仕事

一つのことしかできない…マルチタスクができない場合の対処法を解説

要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑
#仕事

仕事ができる人はたくさんのタスクを同時にこなしています。そんなマルチタスクができる人に憧れる人も多いはず。自分は仕事がスムーズに進められないと感じるとき、その理由が一つのことしかできないからだと思ってはいませんか?

しかし、人の脳は基本的にマルチタスクができない作りになっています。つまり、一つのことしかできないのは当たり前のことなのです。では、マルチタスクができているように見える人はどうやって多くのタスクをこなしているのでしょうか。

この記事では、マルチタスクの仕組みや、一つのことしかできない場合どうしたら多くのタスクをこなせるようになるのかを説明しています。ぜひ最後まで読んで、要領よく仕事ができる人になれる方法を身につけてください。

この記事は書籍『 要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑 』の関連コラムです。

一つのことしかできない3つの理由

マルチタスクができる人もいるのに、一つのことしかできない人もいるのはなぜでしょうか。その理由をみていきましょう。

1.そもそも脳はマルチタスクができないようになっている

脳は同時に2つのことを考えることができません。マルチタスクができているように見えても、実際には脳はタスクを高速で切り替えているだけ。これはタスク・スイッチングと呼ばれ、脳に負担をかけるとともに処理能力を低下させる原因にもなります。

運転中の電話や歩きスマホをすると、集中力が分散して危険なことはよく知られています。2つの課題を同時に行おうとすると、脳の限られた場所を干渉し合い、もう片方の活動を制限してしまうことも研究によって明らかにされているのです。

2.興味のあることに没頭しすぎてしまう

興味のあることに没頭しすぎると、他のことが見えなくなってしまいます。興味のあることだけに脳のリソースが使われ、それ以外にことに使うリソースが減少してしまうのです。興味のないことは後回しになってしまいます。

没頭しすぎる人はタスクを切り替えるのが苦手なことが多いので、高速でタスクを切り替えることが必要になるマルチタスクは難しいと感じるでしょう。切り替えることで生産性が著しく低下するので、ひとつのことしかできなくなってしまうのです。

3.発達障害の可能性がある

マルチタスクができないのは発達障害が関係している可能性もあります。ADHDやASD(自閉症スペクトラム)の人は、一つのことに集中することができなかったり、反対に過度に集中してしまったりする傾向があります。このため、タスクの切り替えがうまくできずにマルチタスクが困難になりがちです。

この場合、適切な対応をすれば改善できることもあります。しかし、発達障害の症状には個人差が大きく、すべての人に当てはまるわけではないため、専門家に相談することが望ましいでしょう。

一つのことではなく「マルチタスク」ができる人の特徴3選

脳は複数のタスクを同時にこなすことはできません。しかし、多くのタスクを要領よくこなしている人も少なからずいます。ここでは、マルチタスクができるように見える人の特徴を説明していきます。

1.優先順位を決めるのがうまい

優先順位を決めるのがうまい人は、仕事の全体像を把握し、自分の仕事の重要度や役割をきちんと把握しています。このため、優先順位を適切に判断できるのです。仕事の優先順位がつけられていると、仕事の進みが早くなります。

また、きちんと優先順位をつけられているので、「今やるべきこと」がはっきりしています。周りの人からはマルチタスクができる人だと思われるかもしれませんが、実際は一つのタスクに集中して取り組めている人なのです。

2.物事の切り替えが得意

複数のタスクを抱えていても、優先順位を適切に判断し、効率的にタスクを切り替えているでしょう。一つのタスクに集中して取り組んでから次のタスクへ進みます。また、仕事だけでなく感情の切り替えやオンとオフの切り替えも得意です。

ストレスを感じるような状況や失敗に直面しても前向きな姿勢に切り替えられるので、意欲的に仕事に取り組みます。仕事とプライベートの時間もきちんと区切りをつけるので、休日にはしっかりしフレッシュができて仕事の効率を上げているでしょう。

3.整理整頓ができる

マルチタスクができると感じる人は、整理整頓が上手だという特徴があります。きちんと整理された環境では、必要なものや情報をすぐに見つけられるのです。探す時間も大幅に短縮されるので、効率よく仕事を進められます。

整った環境では集中力が増します。不要なものに気を取られることなく、一つ一つのタスクに集中して取り組めているはずです。科学的根拠はありませんが、「頭の中」と「整理度合い」は連動しているという人もいます。頭の中で仕事が整理できているから、自然と整理整頓ができているのかもしれません。

マルチタスクはデメリットも多い!3つの内容を解説

マルチタスクができる人になりたいと思う人は少なくありません。しかし、マルチタスクは脳に負担がかかることがわかっています。それでも無理にマルチタスクをするとどうなるのかを説明していきます。

