主婦の能力の高さと大変さを訴えたツイートに、「泣ける」「本当に私たちよく頑張ってる」とたくさんの共感の声が寄せられています。
それが、結婚後もフリーランスとして活躍する井上真理子さん(@inoueconsul)が投稿したこちらのツイート。
もちろん私だけじゃ無いと思う。主婦って家事する時だけ家事のこと考えているんじゃなくて、仕事してる時もご飯食べる時も、おやつ食べてる時も、トイレに入っている時も、家事の段取り考えながら生活してる。主婦は高レベルなマルチタスク能力と24時間の本当に大変な仕事。ママさんはもう神。
(@inoueconsulより引用)
一方で、「家事も育児も全然追いついていない、自分は社会不適合者なのかも…」と落ち込む人もいるかもしれません。
でも、主婦ってビジネスマン以上に「タスク管理能力」が求められる職業とも言われてるんです。だから感覚だけでこなすには限界があります。
タスク管理が苦手ですぐキャパオーバーに陥ってしまう、と悩む人のために、発達障害と診断され、過去に何度も会社をクビになった経験を持つ小鳥遊さんが、著書「要領がよくないと思いこんでいる人のための仕事術図鑑(共著 F太)」の中から「何も考えなくても動ける仕組み」の作り方をお伝えします。
要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑
F太、小鳥遊(共著)
定価:1,400円(税込1,540円)
目次
最も時間管理がうまい職業は主婦
実は今、主婦を積極的に採用する企業が増えています。
日本マクドナルドは数年前に、専業主婦アルバイト採用の強化を発表しました。
J.P.モルガンも、「主婦の再就職支援を行う」と発表しています。
労働力不足を補う目的もありますが、どの企業も「主婦のタスク管理能力の高さ」に注目しているのです。
仕事に家事に育児に、さらにはご近所付き合いや親戚付き合いにいたるまで、限られた時間の中で同時に色んなことをこなす主婦は、「タスク管理能力」が非常に高い人たちといえます。
あなたの職場にも、「仕事がとてもきれいな人」がいませんか?作業1つ1つが効率的で、かといって決して雑ではない。パソコンの操作もスムーズで、セールストークもいつもポイントを踏まえていてわかりやすい。何よりたたずまいからして美しい……。
要領のよくない自分が真似をするのは、とても無理そうだ……。
私@小鳥遊はかつて、仕事のできる人=自分とは人種の違う特別な人間だと思いこんでいました。
これまでの私はしくじりの連続だったからです。
20 代は司法書士試験の勉強に明け暮れるも、結局不合格。その後アルバイトで入った司法書士事務所と不動産会社では、ほぼクビ同然で退職。
やっと定職についても、いつミスするかとビクビクしっぱなし。上司の眉間にシワが寄るだけで心が砕かれる毎日でした。案の定、仕事がうまく進められず、「なんて自分はダメなんだ!」と自分を責め続けて休職(しかも2回!)。
そんな私が今、安心して会社勤めを続けられているのです。自分の傾向は変わらず、仕事のやり方を変えただけで。
そのキーワードとなるのが、「タスク管理」なのです。
「まずは何から手をつければいいのか」を明確にするのがタスク管理
「タスク管理」と聞いただけで「難しそう!」と逃げ出してしまいたくなる人もいると思います。しかし、タスク管理とは、「まず何から手をつければいいのか」を明確にするための作業です。やるべきことが多すぎてパニックに陥ってしまう!という事態を防ぐためには、やるべきことを分解し、優先順位をつけ、自分がやらなくて良いものは人にボールを渡す、という作業が必要になります。
仕事を進める上でまず押さえてほしい基本、それは「手順書をつくる」ことです。段取りのいい人は、「えっと、次何するんだっけ?」と立ち止まることがあまりありません。仕事を進めるときの、踏むべき手順が頭に描けているので、すぐに行動に移せます。
そこで、仕事の段取りが苦手な人は、自分がすべき仕事それぞれの手順書を書くことが大事になります。たとえば、提案書を作成するとしたら、以下のように手順を分解して書き出します。
・参考資料を読んで情報収集をする
