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仕事が続かないのは発達障害だから?対処法と安心して働けるようになる仕事術を紹介

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発達障害を持っているから、仕事が続かないのは仕方ないと諦めていませんか?
たしかに、ADHDやASDの方にとって、会社で働くことが困難になってしまう場合もあります。それぞれの特性が、仕事の成果によくない影響を及ぼしてしまうからです。

しかし、仕事のやり方を変えることで、それらをカバーできる可能性があります。

この記事では、発達障害の人が仕事を続けるのが難しい理由と適した仕事の探し方、そして要領よく仕事をこなせるようになるための仕事術を紹介しています。

発達障害の人だけでなく、仕事の要領が悪いと思っている人も、この記事を読んで、一度仕事のやり方を見直してみてください。仕事が滞らなくなり、悩みが激減するかもれません。

この記事は書籍『 要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑 』の関連コラムです。

発達障害【ASD:自閉スペクトラム症】の人が仕事を続けるのが難しい理由

発達障害のひとつであるASD(自閉スペクトラム症)の人が仕事を続けるのに困難を感じる理由を見ていきましょう。

コミュニケーションが難しい

ASDの人は、相手の表情や声のトーンから感情を読み取ることが苦手です。そのため、相手の真意を理解できずに誤解を招くことがあります。また、「暗黙の了解」や「空気を読む」といったことも苦手で、周囲から浮いてしまうこともあります。

自分の考えや気持ちをうまく表現できず、うまく相手に伝えられないため、結果的にトラブルになってしまうことも。コミュニケーションがうまくとれないことで、職場での人間関係をうまく築けず、仕事が続けられなくなってしまうのです。

臨機応変な対応が苦手

ASDの人は、決められたルーティンや手順にしたがって仕事をすることが得意です。しかし、実際の業務では、急な変更や予期せぬトラブルなどもよく起こります。このような状況に直面すると、ASDの人はパニックになってしまったり、どうしたら良いのかわからなくなってしまうのです。

また、複数のタスクを同時に進行させることや、優先順位を柔軟に変更することも苦手です。変化の多い職場環境や臨機応変な対応が求められる業務では、仕事を続けることが困難になります。

こだわりが強く職場に適応するのが難しい

ASDの人は、作業手順や環境、時間管理などに自分なりのやり方を確立していることが多いです。しかし、職場では周りの人と協力して業務を進める必要があり、自分のこだわりを貫くことが難しいこともあります。

また、感覚過敏の特性があると、音や光、匂いなどに強いストレスを感じます。 これらの要因が重なってしまうと、職場環境に適応することが難しくなり、仕事を続けられない状況になってしまいます。

発達障害【ADHD:注意欠如・多動症】の人が仕事を続けるのが難しい理由

ここでは、ADHD(注意欠如・多動症)の人が仕事を続けるのが難しくなる理由を説明していきます。

不注意によるミスをしてしまう

ADHDの人は、細かい部分に注意を払うことが苦手な傾向があり、ケアレスミスを繰り返してしまいがちです。これにより業務の質を低下させるだけでなく、修正作業に時間を取られて生産性も落ちてしまいます。

ミスを繰り返すことは、上司や同僚からの信頼を失うことにもつながります。ADHDの人は、通常よりも注意を払いながら作業をする必要が出てきますが、それがストレスとなり、長期的には仕事を続けることが難しくなってしまいます。

集中力が続かない

ADHDの特性として、注意力の制御が難しく、ひとつの作業に長時間集中できないことがあります。これは、興味のない作業や単調な作業をしているときに現れやすくなります。長時間のデスクワークでは作業が遅れてしまったり、会議が長引くと重要な情報を聞き逃したりするのです。

集中できないと、業務に遅れが生じたり、質が低下したりする可能性が高くなるので、職場での評価が得られにくくなります。結果的に仕事を続けるのが難しくなることもあるでしょう。

衝動的な行動をしてしまう

ADHDの人は、思いついたことをすぐ行動に移してしまう傾向があります。職場では、この衝動的な行動が問題になることもあります。たとえば、会議中に突然発言をして議論の流れを乱してしまったり、相手の話を最後まで聞かずに途中で口を挟んだりするのです。

重要なことなのに、十分な検討をすることなく決めてしまって、後から問題が発生することもあります。これらの行動が、職場の人間関係を悪化させたり、仕事の質を低下させることにつながります。職場での評価が下がり、仕事を続けられなくなっていきます。

発達障害を持つ人に適した仕事を見つける方法

発達障害を持つ人は仕事に困難を感じる場面もありますが、適した仕事を見つければ長く続けることも可能です。ここでは、適した仕事を見つけるための方法を説明していきます。

自分の特性を知る

まず大切なのは、自分の特性をよく理解することです。自分の長所や短所を客観的に分析することで、それらを活かせる仕事を探しやすくなります。

たとえば、コミュニケーションが苦手だと感じているなら大人業務が少ない職種を選ぶようにします。アイデアを出すのが得意だという人は、クリエイティブな仕事を探してみましょう。

自己分析ツールを活用したり、専門家のアドバイスを受けたりすれば、より正確に自分の特性を把握できます。適した仕事を見つけるためには、まず自分を知ることが大切です。

職場の雰囲気や環境をリサーチする

発達障害を持つ人は、職場環境が非常に重要になります。自分が働く場所の雰囲気や環境をしっかり調べておくことが大切です。人の話し声が飛び交うような騒がしい環境が苦手なら、静かなオフィスや在宅勤務が可能な会社を探してみましょう。

