自己紹介などで相手の心を掴みたいときなど、ちょっとした工夫で初対面での自分の印象を自在にコントロールできることを知っていますか?
この記事では、初対面で自分の印象を操作するメソッドを、対人関係の全技術を凝縮した「頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術」よりご紹介します。ぜひ最後まで読んで、ビジネスから出会いの場まで使えるメソッドを身につけていきましょう。
目次
人間の認知の性質を利用して印象をコントロールする
ここでは印象をコントロールする理論と原理について説明していきます。
人は見た目で判断する?
「人は見た目で判断してはいけない」という教訓があります。しかし私たちは、初対面でのぱっと見の印象や言葉遣いなどから相手の人物像を判断してしまいがちです。これは人間の認知の仕組み上、仕方のないこと。
また外見だけでなく、肩書き・学歴・血液型などのわずかな情報だけで相手の能力全体を判断してしまうことがあるのです。
たとえば、初対面の人がスーツにネクタイをして眼鏡をかけていたら「まじめそう」「頭良さそう」と思い、スキンヘッドでサングラスをかけ、腕にタトゥーがあれば「怖い人かな」と思ってしまうのではないでしょうか。
このように目立つ特徴がその人の全体のイメージになってしまう現象を、仏像や聖人などの背後に置かれる後光になぞって「ハロー効果」といいます。
ハロー効果は外見だけに働くものではありません。肩書き・学歴・部分的な実績・その人に同席している人の印象など、わずかな情報に対してでも働きます。
ハロー効果を逆手にとって印象をコントロールする
交渉においては、人間の認知の性質を逆手にとって相手にあたえたい印象をコントロールできます。
出会いの場で「好みかも」と思われたいなら、「今日は楽しく真面目に、いい出会いを探しにきました」などと言ってみるとよいでしょう。
ビジネスシーンにおいても、自己紹介のときに相手が求める人物像に近い経歴を盛り込むと、「この人と仕事をするとメリットがありそう」と思わせることができます。
自動車業界の人と交渉するなら、過去の自動車関連の仕事の実績をプロフィールに加えることで、「この人は自動車業界に詳しい」と思わせることが可能になるのです。
このような仕込みを事前に行うことで、たとえ現在の実力に多少の不足があったとしても、大きな仕事を任せてもらえるチャンスが広がります。
ハロー効果をうまく使うコツとは
よりうまくハロー効果を使うには、どんな要素が信頼感につながるかを理解しておくことが大切です。ハロー効果は相手の自分に対する信頼感を高める現象だからです。
ビジネスシーンで効果的な要素としては専門性があります。専門性は言語化したり、可視化したりしてうまくアピールすることが大切。相手に持ってもらいたい印象につながる自分の専門性を名刺に載せたり、ポートフォリオにしたりするなどして伝えるとよいでしょう。
プライベートでも「ディズニーが好き」「キャンプが趣味」など伝わりやすい好みを自己紹介に入れつつ、ディズニーグッズやキャンプ系アパレル製品などを身につけておけば、あなたのキャラクターを印象づけることができます。
ハロー効果の注意点と偽装を見抜く方法
ここではハロー効果を使う時の注意点と、使われないための方法を説明します。
ハロー効果は長く続かない
初対面でのハロー効果による印象は時間の経過とともに消えていきます。1ヶ月程度だと覚えておきましょう。
反対に初対面の時に話していた内容は、ハロー効果による印象が消えたあとにも残ります。
つまりハロー効果は期間限定であるということ。時間の経過とともに相手はあなたの印象より、話した内容を重視するようになる傾向にあります。この話した内容が長く残る現象は「スリーパー効果」と呼ばれています。
好印象を持続した状態で交渉に利用したいときは、交渉の頻度を下げずに説得することが大切です。
偽装されたハロー効果から身を守るには
ここからは偽装されたハロー効果から身を守るための対策をご紹介します。
肩書きやうわさ話だけで相手のことを信頼してしまい、後になってがっかり……。そんなことにならないように、ハロー効果への対策をしておきましょう。
そのためには相手の専門性が本物か偽物かを見抜くことが大切。現代はSNSなどで誰でも情報を収集できるので、専門家に見せかけることは容易です。「医師」という肩書きがあっても、「臨床」「研究」「医学教育」いずれにも関わっておらず、専門性が疑わしい人もいるのです。
専門性を見抜くには、できるだけリアルタイムな状況で相手に質問をし、相手がどう答えるかに注目するとよいでしょう。
以下は、筆者がよく使う専門性を見抜く6つの質問です。
- 定義を尋ねる
「〇〇を一言で言うと?」 - 具体を尋ねる
「何か事例はありますか?」 - 最先端を尋ねる
「〇〇で一番新しいものは?」 - 起源や歴史を尋ねる
「〇〇はどのように発展してきたのですか?」 - その人の独自性を尋ねる
「他社の方と違うところはどこですか?」 - その人が発信した情報の矛盾やリスクについて尋ねる
「〇〇のリスクは何ですか?」
これらの質問を相手との会話の中にまぶし、その回答の内容と、相手の専門性を判断したときの印象とにギャップを感じたら注意が必要です。
まとめ
「ハロー効果」を発動させると初対面で自分の印象をコントロールすることが可能になります。自分の見せたいところだけを提示し、相手からの信頼度を高めて交渉をするとよいでしょう。
対人関係の全技術を凝縮した「頭のいい人の人間関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術」では、著者が東京大学で学んだ交渉学を軸に、55個にまとめた交渉術をイラストやフレーズを用いてわかりやすく紹介しています。ぜひ本書を読んで、もめない・損しない・ナメられない「頭のいい交渉術」を身につけ、対人関係の悩みや問題を解決していってください。