「上司が怖くて、どうしても報告できない…」
「このままにしておくと、仕事に支障が出るかもしれないのに」
上司に報告ができなくて、このような悩みを抱えてはいないでしょうか。上司への報告は仕事を進める上で欠かすことはできません。
しかし、上司が怖いと感じている人にとっては、報告することが大きなストレスとなり、精神的に追い詰められてしまうことも少なくありません。では、怖い上司にスムーズに報告し、仕事の悩みを解消するには、どうしたらよいのでしょうか?
この記事では、上司が怖くても仕事をスムーズに進めるための対処法を紹介しています。最後まで読んで実践すれば、仕事の悩みを少しでも減らし、充実した社会人生活を送れるようになるはずです。
目次
なぜ上司が怖いと感じるのか?報告できなくなる原因
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上司が怖いと感じてしまい、報告ができなくなってしまう原因を見ていきましょう。
高圧的・威圧的な態度で話しかけづらい
上司がつねに不機嫌そうな表情をしていたり、大声で怒鳴ることが多い人だった場合、どうしても話しかけづらくなってしまいます。
こちらを見下すような言動や、些細なミスでも執拗に責め立てられることを日常的に繰り返すような上司だと、話しかけること自体が大きなストレスとなります。物事をはっきりと伝えられない人であれば、なおさら萎縮してしまいます。
結果として業務上の報告だけでなく、相談や意見を伝えることさえも困難になり、仕事における円滑なコミュニケーションまでも阻害してしまうことになります。上司の態度により、恐怖を感じて報告ができなくなってしまうのです。
嫌味や皮肉が多く、精神的にダメージを受ける
上司の言動に嫌味や皮肉が多いと、精神的なダメージを負うことを恐れて報告ができなくなってしまいます。報告の内容に対してではなく、「それ、小学生でもできるよね?」のような遠回しな表現で相手貶める発言や、「まあ、君には無理だろうけどね」というような相手の能力を否定する言葉をくり返すことで自尊心を傷つけるのです。
冗談と捉えることもできなくはないですが、実際に言われると精神的なダメージを受けてしまいます。真面目に仕事に取り組んでいる人ほど、このような嫌味や皮肉に敏感に反応してしまい、自己肯定感を大きく低下させてしまうのです。
その結果、上司に報告できなくなるだけでなく、コミュニケーションさえも避けるようになってしまいます。
報告内容が否定されることへの恐れがある
報告した内容に対して「それは違う」「そんなことはあり得ない」などと頭ごなしに否定されたり、せっかく準備した資料をろくに見ることなく「やり直し」と突き返されたりすると、また「否定されるのではないか」という恐怖心を抱くようになります。
過去にこのような経験がある人だけでなく、同僚がこのような扱いをされていたのを見た場合でも同じような恐怖を感じるようになるのです。
また、完璧主義の人や、失敗を極端に恐れる傾向のある人も恐怖を感じやすくなります。認めてもらえなかったら自分の能力が低いと思われる、怒られるかもしれない、などと過剰に心配することで報告をためらい、時間が経つほど恐怖心が大きくなっていきます。
過去の怒られた経験により萎縮してしまう
過去に上司から強く怒られた経験があると、その記憶がトラウマとなり、上司に対して萎縮してしまう場合が少なくありません。些細なミスで長時間にわたって厳しく叱責されたり、大勢の人の前で怒られたりすると、そのときの恐怖心や屈辱感は深く心に刻まれてしまいます。
そのときの状況や感情がフラッシュバックし、また同じような状況になることを恐れて報告をためらうようになるのです。このような過去の経験からくる恐怖心は、克服するのに時間がかかるため、長い時間が経っても報告に苦手意識を持ってしまうようになります。
上司が怖くて報告できないことで生じるデメリット
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上司が怖くて報告ができないままでいると、仕事を進める上でさまざまなデメリットが生じます。次からそれぞれ解説していきます。
仕事の進捗が遅れる
上司への報告が滞ると、仕事の進捗が大幅に遅れてしまう可能性が高くなります。業務中にトラブルが発生した場合は速やかに上司に報告し、適切な指示を仰ぐ必要があります。しかし、上司を怖いと感じて報告を躊躇していると、問題の解決が遅れてしまい、結果的に仕事全体の進捗が遅れてしまうことになるのです。
また、報告をせずに独断で判断し、業務を進めてしまうと、後になって大きな問題に発展する可能性もあります。仕事のさらなる遅延につながることも少なくありません。
さらに、報告が遅れることで、他のメンバーとの連携にも支障をきたす可能性があります。上司は部下からの報告で状況を判断しています。報告がないと的確なマネジメントができず、チーム全体の生産性が低下し、納期遅延や品質低下につながる恐れもあります。
周囲からの信頼を失う
仕事をする上では、上司だけでなく、同僚や部下との連携も不可欠です。しかし、報告をしないことで責任感がないとみなされ、「仕事を任せられない人」と判断されてしまいます。
報告しないことで対応が遅れたりミスが発覚したりすると、その責任はチーム全体で負うことになります。余計な負担が増え、「あの人に仕事を任せると、また何か問題が起きるのではないか」と周囲から不信感を抱かれるようになるのです。
ストレスが蓄積されていく