1.作業時間が増える恐れがある

マルチタスクは一見効率的に見えますが、実際は処理能力が落ちてしまうということが研究によりわかってきました。人の脳は同時に一つのことしかできないため、マルチタスクを実践するとタスクを頻繁に切り替えなければなりません。切り替えたタスクに再び集中するための時間が必要となり、結果的に作業時間が増えてしまうのです。

また、どの作業にどの程度の時間がかかるのかを把握しにくくなります。これにより時間管理が難しくなり、作業全体の効率が低下してしまうのです。

2.自分の限界を超えて仕事を受けてしまう

マルチタスクを行うと、複数のタスクを同時に進行させるため、それぞれのタスクの進捗状況を正確に把握するのが難しくなってしまいます。そのため、それぞれのタスクにかかる時間を少なく見積もってしまいがち。すると、まだ余裕があると考えてしまうのです。

全体の作業量が増えているのに気づかず、まだ余裕があると思って自分の限界を超えた量の仕事を受けてしまうのです。

3.本来最優先すべき仕事がわからなくなる

マルチタスクではそれぞれのタスクの進捗状況がわかりにくくなります。各タスクの進捗状況が把握できていないと、どのタスクを優先するべきかがわからなくなってしまうでしょう。結果としてすべてのタスクが中途半端になってしまいます

その結果、締切に間に合わなかったり、仕事の質が落ちてしまったりする可能性もあるのです。

マルチタスクを避けて一つのことに集中する思考法3つ

マルチタスクをするよりも、一つのことに集中して取り組む方が効率がいいということがわかりました。では、一つのことに集中して効率よく仕事をこなせるようになるにはどうしたらいいのでしょうか。

1.一度にたくさんのタスクを終わらせようとしない

仕事が早い人とは、マルチタスクを諦めた人です。マルチタスクをしようとすると効率が落ち、余計な時間がかかってしまいます。たとえば、メールを書きつつ、合間に届いた新着メールもチェックしようとすると、以下のようなことが起こりがちです。

  1. メールを書いているときに新着メールが届く
  2. 新着メールを開いてしまう
  3. 新着メールの経緯が気になって過去のメールを探す
  4. メールで気になったことをネット検索する
  5. 最初のメールの続きを書こうとするも、どこまでやったか忘れている

タスクを同時進行したつもりでも、それぞれのタスクが中途半端になり、無駄な時間を使ってしまいます。反対に仕事が早い人は以下のように集中して仕事に取り組みます。

  1. 新着メールが届いても無視
  2. メールを書き終わる
  3. 新着メールを読み、経緯を確認する

仕事ができる人はマルチタスクができる人のように見えます。仕事ができるようになるためにはマルチタスクをしなくてはと思ってしまいがちですが、そうではありません。目の前の仕事を一つずつ終わらせていくことが大切なのです。

2.「やらない」や「できない」という判断をする

仕事では一つのタスクに集中したいと思っても、突発的なタスクが生じることが少なくありません。しかし、それら全てに対応しているとどのタスクも中途半端になってしまいます。自分が忙しいときに電話がかかってきたり、誰でも対応できるような仕事を頼まれたりしても、手を出してはいけない状況があるのです。

もちろん断れない仕事もありますが、自分でなくてもできるようなタスクは持たないようにするとよいでしょう。すると自分のタスクに集中できて、効率よく仕事を終わらせることができます。電話対応や頼まれ仕事は、自分の重要なタスクが終わったあとでもよいのです。

3.スケジュールに余裕を持つ

一つのタスクに集中するためには、余裕を持ったスケジュールにすることが必要です。仕事をたくさんこなさなければと考え、ぎっしりと予定を詰め込んでしまうと、急なタスクが入ったときに対応しきれなくなってしまいます

もう少しできるのではと思っても、スケジューリングにはあえて余裕を持たせます。思い浮かんだ時間の2倍くらいの時間を想定しておくとよいでしょう。割り込みタスクだけでなく、自分のタスクが想定内に終わらないことも多いからです。少し暇かなと思うくらいがちょうどよいでしょう。

一つのことしかできないのは当たり前!賢くタスクをこなせる人材になろう

マルチタスクができる人は、タスクを同時にこなしているのではなく、目の前のタスクをきちんと終わらせて高速で切り替えている人です。人の脳は同時に一つのことしかできません。マルチタスクを目指すより、一つのことに集中して取り組む方が効率もよくなります

多くのタスクを効率よく進めるためには、優先順位や段取りなど仕事の基本をしっかり身につけておくことが大切です。F太氏・小鳥遊氏著の『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』では、要領よく仕事をできるようになる方法を紹介しています。

この本は、仕事のやり方や考え方だけでなく、メンタルやコミュニケーションについての悩みも解決してくれます。手元にあれば、仕事で悩んだときの助けになってくれるでしょう。

この記事は書籍『 要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑 』の関連コラムです。