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「お金」と「国」はヒトを強くした発明品

東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった!
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ヒトは、「お金」というアイテムと「国」というシステムを導入することで何万人もの群れが力を合わせることができるようになりました。ここから経済がはじまっていくのです。

この記事では、経済がはじまっていく「お金」と「国」のシステムについて、経済の仕組みが超シンプルに理解できる「東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった! 」よりご紹介します。ぜひ最後まで読んで、経済のしくみのはじまりを知っていきましょう。

便利なアイテム「お金」

お金というアイテムがどのようにして使われるようになったのかを説明していきます。

ヒトにあってサルにないのは「言葉」

ヒトは言葉によってコミュニケーションをとり、他の動物よりもはるかに効率的に生きてきました。状況によって話し合って役割分担をしたり、得た知恵を次世代に伝えたりできるからです。

水と食料が必要なとき、サルはそれぞれ自分でなんとかするしかありませんが、ヒトは「きみは飲み水をとってきて。私は獲物を狩ってくる」などと役割分担ができます。

何十年もかけて発見した鉄の作り方を次世代に継承できるので、次の世代はその鉄の作り方をベースにした新しい技術を生み出せます。
何千年もかけて人類が積み重ねた知識の継承があったから、スマホのようなすさまじいテクノロジーを手にしました。

このように、ヒトは言葉の力を使って圧倒的に複雑な社会を形成していきます。これがヒトの強みであり、経済のはじまりといえるでしょう。

発展した社会にうまれた大きな問題

暮らしの効率を高め、どんどん発展する社会。しかしやがて大きな問題があらわれます。役割分担と分配を誰がどうやって決めるのかという問題です。

楽な仕事・きつい仕事・安全な仕事・危険な仕事。それぞれ誰がどの仕事を担当するのか? 収穫したイモを分配するにも、芋を作る係・水汲み係・見張り係・火を起こす係・魚をとる係……など、さまざまな係にどうやって分ければいいのか?

イモを作る係が「わたしが作ったイモだから、みんなの2倍食べる」といえば、他の人も「それならわたしもイモを作る係になりたい」と抵抗するでしょう。

全員に平等にイモを配ることにしたとても、「わたしは誰よりも魚をたくさんとったのに、みんなと同じ量のイモしかもらえないのはおかしい」と反論する人がいるかもしれません。

また、秋にとれたイモを冬に魚をとる人にどのくらい渡すのか? など、貢献したタイミングのズレもあります。担当別にそれぞれの言い分があるでしょう。

このような複雑な問題をどうしたらいいのか、ヒトは考えます。

「お金」は便利なアイテム

複雑な役割分担と分配を決めるのに、一番簡単なのはリーダーが独断で決めたり、各担当のリーダーが話し合って決めたりすること。

しかしこの方法では、一定以上おおきな社会になると難しくなります。群れにいるヒトの顔を全員把握できる人数までのみが有効な方法だからです。何十万人という人数の役割分担と分配をリーダーが無理やり決めてしまったら、暴力沙汰になるかもしれません。

そこでヒトが発明したのが「お金」。お金は、価値を表現・保存・媒介の役割を持ちます。

たくさん働いた人は働いた分のお金を得て、使いたいときに使えるので、「得たものをどうわけるか?」という話し合いが不要になります。誰もやりたがらないような仕事は賃金が上がっていくので、役割分担もある程度は自動化できるでしょう。

一般的に通貨は価値尺度・貯蔵・交換という3つの機能をもつといわれます。お金は人が生み出した発明品ともいえるもの。とても便利に使えるのです。

国は適切な役割分担と分配を担う

お金とともになくてはならない「国」について説明していきます。

社会にルールを与える「国」

便利に使えるお金ですが、欠陥も抱えています。一部の人に過剰にお金が集中してしまったり、お金にはならない仕事をする人がいなくなったりするのです。また「堤防をつくる」「道路を掃除する」など、お金にはならないけど、みんなのためになる仕事をする人も必要。

このような問題を解決するのが「国」の存在。社会にルールを与えて、適切な役割分担と分配ができるように機能します。

日本は「民主主義の法治国家」というシステム。憲法を守る範囲内で、細かいことは選ばれた代表者で話し合って決めます。

君主制という「ヒトを一番偉い存在」とする国家システムは、王様が無能だと破綻します。王様が魚嫌いで、漁師に厳しい罰金刑を科したら漁師がいなくなるでしょう。「ルールを一番偉い存在」にすることで、ヒトがそのルールに従って国を運営しているのです。

国を動かすのは「公務員」

国というシステムを実際に動かすのが「公務員」とよばれる人たち。警察・教員・市役所職員など国のシステムを動かす仕事のほか、道路や下水道に関わる仕事・防災に関わる仕事など、公共性の高い仕事や儲からないけど大切な仕事なども担います。

このようにして、ヒトは「お金」と「国」のシステムを導入し、役割分担と分配を効率よくしました。何万人もの群れが力を合わせることを可能にしたのです。ゴリラやライオンとの生存競争にも勝てたのは、ヒトが「お金」や「国」という発明品によって強くなったからだといえるでしょう。

まとめ

お金がないとさまざまな問題が発生します。ヒトは「お金」と「国」というシステムを発明したことによって強く生き延びました。ここから経済がはじまります。

経済の仕組みが超シンプルに理解できる「東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった! 」では、日本を「100人が住む島」と想定して経済のしくみをわかりやすく解説。経済ニュースが「わかる!」レベルになるだけでなく、経済に対する自分の意見が持てるようにもなります。本書をぜひ手に取って、経済の楽しさを実感してください。


東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった! ムギタロー(著)、井上智洋、望月慎(監修)

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