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投機バブルとは?中身のない、はじける泡

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バブル崩壊という言葉を聞いたことはありませんか?投機バブルはどのようなものなのか、わかりやすく説明します。

この記事では、投機バブルをムギタロー氏の著書「東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった! 」より抜粋して説明しています。ぜひ最後まで読んで、投機バブルを理解しておきましょう。

根拠のないブーム?儲けるための売り買い

投機バブルについて、わかりやすく説明していきます。

投機バブルとは

「投機」とは、未来の価格の変動を予測して、現在の価格との差で利益を得るために、商品や資産を売り買いすることです。値段だけに着目して安いときに買い、高いときに売ります。

この投機に人々が熱狂すると、ひとつの商品や資産の価格がその価値以上に上がり続けてしまいます。このような経済状態を「投機バブル」といいます。中身のない泡がふくらんで、はじけていく様子と似ているからです。

投機目的でひとつの商品や資産の売買がくり返されることで、経済成長以上のペースで値段が高騰。次第に実体経済から大幅にかけ離れていって、やがて投機にも支えきれなくなります。

インフレは物価が全体的に上昇することですが、バブルは一種または数種の商品だけが実質的な価格以上に上昇することをいいます。

最初の投機バブル「チューリップ・バブル」

記録に残る最初の投機バブルとして、オランダのチューリップ・バブルがあります。

あるとき、チューリップの球根が持ち込まれます。しかし買うことができるのは一部のお金持ちだけ。やがてチューリップを持つことはお金持ちの証となり、チューリップの球根の値段はどんどん上がります。

それを見ていた住民たちは、チューリップの球根を買ってお金持ちに売れば大儲けできると考えます。貧しい人・農民・漁師・職人など、みんなが球根を手に入れることに夢中になりました。球根の値段はさらに上がっていき、最終的には球根一つで普通の住民の年収の50年分くらいの価値になります。球根を手に入れるために、宝石・家・土地・家具などまで手放す人もいました。

当然ですが、このように値段が上がるのは、高額でも珍しいチューリップを買いたいお金持ちがいることが前提です。チューリップを買うお金持ちがいなくなったという噂が立つと、誰も買わなくなり、ほとんど無価値となりました

日本のバブル景気

日本にもあったバブル景気を、100人の島に例えて説明します。

あるとき、「土地の価格は下がったことがないから、なるべく早く買った方がいい」という噂がたちます。これをきっかけにして、大勢の住民が土地を買いはじめました

「1万エンで買った土地が3万エンで売れた。来年には5万エンになるだろう」「5万どころか、10万エンになった」「来年には100万エンになるらしい」などという噂と、売り買いが続いていきます。もともと1万エンくらいの土地が100万エンまで値上がりしました。

すると、ひとつ土地を持っているトラは、「銀行から100万エン借りて、もうひとつ土地を買おう」と考えます。銀行も、いざとなったら土地を売って返してもらえると考え、お金を貸します。

何ヶ月か後に土地の値段が300万エンになったので、トラは2つの土地を売って600万エンを手に入れました。これを見た住民たちは、みんな土地を担保にして銀行からお金を借り、儲けます。銀行も喜んでお金を貸すようになったのです。

ところが、物価の上がりすぎを心配した政府が、「土地を必要以上に買ってはいけない」「銀行は土地で儲けたいだけの人にお金をたくさん貸してはいけない」と言いました。

これにより、土地が売れなくなることを心配した住民たちは、土地を買うのをやめることに。すると土地の価格は1万エンに下がりました。

このとき土地を持っていた住民たちは借金を抱えたままです。土地を担保にして1000万エンを借りたのに、いざとなったら売ろうと思っていた土地が1万エンにしかなりません。もう破産するしかありませんでした。

国家システムの欠陥?意図せずとも起きてしまう投機バブル

投機バブルが起こるのはシステムに穴があるから。詳しくみていきましょう。

悪いのはシステムの穴

投機バブルは、人々の過剰な期待が引き起こす根拠のないブームです。あるモノの値段を必要以上に高騰させて暴落をおこし、不景気をもたらします。それどころか格差の拡大につながることも。

土地を持っていた無職の人がいたとします。その土地は本来100万円くらいの価値でしたが、投機バブルによって10億円で売りました。

看護・介護・保育など、物理的に貢献しているたくさんの人が最低限の給料で働いているのに、この人はまったく人類に貢献せず、何も生み出していないにもかかわらず10億円を持つお金持ちとなったのです。

これは国家システムの欠陥。本人が意図しなくても、投機バブルが起きてしまうという国家システムの穴をついて儲けるグリッチマンを生み出してしまいます。

大富豪の多くが、所有していた株が投機バブル的に上がり、個人資産を爆増させたという経歴を持ちます。これは大富豪が悪いわけではなく、システムに穴があることが悪いのです。

自由な市場取引にまかせていると、投機バブルを発生させやすくなります。これは不景気や格差拡大を引き起こすことに。

政府や公的機関は、取引ルールの修正・中央銀行の介入・政策金利や税制による修正などを行なって投機バブルを防ぐ仕組みを作る必要があるのです。

投機を禁止する必要はあるのか

投機を禁止したらどうなるのでしょうか。これは非常に難しい議論となります。

「値段だけに注目して売り買いをしている投機家は、金融市場の流動性を果たす媒介機能を果たしている」という意見がある一方、「その機能は結果として投機家が担っているというだけで、必ず投機が担う必要はない。投機バブルなどのデメリットも考えると、投機家はいない方がいい」という意見も。

投機バブルなどの問題がある以上は、法規制などで投機をコントロールする仕組みは必要でしょう。しかし、この議論に結論は出ていません。あなたもぜひ考えてみてください。

まとめ

値段だけに注目した売り買いで儲ける投機により、その価値以上の値段になっていく投機バブル。不景気や格差拡大につながるので、投機バブルが起こってしまう国家システムの欠陥をなくしていく仕組みづくりが大切です。経済が分かれば、自分の身を守ることにも繋がりそうですね。

ムギタロー氏の著書「東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった! 」では、日本を「100人が住む島」と想定して経済のしくみを解説。経済ニュースが「わかる!」レベルになるだけでなく、経済に対する自分の意見が持てるまでにもなります。ぜひ本書を手に取ってみてください。


東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった! ムギタロー(著)、井上智洋、望月慎(監修)

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