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それぞれにちょうどいい交換!為替レートのしくみ

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為替市場のニュースを見たことがある人は多いのではないでしょうか。ところが為替とはいったい何なのか、詳しく知らない方もいるでしょう。

この記事では、為替レートのしくみを、ムギタロー氏の著書「東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった! 」より一部抜粋してご紹介します。為替レートから日本円の価値まで知るために、ぜひ最後まで読んでみてください。

為替レートとは?

為替レートの決まり方から、基礎的な予想モデルまで見ていきましょう。

為替レートはどのように決まるのか

貿易とは、ある国と他の国との間で行われる商品の取引のこと。そして為替取引とは、国の間でのお金の取引のことです。

日本を100人の島に例えて考えてみましょう。貿易の相手はあめりか島です。

「あめ車がほしい」ニホン島の住人と、「ニホン車がほしい」あめりか島の住人の数が全く同じだとすると、ニホン車1台=あめ車1台で交換するのがちょうどいい交換条件となります。

そして、ニホン島ではニホン車1台が100エン、あめりか島ではあめ車1台が1どるで売り買いされていたとしましょう。ニホン車1台=あめ車1台ならば、100エン=1どるで交換するのもちょうどいいということになります。これが為替レートです。

為替レートは、お互いの島のモノ・サービスの質・レア度に合わせて変化します。

「相手の島のモノを欲しい気持ち」と「自分の島からモノを差し出してもいいと思う気持ち」によって交換条件が変わるからです。

たとえば、ニホン車の質が高くなってニホン車を欲しがる人がふえたら、「ニホン車1台=あめ車2台」などになり、これにあわせて「100エン=2どる」と変わっていきます。
あめ車の数が減るなどして、あめ車を差し出してもいいと思うあめりか人が減ったら、「ニホン車2台=あめ車1台」などとなり、「200エン=1どる」と変わるのです。

また、物価の変動でも変わります。ニホン島で物価が上昇し、ニホン車1台が120エンになったとします。すると、ニホン車1台=あめ車1台という交換条件が変わらなければ、「120エン=1どる」となります。

このように変わっていく交換条件を「お金」という便利なアイテムを使って数字で表現したのが交換レート(為替レート)です。

世界では、あらゆる島の銀行の代表者が集まり、あらゆる島の通貨が取引されて交換レートが決められています。

購買力平価説とは

現実の世界では、為替取引が盛んに行われています。ですから、為替レートを予想するモデルが研究されています。基礎的なモデルとして「購買力平価説」「金利平価説」の2つをご紹介します。

購買力平価説では、ある商品の値段は世界のどこでもひとつに決まるという「一物一価」の考え方が基準です。各国のモノやサービスの値段を比較して現地通貨の価値を割り出します。

有名なのは、マクドナルドで売られているビッグマック1個の値段から為替レートを割り出す「ビッグマック指数」。日本でビッグマックが200円、アメリカでは1ドルで売られていた場合、レートは200円=1ドルに収束するはずだという考え方。

しかし、貿易できないものや各国の文化により好みの偏があるという問題点があります。

金利平価説とは

金利平価説は、「来年の為替レートが○円、円の金利が□%、ドル金利が三角%だとすると、投機家たちはうまく儲けようとするだろうから、現在のレートはこう変わるだろう」と予測する理論

世界には儲けるために金利のいい通貨が欲しいという人がたくさんおり、輸入・輸出の為替取引量の何倍もの量の取引をしています。短期的には金利平価が為替レートに最も影響を与えていると言われることも。

購買力平価説も金利平価説も基礎的な話。ネットで検索するとたくさん解説が出てくるので、計算方法まで理解したい人はぜひ検索してみてください。

日本円の価値がなくなることはない

ここではお金の価値について説明していきます。

日本円の価値とは

国は自由にお金を発行することができます。しかし、たくさん発行したら、日本円の信用が落ちて海外との関係がめちゃくちゃになると心配になりそうですが、そんなことはありません。

お金は価値を数値化して物流と分配を簡単にする便利アイテム。日本で十分にモノやサービスが生産されている限り、インフレは誰にも止められないような恐ろしいものではありません。
今この瞬間に円が消滅しても、日本にあるモノやサービスの量は変わらないからです。

円がどれだけ増えても、日本に魅力的なモノやサービスがあり、それを欲しがる外国人がいる限り、日本円の価値が完全になくなることはありません。

国にとって大切なのは、たくさんの魅力的なモノやサービスを生み出すこと良い技術・良い人材・良い資源・良い環境を持つことです。
お金は人間の集団が効率よく生きていくための道具にすぎません。紙幣そのものには何の価値もないのです。

豊かな国とは

日本が持っている知識・技術・資源を、すべて外国に売ってしまったらどうなると思いますか? 日本は一時的に大金持ちになります。しかし、それに意味はあるのでしょうか。

車の作り方も農業のやり方も知らず、インターネットも作れません。日本人はお金を持っているだけの、ただの猿になってしまいます

お金という数字だけで見れば、日本は一時的に「お金持ちで豊かな国」ということになります。しかし、日本は何も生み出せない国になり、外国からモノやサービスを売ってもらうしかなくなっていきます。

日本円を持っていても何も買えない、日本には何もないから日本円の価値はどんどん落ちていきそうだと、外国人から日本円を欲しがってもらえません。日本円の価値は暴落します。なにも生み出さない、なんの技術もない人が住む貧しい日本になってしまうでしょう。

そうならないために、どんどん発展して素晴らしいモノやサービスを生み出していく国をめざしていきたいですね

まとめ

為替レートは、「相手の島のモノを欲しい気持ち」・「自分の島からモノを差し出してもいいと思う気持ち」・物価の変動によって変わります。そして、外国人から欲しがってもらえるような魅力的なモノやサービスを生み出していけば、日本円の価値がなくなることはないのです。

ムギタロー氏の著書「東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった! 」では、日本を「100人が住む島」と想定して経済のしくみを解説。本書を読むことで、経済ニュースが「わかる!」レベルになるだけでなく、経済に対する自分の意見が持てるまでにもなります。楽しく経済知識を身につけてみてはいかがでしょうか。


東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった! ムギタロー(著)、井上智洋、望月慎(監修)

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