・方向性を上司とすり合わせる
・資料を作成する
・資料を上司に提出し、チェックしてもらう
・上司の確認後に、指摘された点を修正する
細かく手順を書き出すメリットは、ひとかたまりでみると大変な感じがするタスクの最初の一歩を踏み出しやすくなること。
タスクを山にたとえるなら、はるか遠い頂上を見ると「遠いな」と思いますが、まずは一歩目を踏み出す。まずは何をすべきかがわかることで、仕事に取り組むスピード感が早まります。
手順書で細分化した後は、ひとつめの手順に早く手をつけることもポイント。
少しずつ着手しておくと、複数のタスクが進んでいる実感がもてるので、心理的な負担を減らせます。
うまくいかないときは自分ではなく、やり方に問題がある
仕事がうまくいかないときや、思うように進まないとき。そんなときは自分を責める前に、仕事の手順書が未完成なのだと考えましょう。
仕事の手順書は、自分を動かすプログラムのようなものです。手順書というプログラムを組んだあとは、自分はそれを淡々と実行するだけ。
パソコンを例に考えてみます。精度の低いプログラムを実行するとエラーが出ます。そしてそのエラーを頼りに、プログラムを組み直しますよね。プログラムを実行したパソコンが悪いのではありません。では仕事の場合はどうでしょう。手順書をつくらずに進めてトラブルが起きると「自分の段取りが悪かったせいだ……」と、自分を責めてしまいがちになります。しかも肝心のエラーの原因も特定できません。
そこで、仕事の手順書=プログラムを書き出してみてください。すると「自分の能力や努力が不足しているのではないか」という呪縛から解放されます。そして手順書を眺めながら「どれどれ、どこが今回のエラーの原因かな?」と、冷静に考えやすくなるのです。
何も考えなくても動ける仕組みが最強
主婦の方たちは毎日同じ作業を繰り返しているからこそ、頭で考えなくても自然に体が動く能力を身につけています。
車の運転を想像してください(自転車でも構いません)。
免許を取るために、標識の意味を覚えたり、運転技術をトレーニングしたり、最初はとても頭を使ったと思います。
しかし免許を取得してしばらくすると、運転しながら車内で音楽やラジオを聞いたり、隣の人と会話をしたり、今日の晩ごはんについて、考えごとまでできるようになります。
しかも一度覚えれば、しばらく車に乗らなかったとしても、運転方法を忘れてしまうこともありません。運転席に座れば、あとは勝手に身体が動いてくれるのです。
この「身体が勝手に動く」能力を、あなたも私も、実際に仕事や生活の至るところで使っています。例えば、出勤したらパソコンを立ち上げてメールをチェックする……そういった毎日のルーティンワークは、朝のまだぼーっ
とした状態でもできます。
しかし、手順を自然に覚えられる仕事もあれば、なぜか覚えられない仕事もあります。何度もやっている仕事なのに「あれ?次は何をするんだっけ?」と考えてしまうのは、手順があいまいな証拠。いつも行きあたりばったりな段取りの悪い進め方をしているのです。
「何をするんだっけ?」と考えながら仕事を進めるのはストレスですし、何より時間もかかってしまいます。この「何をするんだっけ?」をなくす仕組みが、
「手順書をつくること」です。手順書こそが段取りの悪さを解消する第一歩。
どんな仕事もまずは手順書を作成し、その手順どおりに毎回仕事を進めてみてください。「次、何をするんだっけ?」と立ち止まることなく、スムーズに作業が進められます。毎回スムーズに同じ手順で作業を進めること。これが身体で仕事を覚えるために最も必要なことなのです。
この記事は、”要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑” F太、小鳥遊(共著) の新刊コラムです。
要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑
F太、小鳥遊(共著)
定価:1,400円(税込1,540円)
当たり前に仕事をして毎日を平穏に過ごせる。
「自分はここにいていいんだ」と安心できる。
こんな「普通」ができるようになる方法を紹介する本です。