急な仕事やトラブルが発生したり、メール処理をしているうちに今日も終わってしまった…。どうすればズボラな自分を捨て勉強や仕事に集中できるのでしょうか。書籍「QUEST 結果を勝ち取る力」から、雑念を捨てて集中力を高める方法を一部紹介します。
目次
トリガーを仕掛ける
〝やろうと決める自分〟と、〝実際にやる自分〟は違います。たとえば家に帰って仕事の続きをやろう、と決めていたけれど、家に帰ったら急にやる気がなくなってやめた。これは意思の問題ではなく、ただ準備不足なだけです。
もし私が「今日は食べ過ぎたから、明日の朝30分走ろう」と決めたとしても、やると決めた自分は走っていないので、実感がありません。
〝実際にやる自分〟に、ただ「明日の朝30分走れ、どんなに眠くてもやれ」のような伝言をするのはちょっと厳しすぎるかもしれません。
全然やりたくないかもしれない、未来の自分がちゃんと行動してくれるように、丁寧に、完璧に、お膳立てしてあげましょう。
言葉はいりません。夜寝る前に、明朝の自分の行動を想像しながら、これを置いておいて、これを見える場所に貼って……と物を仕掛けておくのです。
よし、罠をすべて仕掛けた。これでもうバッチリ! と安心してベッドに入る。
ところが……目が覚めると、もうなんにも覚えていない。なんでこんなにく目覚ましが鳴っているのだろう。目覚まし時計がどこにも見つからない。仕方なくベッドから這い出ると、目覚まし時計はずいぶん離れたところで鳴っているようだ。どうやらリビングにあるらしい。ようやく停止した目覚まし時計の横には、いつも朝起きたときに飲む水の入った水差しがある。コップを取ろうとすると、コップの下にジョギングウエアが置いてあった。なんだこれはこれに着替えるのか。よくわからないまま着替える。ポケットに小銭が入っている。コンビニで食パンを買うんだ。玄関を出て、走り出す。朝の光に包まれながら 分ほどたって、ようやく気づく。ああそうだ、今日から朝走ろうと決めていたんだ。こんな具合です。これを「明日の朝30分走る」と決めて実際にやる自分〟のその時の気分に完全にゆだねられます。それは確実ではありません。これを進めると、次にこれがある。これをしないと、これに進めない。というふうに、自分をうまく誘導していくことで、新しい行動を開始、あるいは定着させやすくなります。
強制休憩をはさむ
能力を落とさないために最も大切なことは、休憩を「強制的に」入れることです。なぜ「強制的に」かというと、仕事に集中しているときは、中断することの方が、むしろ面倒くさいことに感じられるからです。
でも2、3時間くらいがんばってから休憩、という働き方をすると、脳がダメージを受け過ぎてしまうので、10分間やそこらの休憩では回復できません。
ですから、「疲れたら休憩」ではなく「疲れる前に休憩」を挟みましょう。タイマーを使って45分間の作業につき、5分間のペースで休むと良いと思います。休憩とはなにか、といえば簡単。とりあえず「椅子から立ち上がってみること」です。立ってみて、ひと息ついたら、歩きまわってみてください。水を飲んでみてください。戻ってきたらストレッチをしてみてください。すると気づくはずです。
「ああ、疲れたなあ」と感じた時点で休んでもなかなか復活できないものですが、疲れる前に体を動かしておけば、なかなか疲れないものなのです。
ストレッチをして、椅子に戻ったら、気晴らしをしましょう。どうでもいいメールの返信をする、本棚を整理する、パソコンの汚れを拭く、「やることカタログ」の「休憩時間」の中に書かれていること、気になっていた動画を観る、調べたかった言葉を調べるなど、とにかく頭を使わないことを、だらだらやりましょう。休憩の5分間は、思考を止めてほしいのです。お昼などにまとまった休憩を取れるときは、ごはんのついでに合計20分間以上の長めの散歩をしましょう。脳に太陽光と酸素を送り込むと回復が早くなります。
ものすごく疲れて眠いときは、特例として15分間タイマーをセットして寝ます。
休憩の終わりには、1分間タイマーをセット。深呼吸をしながら、これからやろうとしていることに考えを集中させましょう。きっと、早く動きたくてウズウズしてくるはずです。
視界から「時間泥棒」を消す
