生きているとさまざまなことが起きますが、報われない状況が続くと心身に悪影響を及ぼします。しかし自分に合った対処法を身に着けることで、報われない状況が成長の証と思えるようになるのです。
「仕事や家事を頑張っているけど、報われないのはどうして?」
「報われない状況ってどうやって耐えたらいいの?」
「辛い状況が続いたときの対処方法を知りたい」
など辛い状況を何とかしたいと思っているのではないでしょうか。今回は精神科医・須賀賢太著書の『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』から報われないときの対処法を紹介します。報われない状況から打破したい、ネガティブな気持ちを緩和させたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
そもそも頑張っても報われない状態とは?
頑張っても報われない状態とは、自分の力でどれだけ頑張っても結果が出ないときをさします。人により感じ方は異なりますが、以下の状況にもあてはまります。
- 仕事でなかなか結果が出ない
- 上司や会社から評価されず、モチベーションが下がる
- 家事をどれだけ頑張っても、家族から褒めてもらえない
- 勉強を人一倍頑張っていたけど、大学に合格できない
報われない状況が続くと、自分を責めてしまったり、モヤモヤが溜まったりと心身に影響を及ぼします。心身が壊れてしまう前に、原因と対策を理解しておくことが重要です。
頑張っても報われないと感じてしまう原因
頑張っても報われないと感じてしまう原因を解説します。
- 結果を求めすぎてしまう
- 何でも頑張りすぎる
- 人に認めてほしい気持ちが強い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
結果や報酬を求めすぎてしまう
仕事や勉強などのあらゆる場面で、結果や報酬を求めすぎてしまうと、報われないと感じやすくなります。
- 仕事で結果を残したから、上司から正当に評価されるはずだ
- 勉強を10時間以上やったから、志望大学に合格するに違いない
- 家事を完璧にこなしたから、家族からすごいと言われるだろう
このように過度に期待しすぎてしまうと、思い通りの結果にならなかったときに強く落ち込んでしまいます。「結果や報酬がなくても良い経験だった」と思うようにすると、少しずつ前向きになれます。目に見える形の見返りを求めすぎないことが大切です。
何でも頑張りすぎる
何でも全力で頑張りすぎてしまうと「報われなかった…」と思って落胆してしまいます。とくにストレスが溜まった状態や、体調不良のときに頑張っていても、正しい判断ができなくなるため、結果が出にくくなります。
自分で「頑張りすぎてるかも?」と思ったら、休憩やリフレッシュの時間を多めにとりましょう。1時間に1回休憩をとるなど、自分なりのルールを決めてみてください。
人に認めてほしい気持ちが強い
人に認めてほしい気持ちが強いと、何事も報われないと感じやすくなります。人から認められたい・必要とされたい気持ちを「承認欲求」とよび、誰もが感じるものです。
ただ承認欲求が強すぎてしまうと、人の顔色ばかり伺うようになり、他人軸で動くようになってしまいます。「報われたな」と思うために、自分はどう感じているのかを優先して考えてみましょう。
今を受け入れて報われない状況に耐えるためトレーニング
生きていると、報われない状況に耐えることが必要になるでしょう。耐えるためには、以下のトレーニングを試してみてください。
- 呼吸に目を向ける
- ニコッと笑ってみる
- 気持ちを実況中継する
日常生活に取り入れやすく、簡単にできるものばかりです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
呼吸に目を向ける
イライラや悲しみの感情に支配されそうになったときは、呼吸に意識を向けてみてください。自分の呼吸を数えてみる方法があります。
- 床や椅子の上に座って、足を床につける
- 「1回目を吸っている」と意識して、腹式呼吸で息を吸う
- 「1回目を吐いている」と意識して、腹式呼吸で息を吐く
- 自分の呼吸を観察しながら、10回繰り返す
- 気が散ってわからなくなったら、1回目に戻る
「今この瞬間」の感情や現実を受け入れることで、心が落ち着いてきます。寝る前やパソコンに向かっているときでも、長く静かに、均等に呼吸をしてみてください。
ニコッと笑ってみる
報われない状況だからこそ、ニコッと笑ってみましょう。心で現実を受け入れられないときには、体で受け入れることを意識してみると変化がおきます。報われない現実を体で受け入れる方法に、ハーフスマイルが挙げられます。
ハーフスマイルとは、穏やかな表情で口角を少しだけあげる、微笑みのような笑い方。顔全体の力を抜いて、リラックスすることが大切です。ハーフスマイルの実践方法は、以下の手順で行いましょう。
- 鏡の前で、無表情や冷淡な表情をつくる
- 額からあご、首から肩までの筋肉を緩める
- 鏡に映る自分の表情の変化を観察しながら、リラックスする
