ビジネスの世界において重要な商談。商談を上手く進められるかどうかで、受注件数や売上金額は大幅に変わってきます。
「営業成績が伸びない」
「商談の進め方が分からない」
「商談の意味や流れを理解したい」
という方向けに今回は、犬塚壮志著書、『頭のいい人の対人関係誰とでも対等な関係を築く交渉術』から商談の意味や進め方、成功させるための5つのポイントを紹介します。営業の基本である商談について詳しく紹介しているので、成績が伸び悩んでいる方や、上達したいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
商談とは?意味や打ち合わせとの違いを解説
そもそも商談の意味をきちんと理解している人は少ないのではないでしょうか。ここでは
- 商談の意味
- 打ち合わせとの違い
について解説します。
商談とは商売の交渉や相談
商談とは、自社商品やサービスの取引売買に関する交渉や話し合いを指します。商品・価格・納期などの契約内容の詳細を、営業担当と顧客が直接相談をします。顧客が困っていることをヒアリングし、課題解決できる商品やサービスを紹介して、双方納得できたら契約成立。
商談は1回で済むこともあれば、複数回要することもあるでしょう。商談の最終的な目的は契約成立なので、ゴールを明確にして商談を進めることが大切です。
打ち合わせは進捗状況の確認
打ち合わせとは、契約締結後のフォローや進捗状況の確認を指します。商談は自社商品を購入してもらったり、サービスに契約してもらうこと。打ち合わせは契約成立後に、スムーズにサービスを開始してもらったり、納品までの進捗状況を確認したりなどがメインです。
このように商談と打ち合わせでは意味が異なります。事前準備や最終目的が大きく変わってくるので、顧客と話す時は「商談」か「打ち合わせ」かきちんと理解して、話し合いを進めましょう。
商談の進め方7ステップ
つづいて商談の進め方を紹介します。
- ターゲットを選定してアプローチする
- アポイントを獲り事前準備を開始する
- 商談当日は挨拶とアイスブレイク
- 商談相手の課題やニーズをヒアリング
- 今後の方向性と課題の共有
- 自社商品やサービスを提案
- クロージングをして契約成立
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.ターゲットを選定してアプローチ
商談前にまずは、自社商品を紹介するターゲットの選定やアプローチが必要です。ターゲットを選定するとき、取り扱っている商品自体にそもそも興味を持っていない相手にやみくもにアプローチしても契約成立には至りません。自社サービスで、相手の課題を解決できない場合も成約には繋がりにくいでしょう。
- 過去に契約成立には至らなかったが興味を持ってくれていた
- お問い合わせフォームから連絡があった
- セミナーやイベントに参加してくれた
など商品やサービスに興味があり、近い将来購入の可能性がある見込み客へアプローチすることが重要です。商談前にターゲットを決めて、相手企業を念入りにリサーチしましょう。
2.アポイントと商談の事前準備
ターゲットを選定して相手企業のリサーチができたら、商談のアポイントを取る必要があります。アポイントの方法は大きく分けて2種類。
- インバウンド営業
- アウトバウンド営業
インバウンド営業は、顧客からの問い合わせやセミナーに参加してくれたなど、顧客きっかけで行う営業手法。アウトバウンド営業はテレアポなど、こちらからアプローチを行い、顧客獲得に繋げる営業手法です。
アウトバウンド営業では、先方がサービスを認知していないケースもあるので、難易度は高まります。またインバウンド営業では顧客の課題や関心度がある程度把握できますが、アウトバウンド営業ではファーストコンタクトや事前のリサーチが非常に重要です。
アポイントが取れたら企業情報のリサーチと、抱えていると思われる課題を仮定するなど商談の準備を進めましょう。
3.挨拶とアイスブレイク
商談当日はまずは名刺交換を行います。挨拶の表情、態度などはコミュニケーションに大きく影響し、商談がうまくいくかを左右します。清潔な身だしなみを心掛けて、笑顔でハキハキと対応しましょう。
すぐに本題に入るのではなく、アイスブレイクとして自己紹介や自社紹介、商談と関係のある小話しを挟みながら、緊張感をほぐして話しやすい雰囲気を作りましょう。気合を入れて商談を始めてしまうと、相手が緊張し身構えてしまうからです。Zoomなどオンライン商談を行うときは、緊張感がより高まるのでアイスブレイクで場を和ませることを心掛けてみてください。
時間が限られているときや、商談相手がすぐに本題に入って欲しそうなときは、状況によって時間配分をしましょう。
4.商談相手の課題やニーズをヒアリング
場の雰囲気が和んだら、自社商品やサービスを紹介する前に相手の課題をヒアリングします。ニーズに合わない提案をしないために、課題とニーズのヒアリングは重要です。
営業担当者は商品を売ることに意識が向きがちですが、顧客は商品・サービスによる課題解決が目的です。相手の抱えている問題を引き出して、どのような提案が必要か考えましょう。
5.方向性と課題の共有
課題をヒアリングできたら、顧客と課題を共有し方向性をすり合わせましょう。商談相手は敵ではなく、その問題や悩みを一緒に解決するパートナー・仲間だと考えます。課題解決を共通の目的としましょう。