なんでもある状態が最も意思が弱く、なんにもない状態が最も意思が強い。
〈惰性のモード〉に流されてしまわないためには、どうすれば〝それ〟がない状態にするかを考えます。あえて理由を説明するまでもなく、最も身近にして、最も強力な時間泥棒は、間違いなくスマートフォンです。
時刻を確認しようと思って見ただけなのに、気づいたら1時間以上経過していた、なんていうことはざらにあるでしょう。スマートフォンは無駄なことが極力排除されており、少ない手順で、ほしい情報に到達できるので、つねに〝次にやること〟の候補として強力です。おまけに持ち運び自由。昼夜を問わず「気になる存在」として、私たちの暇やさみしさを埋めてくれます。
もちろん生活を便利にしてくれるものですし、私もたくさんの恩恵を受けています。しかしいくら気をつけていても、〈惰性のモード〉に取り込まれることを知っています。ですから、オフィスで仕事をするとき、スマートフォンはバッグのできるだけ奥深くにしまいます。反射的に(見たい)と思ったときに、取り出すまでの手順が多いと、思いとどまることができます。インターネットは、ボタンをクリックしてからページが開くまでに5秒間かかると、ほとんどの人は離脱してしまうそうです。その「5秒間の待ち」をつくれるかどうかが勝負なのです。
また、バッグを持っていないときは、スマートフォンを本でふたをしたり、ノートに挟んだりして見えないようにします。そうするだけで、だいぶ気にならなくなります。戦略なんてそんなものです。ちょっとの間でいいのです。
ススマートフォンは人々とのつながりの象徴ですが、物理的にその意識を断てば一人の世界に入りやすく、仕事をもっと集中して進められるようになります。
不便な環境に移動する
〝次にやること〟に集中したい。ならば必要な物だけを持って、他のことができない場所に行きましょう。じっくり検討したい資料があるならば、その資料と財布だけを持って、静かなカフェに行きます。じっくり作成したい書類があるならば、ノートとペンだけを持って、誰もいない会議室へ行きます。物事を力強く進めるためならば、気が散る状況に我慢して身を置き続ける必要はありません。
今より不便な環境に移動すれば、〝次にやること〟はそれだけ早く片付きます。さらにもっと早く片付けたければ、その〝次にやること〟に対する真剣さに応じて、投資する金額に差をつけるのも効果があります。
私の場合、時間をかけてじっくり考えなければいけないことがあるとき、 2軒のカフェのいずれかを選択することにしています。1軒は、店名に「速い」という意味を持つ、迅速なサービスを売りにしているカフェです。もう1軒は「喫茶店でのんびり」という古き良き時代に生まれたコーヒー専門店の老舗です。かたやコーヒー1杯200円、かたや1杯600円。そして本気で考えなければと焦っているときは、迷わず1杯600円のお店に入ります。この金額をかけているのだから、絶対にアイディアを出すぞ、という決意が生まれやすく、実際にいつも結果を出すことができるからです。
カフェに行けないときは、好きな飲み物を持って会議室にこもる。会議室にもにこもれないときは、デスクの上をきれいに片付けて、目立つところに「ただいま◯◯中」という紙を張り出す。そんなふうにして、〈対応のモード〉や〈惰性のモード〉に流される要因を排除しています。
自分の家でも同じことが言えます。進めておきたい仕事や勉強があるけど、進められない。それは当たり前です。ある日突然「英語の勉強をしよう」と決めたところで、今まで生きてきた年数、「家は帰ってきたら休む場所だ」とは認識しているのですから、いつもの習慣に戻されて終わりです。
そのかわりに、会社帰りに寄り道をしましょう。休みの日には家を出ましょう。カフェかファミレスに行って、途中まで進めてから家に戻ってみれば作業が中途半端なところで終わっているのが気持ち悪いので、家に帰ってもモードが切り替わらず、続きをしたくなるものです。
書籍「QUEST 結果を勝ち取る力」では、行動心理学のプロフェッショナルである池田貴将さんが「行動を仕組み化して最高のパフォーマンスを維持する方法」について紹介しています。詳しくはぜひ、書籍をチェックしてください。