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「情報」の97%はムダ。本当に意味のある情報収集術とは?

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ここ数年で私たちが得られる情報は爆発的に増えました。空き時間ができるとすぐスマホを取り出すという人も多いでしょう。しかしその情報収集、97%はムダです!自分にとって必要な情報だけを集める方法を「インプット大全」著者の樺沢先生が解説します。

「本当に必要な情報」以外は捨てる勇気を持とう

ここ 1週間の間にネットで見たニュース、情報、ブログを覚えている限りたくさん書き出してください。制限時間は1分間です。
さて、何個のニュース、情報を思い出せましたか?
この課題を、私のセミナー参加者 175 人に対して行ったところ、「思い出せた数」の平均は 3.9 個。最も多い人で 10 個。3 個以下の人が、全体の 51%を占めていました。

私たちはスマホやパソコンを使い、ネットから毎日多くの情報を得ています。1 日30分で20個の情報を見ているとすれば、1 週間で140個もの情報に接触している。しかし、そのうち記憶に残っているのは、たったの4 個。情報吸収率は、わずか3%です。
休み時間になればすぐにスマホを開き、最新情報をチェックするという人も多いでしょう。しかし、たったの1週間でその97%を忘れてしまうのです。インプットは「質」が重要ですが、世の中の多くの人は質の低いインプットをしていて、結果、そのほとんどを忘れています。

ダーツの中心を狙うイメージをしてもらうと、わかりやすいと思います。ほとんどの人は、情報の選別をしません。つまり、ダーツの的を見ないでダーツの矢を投げている。ですから、当たるはずがないのです。自分にとって「本当に必要な情報・知識」に狙いを定めて、ピンポイントで集めることで、時間を短縮でき、アウトプットも効率的に行えるようになります。情報を選択し、仕分けしましょう。そもそも「必要のない情報」は、「見ない」「接触しない」、つまり情報を「捨てる」努力が必須なのです。

必要な情報だけを集める方法

あなたが興味、関心のあるものを 3 つあげてください。この問いに一瞬で答えられたあなたは、興味・関心のアンテナが立っています。すでに上手なインプット術を行っているといえるでしょう。
答えるのに 10 秒以上かかった方は、まだ「ザル読み、ザル聞き、 ザル見」の世界の住人かもしれません。

私にとって、最も興味・関心のあるテーマは「精神医学」「心理学」「脳科学」の 3 つです。毎日、ネットで膨大なニュースが流れますが、「芸能人のゴシッ
プ」や「経済動向」などはまったく目がいかないのに「精神医学」「心理学」「脳科学」に関するニュースや記事には、一瞬で目がいきます。

書店に行って何千冊と本が並んでいても、「精神医学」「心理学」「脳科学」に関する新刊は一瞬で見つけることができます。それは、興味・関心のアンテナが立っているからです。

パーティー会場のようなザワザワと騒がしい中でも、自分の名前や、自分の興味があるキーワードを自然に聞きとることができる現象を「カクテル・パーティー効果」といいます。なぜ喧騒の中でも、自分の興味のあるキーワードに反応できるのかというと、それは「選択的注意」というフィルターが脳の中に存在するからです。自分の興味・関心のある情報に選択的に注意を向け、優先して短期記憶、長期記憶に残そうとするフィルターが「選択的注意」です。「選択的注意」と言うと難しいのですが、「興味・関心のアンテナ」と呼んでもいいでしょう。自分の「興味・関心のアンテナ」を立てるだけで、脳は膨大に流れてくる情報の中から全自動で必要な情報をピックアップしてくれるのです。

アンテナをはるための4つの方法

「興味・関心のアンテナ」を立てることで、脳は勝手に自分に必要な情報を集めてきます。では、具体的にどうすれば「興味・ 関心のアンテナ」を立てることができるのでしょうか? アンテナを立てるための 4 つの方法をお伝えします。

(1)興味・関心のあるキーワードを書き出す

たとえば私の場合、「精神医学」「心理学」「脳科学」以外にも、「予防」「運動」「睡眠」「AI 時代」「ウイスキー」「映画」「グルメ」などにも関心があります。これらのキーワードをすべて書き出しておいて、一覧にしてときどき眺めるようにしています。キーワードを視覚化することで、「興味・関心のアンテナ」がバッチリ立つようになります。

(2)目的、テーマを明確にする

あなたがインプットすることで何を学びたいか目標を決めると、それに関する情報が優先的に脳に入ってきて、その目標を達成することができます。たとえば、私がムンク展を見る前には「ムンクが “ 叫び ” を描いたときの精神状態は?ムンクは本当に精神病だったのか?」 といった課題設定をして、美術展を鑑賞しました。そうすると、 当然そういう部分が重点的に目に入ってくるのです。

(3)自分で自分に質問する

「質問」は、アンテナを立てるための最も簡単な方法といえます。たとえば「自分の短所は何か?」と自分で自分に質問します。「コミュニケーションが下手」と答えたならば「コミュニケーションを上達する方法」はないのか? とアンテナが立ちます。脳は「質問」されると、その「答え」を探そうとするのです。

(4)アウトプット前提にする

「本を読んだらブログに感想を書く」→「ブログのネタになりそうな気付きを発見しよう」
「ムンク展のあとに、5 分の発表がある」→「絵画の中から、自分なりの気付きを見つけよう」
このように「アウトプット前提のインプット」、略して「AZ」を意識すれば、「アウトプットして恥ずかしくない情報をしっかり集めよう!」と、情報収集モードに脳は切り替わるのです。つまり、「AZ」は「興味・関心のアンテナ」を立てるための、法則究極の方法といえます。

拙著「アウトプット大全」が42万部のベストセラーとなり、その後日本中に空前のアウトプット・ブームが巻き起こりました。
多くの人に、アウトプットの重要性が浸透しましたが、実はインプットとアウトプットは表裏一体であり、車の両輪のような関係です。
「貧弱なインプット」の人がどれだけアウトプットをがんばっても、「貧弱なアウトプット」しかできません。ぜひ「インプットの精度」を上げて、自己成長率を高めましょう。

(画像提供:iStock.com/master1305/Laurence Dutton/peshkov/metamorworks)

この記事は、”学び効率が最大化する インプット大全” 樺沢紫苑(著) の新刊コラムです。


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