上司に報告できないのは、「怒られるのではないか」「否定されるのではないか」という不安や恐怖の感情からきていることが多いものです。このような不安や恐怖を抱えながら仕事を進めることは、精神的に大きな負担となり、慢性的なストレス状態を引き起こします。
「しなければならない報告が、できていない」という罪悪感が頭から離れず、心身に不調を感じるようになる可能性もあります。夜眠れなくなったり、食欲がなくなったり、頭痛や腹痛などの身体的な症状が現れたりするのです。
怖い上司にもストレスなく報告できるようになるための5つの対処法
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上司が怖いと感じて報告ができなくなってしまう状況を改善するための対処法を5つ紹介します。
- 伝えたいことを明確にしておく
- 最初の言葉を決めておく
- 結論から伝える
- 上司の状況を見極めてタイミングをはかる
- 可能なものはメールやチャットも利用する
次から詳しく見ていきましょう。
1.伝えたいことを明確にしておく
報告で大切なのは、何を伝えたいのかを明確にしておくことです。報告内容が曖昧なままだと、上司にうまく意図が伝わらず、何度も聞き返されたり、誤解を招いたりする可能性があります。その結果、上司が不機嫌になったり、イライラしたりして、さらに報告しづらい状況になることも考えられます。
報告をスムーズに行うためには、まず「何を(What)」「誰に(Who)」「いつ(When)」「どこで(Where)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」伝えたいのか、つまり5W1Hを自分の中で明確にしておくことが重要です。これらを意識しすることで報告内容が整理され、上司に意図が伝わりやすくなります。
2.最初の言葉を決めておく
上司に報告する際には、最初に伝える言葉を工夫すると聞いてもらいやすくなります。上司が要点を掴みやすいように、以下のような言葉を準備しておきましょう。
〇〇の件について、【報告・連絡・相談】なのですが、今よろしいですか?
上司にとって、報告や連絡は「聞く」のみですが、相談は「聞く」に加えて「判断する」要素も必要なので上司の負担が変わります。最初にどれなのかをはっきり伝えておくと、「結局、何が言いたいの?」と怒られることがなくなります。
3.結論から伝える
結論を後回しにして経緯や詳細から説明してしまうと、上司は何が言いたいのかを理解するまでに時間がかかり、イライラしてしまう可能性があります。最初に結論から伝えるようにすると、わかりやすく伝わるので、上司のイライラが激減します。
絶対に間違って伝わってはいけない裁判の判決文も、主文(結論)と理由に分かれており、基本的にわかりやすく結論から言い、続いて理由を述べています。
仕事の報告でも同様に、結論から言うことを心がけましょう。「結論から言うと〇〇です。というのも、〇〇だからです。」と言うようにすると、意識しなくても「結論」と「理由」を整理でき、簡単にわかりやすく伝えられるようになります。
4.上司の状況を見極めてタイミングをはかる
上司が忙しい時間帯や機嫌が悪い時に報告をしても、きちんと話を聞いてもらえなかったり、不機嫌に対応されたりする可能性が高くなります。そのため、上司の状況をよく観察し、適切なタイミングで報告するように心がけましょう。
上司が会議や打ち合わせで忙しそうなときは報告を避けるべきです。また、上司がイライラしていたり、不機嫌そうに見える場合は、報告を後回しにするか、メールやチャットなどの別の手段で報告することを検討しましょう。
上司の状況が良いタイミングを見計らって報告することで、上司は落ち着いて話を聞いてくれる可能性が高くなります。ただし、至急の場合は待っていると手遅れになることも考えられるので、簡潔に手早く報告する必要があります。
5.可能なものはメールやチャットも利用する
報告内容によっては、必ずしも口頭で伝えない方がよい場合もあります。詳細な情報や資料を伝える必要がある場合は、メールやチャットなどのツールを活用することも有効です。メールやチャットを活用することで、上司は自分の都合の良いタイミングで報告内容を確認でき、口頭での説明よりも正確に情報が伝わることもあるのです。
メールやチャットで報告することで、対面で報告する際の緊張感を軽減することができます。業務の進捗状況や、簡単な報告はメールで済ませ、緊急性の高い内容や、複雑な内容については、口頭で報告するなど、状況に応じて使い分けてもよいでしょう。
ただし、上司によっては口頭の報告を望む人もいるので、メールやチャットでの報告が可能かどうかを事前に確認しておくと安心です。
怖い上司の機嫌を取ろうとせず自分のやるべきことに集中しよう
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もし上司が怒りっぽくて怖い人だったとしたら、ちょっとした報告にも気を遣います。ただ、それは怒りを乱用する上司が悪いのであってあなたの責任ではありません。伝え方を工夫し、簡潔に伝えることを意識することが自分のやるべきことです。
仕事の目的は成果を出すことなので、恐怖を感じる上司に振り回されることなく、仕事のスキルを身につけて結果を出すことを優先するようにすると、ストレスから解放されます。
小鳥遊・F太著『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』では、要領よく仕事を進められるようになる仕事術を紹介しています。この本で仕事のやり方を身につけたら、報告に対する苦手意識も減っていくはずです。