- 唇の両端を少しだけ上げて、穏やかな笑みを浮かべる
口角が上がった感覚を覚えて、辛いときに意識的にハーフスマイルを試してみてください。朝起きたときや、音楽を聴いているときなど日常から取り入れると、心が穏やかになります。
気持ちを実況中継する
頑張っていることが報われなくて疲れたり、いやな気持ちになったりしたら、自分の気持ちを実況してみましょう。今何が起きているのか、どんな感情があるのかを自分に説明してみてください。実況の具体例は、以下のとおりです。
- Aさんは仕事で評価されているのに、自分は認めてもらえなくて悔しい
- 悲しさと怒りがじわじわ広がって、涙が止まらなくなった
- 〇〇さんのことを羨ましいと思っていることに気づいた
気持ちを頭に思い浮かべたり、口に出したりしてもよいでしょう。
頑張りすぎて疲れたときの対処法5選
いろいろ頑張りすぎて疲れたときは、5つの対処法が挙げられます。
- 自分だけのおまじないを持つ
- 今は成長段階だと感じる
- 報われないときもあると開き直る
- もっと良い未来が待ってると思ってみる
- 成功体験を書き出してみる
あなたに合った対処法を見つけて、疲れを癒しましょう。
1.自分だけのおまじないを持つ
疲れてしまったときは、自分だけのおまじないを持ってみてください。ここでいうおまじないは「少しでも自分を励ますための言葉」です。「ストレスに対処するための考え方」を指す、コーピングという言葉があります。たとえば以下のような言葉をかけることが、コーピングの一種になります。
- 頑張っても報われない状況は一生続かない
- 不安や悲しみは感じてもいい
- 報われないからって人生が終わるわけじゃない
おまじないを使ったからといって、苦しみがすぐ消えるわけではありません。ただ苦しみや悲しみといった感情はずっと続くわけではなく、次第に変化していきます。感情の変化に気づきながら、自分にとって最も前向きになれる言葉をかけ続けることが大切です。自分の感情の変化に目を向けながら、自分なりのおまじないを活用してみてください。
2.今は成長段階だと感じる
頑張っても報われない状況に対して「今は成長段階だ」と感じてみるとよいでしょう。「なんでこんなに報われないんだろう」と思ったときに、意味を見出してみます。
たとえば上司に報告書を提出し、何度もダメ出しをされているときに、なぜ自分が報われないかと感じているかを考えてみましょう。「同僚は良い評価だったのに、自分はダメ出しされたから」と挙げたとします。その報われなさは、仕事に対する熱意や、成長するために感じているものです。
考え方を変えてみると、報われなさや怒りをバネにして頑張れるでしょう。初めはこじつけでもよいので、自分なりに意味を見出してみてください。
3.報われないときもあると開き直る
報われることに重点を置かずに、開き直る姿勢が必要です。どれだけ努力しても、報われないときは誰にでも訪れます。どうしても開き直るのが難しい場合は、これまで自分が頑張ってきた過程を振り返ってみましょう。
たとえば資格試験に受からない状況が続いたとしても、毎日欠かさず勉強してきたことや、何度も挑戦した事実に焦点をあててみてください。結果が報われなくても、頑張った過程や経験は無駄になりません。努力した事実に目を向けて「報われないときもあるよね」と口に出してみましょう。
4.もっと良い未来が待ってると思ってみる
疲れているときや辛いときこそ、もっと良い未来が待ってると思ってみましょう。疲れが完全に無くなるわけではありませんが、意識を変えてみるだけで、感情に支配されなくなります。また呼吸法やハーフスマイルを意識してみることで、現実が受け入れやすくなります。
もし報われなさに支配されそうになったら、良い未来が待ってると頭で思い浮かべたり、口に出したりしてみてください。
5.成功体験を書き出してみる
「頑張っているのに、誰にも認めてもらえなくて辛い」と感じたら、これまでの成功体験を書き出してみましょう。これまでの成功体験について、どのような目標をもって乗り越えてきたのかを書くことがおすすめです。大きな目標や達成したかどうかよりも、小さな成功体験をどれだけ見つけられるかがポイントになります。
- 日記を書き続けていたら、報告書がスムーズに書けるようになった
- 自炊の回数を増やしたら、目玉焼き以外の卵料理が作れるようになった
- 英会話のYouTubeを観続けたら、道案内できるようになった
小さな成功体験を書き出してみると、自分の好きなことがあらためてわかります。また失敗しながらも、前に進んでいると実感できます。自分を応援するような気持ちで、成功体験を書き出してみましょう。
自分に合った方法を見つけて疲れを癒そう
今回は『メンタルヘルス大国アメリカで実証された心がモヤらない練習』から、おすすめの対処法とトレーニングを紹介しました。頑張っても報われない状況が続いて辛い方は、今回紹介した方法を試してみてください。
とくにトレーニングは日常生活に取り入れやすいため、自分に合った方法が見つけられるでしょう。報われなくて疲れたな…と感じたら本書を手に取り、モヤモヤも一緒に解消していきましょう。