商談中にもっとも重視すべきなのは、「立場」よりも「利害」です。立場とは、説得したい側、売り込みを聞く側など各人の立ち位置。利害とは、願望、関心のこと。「ノルマを達成したい」「買った商品で課題を解決したい」など、利益や損害に対する想いです。営業担当者は商品を売り込むという立場に固執せず、商談相手との「共通の利害」を見つけて、そこにお互いの意識が向かうよう促します。そしてお互いの利害ができる限り実現できる合意を目指し話し合いを進めましょう。
6.自社商品やサービスの提案
課題をヒアリングして方向性を共有できたら、いよいよ商品やサービスを提案します。
- サービスの特徴
- 他社との比較や差別化ポイント
- 自社の強み
- 価格
などを伝え、顧客が抱える課題をどのように解決できるのか具体的に説明します。価格の説明をするときは後々のトラブルを避けるためにも、安く見せようとせず事実を率直に伝えます。また相手からの質問にも誠意を持って回答しましょう。
相手企業の業界に合わせて事例を紹介したり、商品を持参して見てもらうなど、相手がサービス導入後をイメージしやすいよう工夫して自社商品やサービスをプレゼンします。
7.クロージングをして契約獲得
最後に重要なのがクロージングです。
ヒアリングやプレゼンを通して顧客の様子や反応を見ながら契約締結を進めます。初回で契約獲得は業界や業種によって難しいこともあるでしょう。しかし決断を先延ばしにすると購入意欲が落ちていく恐れもあるので、初回でも必ずクロージングをするなど、積極的に後押しすることも大切です。クロージングをすることで、相手が不安に思っている点や、関心度の高さを把握することもできます。
最後に次回の商談時に資料を提供するなど、今後の流れについて顧客と共有します。時間を割いてもらったことにお礼をして商談後はお礼のメールを忘れないようにしましょう。
商談を成功させる5つのポイント
つづいて、商談を成功させるための5つのポイントを紹介します。
- 事前に相手の情報を集める
- ロールプレイングで商談のトレーニングをする
- 商談の目的やゴールを明確にする
- 互いの利害に注目する
- 商談後もコミュニケーションを続けてフォローする
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.事前に相手の情報を集める
商談における絶対の必需品が相手の情報です。商談相手の情報をどれだけ集められるかで、商談の結果が大きく変わってきます。
相手の状況や課題を知らなければ、商談中に最適な提案や選択ができません。たとえば商談相手が重視していることが、価格よりも納期だと分かっていれば、時間にアプローチする交渉材料を用意したり、期日を引き合いに出したりすれば成約となる確率は上がるでしょう。相手を知れば知るほど、自分がどのような手札を切ればいいか分かってきます。
商談を成功させるには、相手の情報をしっかりと集めましょう。
2.商談の目的やゴールを明確にする
商談を進めるときは、目的とゴールを明確にすることが重要です。
何のために商談を行い、その結果自分は何を得られるのかを明確にしておきましょう。ゴールが分かっていれば自分の軸がはっきりして、商談中もぶれなくなります。話しが逸れても目的が定まっていれば、本題に戻ることができるはずです。
「商談したけど何も決まらなかった……」とならない為にも、商談の目的とゴールを事前に設定して挑みましょう。
3.ロールプレイングで商談のトレーニングをする
商談を上達するには、ロールプレイングをしてトレーニングする必要があります。
事前に相手の情報を集め、目的やゴールを明確にして商談に挑んでも、実際にトークをしてみると上手く切り替えしできないことも。座学などのインプットだけでなく、先輩や上司相手にロールプレイングを行い、アドバイスやフィードバックをもらいましょう。トークの進め方や内容など、自分の得意な部分や不得意な部分が明確になり、改善点が分かります。
商談をスムーズに行うためにも、ロールプレイングでトーク力を鍛えてみてください。
4.互いの利害に注目する
商談を成功させるには相手を打ち負かすのではなく、お互いの利害に注目しましょう。
利害とは願望・関心。商品を売ってノルマを達成したい営業担当者と、サービスを導入して現状の課題を解決したい顧客など、それぞれ利益や損害に対する想いです。営業担当者がノルマ達成ばかりに固執して商談を進めても、交渉は平行線のまま停滞するでしょう。上手く進めるためには、交渉している者同士の「互いの利害」を見つけます。
利害の不一致があれば、商談は成立しません。お互いの利害をできる限り実現できるポイントを見つけて、話し合いを進めてみてください。
5.商談後もコミュニケーションを続けてフォローする
商談を成功させるには、顧客と接点を切らないことも重要です。
商談で成約に至らなかったものの、関心度が高い顧客にその後なんのフォローもしなければ、取れていたはずの契約を取り逃がしてしまうこともあるでしょう。また契約獲得した顧客でもサービスを継続して使ってもらうために、アフターフォローや接点を持ち続けることは重要です。
商談後も見込み客とはコミュニケーションを続けて、接点を切らないようにしましょう。
まとめ
今回は商談の流れと進め方、成功させるための5つのポイントを解説しました。商談は営業活動の重要な要素です。新規の顧客獲得や、成約後の顧客に新規商品を使用してもらうなど、会社の利益に大きく関係してきます。
犬塚壮志著書『頭のいい人の対人関係誰とでも対等な関係を築く交渉術』では、どのような職業の方でも日常の人間関係やあらゆる問題を解決できる「頭のいい交渉術」について綴られています。営業で成果を上げたい、やりたい仕事でできるようになりたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。