手に恩義をあたえることができます。ぜひ意識的にやってみてください。
プロスペクト理論:リスクコントロールをする
人は得することへの期待や得をする嬉しさやよりも、損する怖さや後悔を大きく感じる「感じ方の不思議」をまとめた理論を、プロスペクト理論といいます。私たちは得をした嬉しさよりも、損をしたがっかりを強く感じます。非合理的でも、損を避ける選択や行動をとりがちに。
プロスペクト理論を理解すると、ビジネスの場面で大きな武器になります。相手に条件を提示するとき、得られるメリットよりも、デメリットが避けられることをアピールしてみてください。メリットとデメリットの金額が同じなる場合、特に有効なので活用してみましょう。
恋愛で役立つ人間関係の心理学3選
次は恋愛で役立つ心理学を3つ紹介します。
- 初頭効果
- 単純接触効果
- ウインザー効果
それぞれ解説していきます。
初頭効果:第一印象はなかなか変わらない
人は第一印象で抱いた印象を、その後もずっと抱き続けます。最初の印象が残り続けてその後もその人の評価に影響することを、初頭効果といいます。
恋愛で活用するためには、最初に良いイメージを与えることを意識してみてください。外見にはとくに気を付けましょう。最初に恋愛対象外と思われてしまうと、時間が経ってもなかなか変わりません。第一印象を良く残すことができたら、恋愛に発展しやすくなるでしょう。
単純接触効果:会う頻度が多いと好意を持ちやすい
単純接触効果とは繰り返し見聞きしたものに対して、好意や親しみが増す現象をいいます。気になる人や好きな人がいたら、会う頻度や目を合わせる回数を増やしましょう。ポイントは会ってじっくり話すことよりも、会う回数を増やすことです。接触時間よりも接触回数が重要です。
効果としては、メールよりも会話、オンラインよりも直接会ったほうが良いことが分かっています。接触する頻度に関しては、接触後3日、長くても3週間以上は間を空けないように意識してみてください。気になる相手には、接触の累計回数を増やすようにしましょう。
ウィンザー効果:第三者から聞いた情報が重要
人は当事者よりも第三者から聞いた情報を信じやすい傾向にあります。第三者が発信した情報のほうが信頼されやすいという心理学を、ウィンザー効果といいます。
自社の商品を売るセールスマンよりも、利害関係のない第三者の口コミの方が信頼されやすいです。恋愛でウィンザー効果を使うなら、友人に協力してもらいあなたの情報を気になる相手に伝えてもらいましょう。「一途な人だよ」「優しいところがあるよ」など、さりげなく伝えてもらうことで、相手はあなたによい印象を抱き、信じてもらいやすくなるでしょう。
人間関係の心理学を学んで交渉上手に
今回は犬塚壮志著書『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』から心理学を学ぶメリットと、ビジネスや恋愛で活用する方法を紹介しました。心理テクニックを使うことで人間関係が円滑に進み、ビジネスシーンでも有利になることが多いでしょう。
「取引先の担当者との関係を良くしたい」「クライアントと報酬の交渉で優位に立ちたい」など悩みや願望を持ったとき、心理学を理解しておけば解決できることも多いです。本書では「頭のいい交渉術」を言語化して、そのノウハウがまとめられているので、周りの人と良好な人間関係を築きたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。