会社のホームページや求人サイトの情報だけでなく、可能なら職場見学やすでに働いている人から話を聞いてみましょう。SNSや口コミサイトの情報も参考になるはずです。

自分に合った雇用枠を選ぶ

発達障害を持つ人向けの雇用枠を選ぶのも方法の一つです。障害者雇用に積極的な会社では職場での理解や支援を得やすくなります。得意なことや難しいことを職場の人に理解してもらいやすく、体調や業務内容に対する配慮があるので働きやすい環境だと言えます。

障害者雇用の対象となるのは、原則として障害者手帳を持っている人です。発達障害を持つ人は、「精神障害者保健福祉手帳」 になります。ただ、一般雇用と比べると求人が少なく、職種が限られる可能性があります。

発達障害の有無に関わらず要領よく仕事をこなすための仕事術

発達障害の有無に関わらず、仕事のやり方を変えるだけでミスが減ったり、悩みを減らすことが可能です。ここでは、要領よく仕事をこなせるようになる5つの仕事術を紹介していきます。

  1. タスクを徹底的に管理して仕事の基本を身につける
  2. 「次、何をするんだっけ?」をなくせばスムーズに作業が進む
  3. 環境を整えてケアレスミスを防ぐ
  4. 仕事の中身をよく知って集中力を高める
  5. 少しの勇気がコミュニケーションを円滑にする

次から詳しく見ていきましょう。

タスクを徹底的に管理して仕事の基本を身につける

やるべきことが頭の中でごちゃごちゃしていると、どれから手をつけたら良いのかわからなくなってしまします。スムーズに仕事を進めるためには、やるべきタスクを言語化する必要があります。まず、すべてのタスクを書き出してみましょう。

タスクを書き出したら、そのタスクを終わらせるための手順を書き込みます。正解にこだわらず、まずは自分なりの手順で大丈夫です。次に、書き出した手順を誰がやるのかを明確にしましょう。返答待ちなどは自分以外の誰かが進める作業です。これをすることで、自分のやるべきことがさらに明確になります。

タスクと手順それぞれに締め切りを入れます。こちらも自分なりの感覚で問題ありません。違っていたら後で変更すれば良いのです。繰り返していくことで、締切の間隔がつかめるようになります。すべて終えたら、最初の手順だけが見えるようにします。これが、「今やるべきこと」になります。

どのような仕事でも、このタスク管理をする「手順書」がすべての基本になります。

「次、何をするんだっけ?」をなくせばスムーズに作業が進む

やり方を自然に覚えられる仕事もあれば、なぜか覚えられない仕事もあります。何度やっても覚えられない仕事は、手順があいまいになっていると考えられます。「次、何をするんだっけ?」と考えながら仕事を進めると時間がかかるだけでなく、ストレスも感じます。

そこで、先述した「手順書」をつくり、手順通りに作業をしていきましょう。すると、スムーズに仕事が進んでいきます。毎回同じ手順を繰り返していくことが大切です。

環境を整えてケアレスミスを防ぐ

気をつけているつもりでも、なぜかケアレスミスが発生してしまうことがあります。その後も、しっかり気をつけている間はミスを減らせるかもしれませんが、ずっと続けると神経を消耗して疲れます。再びミスをするのではとビクビクすることで、自分への信頼感や自信もなくなってしまうでしょう。

この場合、ミスをしない自分になろうとするのではなく、生活環境や職場環境を変えていくことが大切。ミスをしたら、手順書に項目を付け加えます。自分の外側の仕組みを整えていくことで、メンタルが解放され、仕事に集中することができます。

仕事の中身をよく知って集中力を高める

仕事が山積みになっていると、不安になって作業に集中できなくなります。この場合、仕事を「知る」ことから始めましょう。具体的には、以下の3つを明確にします。

  1. どんな仕事がどれだけあるか
  2. 今、具体的に何をするべきか
  3. 自分が止めている仕事はどれか

こちらも先述の手順書があればおのずとわかります。これらを明確にできると、仕事が自分の支配下にある感覚になり、安心して作業に駐中できるようになります。仕事に振り回されずに、コントロールするイメージを持つことが大切です。

少しの勇気がコミュニケーションを円滑にする

コミュニケーションが苦手な人は、人間関係で悩むことが多いかもしれません。しかし、職場では、仕事を確実にこなした上で笑顔で「ありがとうございます」が言えれば合格です。ただ、職場の人とうまくやっていけることに越したことはありません。

曖昧なことを言われたら、具体的にどういうことかを質問する。仕事の状況や進捗を共有して周りの人との距離を縮める。雑談が苦手なら、教えてもらうことを目的にした会話をしてみる。このようなことを意識するだけでコミュニケーションが円滑になります。

問題はコミュニケーション能力にあるのではなく、言葉の使い方や段取りの悪さにあることも少なくありません。ほんの少しの勇気で居心地が良くなる可能性があるのです。

発達障害だったとしても安心して仕事を続けることはできる

仕事を続けられないのは、要領よく仕事をこなすことができずに居心地が悪くなることが原因であることは少なくありません。しっかりと仕事をこなせるようになれば、周りの人との関係も良好になり、評価にもつながります

この記事では、仕事を要領よくこなすために重要な手順書について、小鳥遊・F太著『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』からご紹介しました。ADHDである著者による手順書の詳しい作り方や活用法などが、詳しく丁寧に説明されています。

この本を読んで、安心して仕事が続けられるようになる仕事術を身につければ、長く働き続けることができるようになるはずです。

この記事は書籍『 要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑 』の関連コラムです。