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嫌われている人にあえてお願い事をする!?人間関係の悩みを解決する交渉方法

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会社での派閥や社内政治など、同じ組織内でも全員仲がいいわけではない場合や、相手に嫌われていると感じたとき、どう対処すればよいのでしょうか。敵対関係を続けるのも1つの方法かもしれませんが、どうにかしたいと思う人が多いはず。

この記事では、自分を敵視する相手と距離を縮める方法を、対人関係の全技術を凝縮した「頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術」よりご紹介します。ぜひ最後まで読んで、敵対している人間関係の悩みを解決するのに役立ててください。

あえてお願い事をしてきっかけをつくる

嫌ってきた相手にお願い事をして、人間関係を改善する方法について説明していきます。

ベンジャミン・フランクリン効果

なるべく敵を作らず、嫌われるのは避けたいと思う人は多いのではないでしょうか。相手に嫌われているなと感じても、同じ職場の人などで毎日顔を合わさなければならないとしたら、強いストレスになってしまうことでしょう。

このような人間関係の悩みを解決するには、「ベンジャミン・フランクリン効果」を用いた交渉がおすすめ。これは、嫌ってきた相手にあえてお願い事をするという方法です。

自分を嫌っている人にお願い事なんて聞いてもらえない気がするかもしれません。しかし、相手は頼りにされたことで「承認欲求」が満たされます。承認欲求とは、自分が集団から存在価値を認めてもらいたいと思う欲求のこと。

これにより次第にこちらに対して好意や親近感を感じ始めるのです。それをきっかけに、いつの間にか自分の味方に引き込むこともできるでしょう。

嫌悪感が消えていく理由

ベンジャミン・フランクリン効果は、アメリカの政治家であるベンジャミン・フランクリンのエピソードに由来します。
彼を目の敵に人物がある本のコレクターであると知り、コレクションを貸してくれるようにお願いしたところ、相手は喜んで応じました。それ以後、友好的になったのです。

これは「認知的不協和理論」で説明できます。認知的不協和理論とは、自分中に矛盾した考えがあることに気づくとモヤモヤして落ち着かないため、自分の考えを歪めたり本心とは異なった行動をとったりしてしまうこと。

つまり、「お願い事を聞き入れているのだから、相手のことを嫌いであるのはおかしい」という認知的不協和の解消が生じて、嫌悪感や敵対心が消えていくのです。

相手が自分を利用しようとしてきたら

ベンジャミン・フランクリン効果を相手に仕掛けられたと感じたら、相手に交換条件を出すことが有効です。

相手が頼み事をしてきたら、「実は私も聞きたいことがあって」などと言って相手が教えたくないようなことをあえて質問します。すると、他人から恩恵を受けたら、似たような形でそのお返しをしなくてはならないという「返報性の心理」が働き、相手は教えたくないことを教えなければならないと思うのです。

しかし、「教えたくない」という感情は無視できないので、相手は認知的不協和の状態に陥ることに。そして、あなたから少しずつ距離をおくようになるでしょう。

相手からベンジャミン・フランクリン効果を仕掛けられたときは、頼まれた以上のお願い事をすることが防御方法となります。

効果を引き出すために

ベンジャミン・フランクリン効果をつかうときのコツをみていきましょう。

お願い事は些細なものがよい

敵対する相手にするお願い事は、些細なお願いで十分。関係改善のきっかけとなるのは、頼まれてもすぐにできることだからです。

たとえば、「ペンを貸してほしい」「おすすめの書店を教えてほしい」などというお願いをするとよいでしょう。

反対に、ヘビーなお願いは相手からさらに嫌われてしまうことになりかねません。その点は注意しましょう。

効果的なアプローチ法

社内の派閥争いやライバル企業との戦いなど、敵陣を攻略しなければならない状況にあるとします。相手側のボスを落とすために外堀から攻めていく際、ベンジャミン・フランクリン効果を狙うならどうアプローチするとよいのでしょうか。

たとえば、相手側のボス・ボスの側近であるA氏・中立的立場のB氏・自分の味方であるC氏がいるとします。このとき、A氏・B氏・C氏のうち、誰から味方に引き込むかという順番が非常に重要

この場合は相手側のボスに最も近いA氏がよいとされます。この考え方は、多数派をつくっていくために、誰から落としてくかで結果が変わるというもの。中国の戦国時代の外交戦略にも使われていました。

自分との距離が遠ければ遠いほど、さらに敵陣のボスとの距離が近ければ近いほど、味方に引き込むのには時間がかかります。しかし、成功したときの効果は絶大です。

まとめ

自分を嫌ってきたり、敵視してきたりする相手には、あえてお願い事をすることで相手との距離を縮めるとよいでしょう。すぐにできるような些細なお願いが有効です。それをきっかけにして、好意や親近感を感じはじめることでしょう。

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