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頭の中にラベルを貼る!?相手を誘導するテクニック

頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術
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相手と良好な関係を保ったまま、うまくこちらの思い通りに動かすことができたら、人間関係におけるストレスが減ると思いませんか?

この記事では、ラベリングで相手を自分の思惑通りに動かすテクニックを、対人関係の全技術を凝縮した「頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術」よりご紹介します。ぜひ最後まで読んで、毎日の生活のなかでのちょっとしたモヤモヤの解消に役立ててください。

相手を誘導する「ソーシャル・ラベリング・テクニック」

相手を思い通りに動かすソーシャル・ラベリング・テクニックについて説明していきます。

頭の中にラベルを貼るとはどういうこと?

「この人は〇〇な人」というようにラベルを貼って、自分や他人の認識を固定させてしまうことをラベリングといいます。

「B型だから飽きっぽい」「O型だから大雑把」など、血液型で性格を語るのはラベリングの一種。
実は人間の血液型と性格の間の関連性に科学的な根拠はありません。それでも紐づけてしまう人は非常に多いのです。

人はラベリングが好きな生き物だといえます。

ソーシャル・ラベリング・テクニックとは

交渉においてもラベリングが利用できます

「〇〇さんは本当に気が効く人ですね」と声をかけると、相手は本当にそのように振る舞うようになるのです。ラベリングすることで相手との良好な関係を保つことも可能に。

たとえば、仕事をよく丸投げしてくる同僚がいたとします。相手に対して「ちょっとくらい仕事を分担して!」と伝えたら、衝突しかねないでしょう。この場合、「困ったときはいつも助けてくれますよね」「ここぞというときは分担してくれるので、本当に救われます」などと伝えてみるのです。
すると相手は「仕事の分担をしっかりやらないと」と思うようになるでしょう。

このように、社会的な枠組みの中で相手にラベリングを行って、相手を動かすテクニックのことを「ソーシャル・ラベリング・テクニック」といいます。

予言の自己成就

人が何らかの情報を互いに共有しているとき、その情報がコミュニケーションの内容だけでなく、実際の行動にまで反映されるという現象があります。これを「予言の自己成就」といい、ソーシャル・ラベリング・テクニックは予言の自己成就からきていると考えられています。

ラベリングされた人は、そのラベルと一貫するような行動をとり、他者の期待に応えようとするのです。
ここには、「人の行動には、一貫性を保とうとする動機づけが働く」という一貫性の原理も働いています。

ソーシャル・ラベリング・テクニックから身を守るには

ときにはソーシャル・ラベリング・テクニックを使われることもあるかもしれません。そう感じたときは、そのラベルの内容を次の2つの視点で見極めるとよいでしょう。

  • 他の人からも同じようなラベルを貼られたことがあるか
  • その人が自分に貼ったラベルの内容を他の人にも同じように話しているか

ソーシャル・ラベリング・テクニックを使いこなすためのコツとは

ここでは、ソーシャル・ラベリング・テクニックを交渉で効果的に用いるコツを紹介します。

3つの視点を意識する

ソーシャル・ラベリング・テクニックを交渉時に効果的に使うために必要な3つの視点があります。

  1. どのような人に対して
  2. どのタイミングで
  3. 何のラベルを貼るか

次から詳しくみていきましょう。

視点1 どのような人に対して

「どのような人に対して」とは、ラベルを貼る相手のことです。
他者や周囲からの目線を気にするような人に対して、ラベリングは特に有効に働きます。

視点2 どのタイミングで

ラベリングには効果的なタイミングがあります。それは、相手が精神的に弱っているときや不安定になっているとき

たとえば、以下のような状態があてはまります。

  • ストレスや悩みを抱えているとき
  • 混乱したり迷ったりしているとき
  • 問題を解決しようと模索しているとき
  • 信念が揺らいでいるとき

このような状態はラベリングされやすいでしょう。

視点3 何のラベルを貼るか

ラベルには「特徴」「態度」「信念」などがあります。相手にどのようなラベルを貼るかを吟味しておきましょう。

仕事でのミスが減らない部下に対しては、「特徴」のラベリングがよいでしょう。「〇〇君って、意外と几帳面なところがあるよね」などといえば、その部下は几帳面な人間であろうと思うので、ミスを減らそうと作業するようになります。

家事をやってくれないパートナーには「態度」のラベリング。「家事に手が回らないことを気にしてくれていると、わかっているよ」と伝えれば、家事に対しての意識を高めてくれるようになるでしょう。

模試の結果に対してナーバスになっている受験生には、「君たちは模試の偏差値に捉われるような人間ではないよね」というように「信念」のラベリングをします。すると模試の偏差値がすべてだと思っていた受験生の考えを変えるきっかけをつくれるのです。

反対に「いつも失敗ばかりだね」など、ネガティブなラベルを貼ってしまうと、望まない方向に相手の思考や言動が誘導されてしまうことになります。
たとえ相手によかれと思って貼るラベルでも、相手がそのラベルをどのように受け取るかをしっかりと吟味することが大切です。

まとめ

頭の中にラベルを貼る「ソーシャル・ラベリング・テクニック」を用いれば、相手と衝突することなくこちらの思い通りに誘導することができます。誰に、どのタイミングで、何のラベルを貼るかをしっかり吟味して使いこなしていきましょう。

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