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頭のいい交渉術をマスターするための5つの心理法則とは

頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術
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頭のいい交渉術を身につけるために、覚えておくべきセオリーとルールがあります。これは頭のいい人がつくっている人間関係を自分でも築けるようになるために必要不可欠。相手から認められ、選ばれるために、ぜひ覚えておきましょう。

この記事では、頭のいい人がつくる対人関係の土台となる心理法則や理論を、交渉の技術を全て詰め込んだ「頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術」よりご紹介します。ぜひ最後まで読んで、頭のいい交渉術を最短でマスターする心理法則とルールを身につけていきましょう。

覚えておくべき5大セオリー

頭のいい人がつくる対人関係の土台となるセオリーには次の5つが挙げられます。

  1. 人はコストをかけたものを選ぶ
  2. 人はあたえてくれる人を選ぶ
  3. 人はリスクをコントロールしてくれる人を選ぶ
  4. 人はモヤモヤを解消してくれる人を選ぶ
  5. 人はやる気を引き出してくれる人を選ぶ

次から詳しく見ていきましょう。

1.人はコストをかけたものを選ぶ

過去に費やした時間・お金・行動など、これまで費やしてきたコストを基準にして意思決定してしまうことがあります。これをサンクコスト理論といいます。

これまで費やしてきた時間や労力などに囚われ、もったいないなどという感情が合理的な判断を邪魔するのです。

「今までこれだけお金と時間をかけたから、今さら中止にできない」「これまで一生懸命に尽くしてきたのに、今さら別れられない」など、このような感情で物事の判断や意思決定をしたことがあるかもしれません。

しかし、すでに費やしたコストは事業撤退や別れの合理的な判断とは関係ないのです。

交渉においては、自分がサンクコストに陥らないようにしながら、こちらからはサンクコスト理論を巧みに仕掛けて話し合いを優位に展開させるとよいでしょう。

2.人はあたえてくれる人を選ぶ

先に相手に与えることで、相手から選ばれやすくなります
他人から恩恵を受けたら、そのお返しをしなくてはならないという「返報性の原理」が働き、人は与えてくれる人を選ぶからです。

スーパーの食品売り場で試食をしたら「何か買わなくては申し訳ない」という気持ちになり、予定になかったものを買ってしまったことなどが当てはまります。

あたえるものは相談に乗る・情報を提供するなど様々な種類があります。これにより、こちらの提案を受け入れてくれる可能性が高まるでしょう。

3.人はリスクをコントロールしてくれる人を選ぶ

私たちは利益と損失を比較したとき、損失を回避したいと感じます。これを「プロスペクト理論」と呼びます。
人は得するよりも損を避ける選択や行動をしがち。これは交渉時の大きな武器となります。

交渉時には得られるメリットよりもデメリットが避けられることをアピールすると効果的です。
人は自分に降りかかるかもしれないリスクを指摘して損をしないようにコントロールしてくれる人を選ぶのです。

4.人はモヤモヤを解消してくれる人を選ぶ

私たちは自分の中に矛盾した考えを持つことがあり、その矛盾に気づくとモヤモヤします。そのモヤモヤを解消するために自分の考えを強引に歪めてしまうことがあります。これを「認知的不協和理論」といいます。

交渉においては、意図的に相手の中に認知的不協和を起こさせたのち、その解消に役立つ情報を提供します
人は自分の抱えるモヤモヤを解消してくれる人を信頼するので、交渉を有利に進めることができるのです。

5.人はやる気を引き出してくれる人を選ぶ

私たちは行動を起こすとき、何らかのモチベーションを感じて動かされています。そのメカニズムを研究したのが「モチベーション理論」。さまざまな種類がありますが、交渉を優位に進めるのに役立つのは以下の4つです。

  • 「自己実現理論」相手がどの段階の欲求を満たしたいか見極める
  • 「期待-価値理論」相手がワクワクする価値を刺激する
  • 「達成目標理論」相手のキャラに合わせて交渉ゴールを調整する
  • 「自己決定理論」相手の「自分が決めた」満足感を演出する

これらを用いることで相手のモチベーションが高まり、やる気を刺激してくれる人に好意を持ちます

5つのセオリーとともに守るべき3つのルール

頭のいい人が作っている人間関係を築くための守るべき3つのルールを説明していきます。

1.全ての交渉は心構えからはじめること

交渉に対するマインドセットができていれば、自信を持って相手と対峙することができます。自分の考えをはっきりさせ、相手に自分の思惑が悟られないよう、自信を持ちながら交渉に臨むことが重要。

まず、自分の譲れないものは何か、その交渉で手に入るものの重要度はどのくらいかを明確にしておくこと。敵は交渉相手ではなく「生じている問題」であること。交渉の余地は必ずあると思うこと。そして、自分を「交渉の達人」だと思い込むこと。

マインドセットが定まれば、自分軸が確立され、交渉の成果は180°変わるでしょう。

2.交渉を成立させるためにはまず相手を知る

交渉においては、相手の情報をどれだけ把握しているかによって結果が大きく変わります
相手を知れば知るほど、自分がどのような手札を切ればいいかがわかってくるからです。

たとえば取引先との商談で相手が重視しているのは価格より納期だという情報を知っていたら、「時間」や「期日」を引き合いに出したアプローチをすれば、うまくいく確率が上がります。

相手の情報を知っておけば、交渉の準備や交渉中に相手の思考や言動がある程度予測できるようになるでしょう。

3.焦点を当てるべきは「立場」ではなく「利害」

交渉で重要なのは、お互いの「立場」ではなく「利害」。相手を打ち負かすことではありません。自分の立場に固執して持論を主張し合えば、交渉は平行線のままです。

ここで交渉をうまく進めるには、「共通の利害」を見つけ、お互いの利害ができる限り実現できる合意を目指すことです。

たとえば、商品を売りたい人と、その商品はまだ買いたくない人が交渉している場合、「売りたい」と「買いたくない」という立場のままであれば交渉は成立しません。

ここで「納得したうえで買ってもらいたい」「納得してから決めたい」という「共通の利害」の存在に気づいたら、条件のすり合わせにたどり着き、お互いが満足できる合意ができるかもしれません。

利害を知ることで、相手の言動の動機がわかり、優位な交渉ができます

まとめ

頭のいい人がつくる人間関係の土台となっている5つの心理法則や理論、そして3つのルールを理解しておくことが、「頭のいい交渉術」をマスターするための近道になります。ぜひあなたも日々の生活やビジネスシーンに取り入れてみてください。

対人関係の全技術を凝縮した「頭のいい人の人間関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術」では、交渉力を身につけるために必要な「3つのルール」・交渉力を爆上げする「5つのセオリー」・即効果が出てくる「55の交渉術」を、イラストを用いながらわかりやすく説明しています。ぜひ本書を読んで、もめない・損しない・ナメられない「頭のいい交渉術」を身につけ、あなたらしい人生を謳歌してください。


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