苦しくてつらくても、自分の感情を変えられないことはありませんか?または、感情を変えてはならない場合もあるでしょう。
そのためには苦しい感情に耐え、自分の心の状態を知ってコントロールする習慣を身につけることが大切です。その方法をメンタルクリニック院長である須田賢太著書の『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』より紹介します。
目次
単純な作業をして自分を落ち着かせる方法
「感情調節スキル」は、自分の感情を調節し、必要なら変えるスキルですが「苦悩耐性スキル」は、苦しい感情が変えられない、変えてはならない場合の苦痛に耐えるスキルです。感情に圧迫されて動けない感覚の場合は、後先を考えず行動してしまう可能性があるでしょう。
感情に圧迫されて、身動きがとれず生活に支障がきたす場合は、衝動的行動を起こしてしまうかもしれません。そのようなときは、落ち着いてスキルの実践を試す余裕はないでしょう。そこで使用してもらいたいのが「苦悩耐性スキル」です。今苦しんでいる状態からとにかく気をそらしてもらう方法なのです。
いつでもどこでもできる「数字」を数える
「数字」を数える方法は、いつでもどこでも実践しやすいためおすすめです。
例えば、自分の呼吸を数える方法です。呼吸の数を数えるだけに集中し、苦痛の感情が湧き起こってきたらすぐに数を数えることに焦点を戻してください。すると自分の感情が落ち着いてきます。
ほかにも本棚の本の数を数える、外を歩く人の数を数える、スマホに入れているアプリの数を数えるなど。自分以外の数を数えてそちらに集中しましょう。また、6の倍数を数える、100から7を引き続けるなど単純な計算も効果が期待できます。
頭を動かし作業に没頭する
計算や数字に関する単純な作業だけでなく、頭を動かし集中することで苦痛から気をそらす方法も有効的でしょう。
パズルゲームをしたり、メールを整理したり、取扱説明書を熟読するなど。自分が没頭できることを探してみましょう。別の作業に集中すれば、今のつらい感情から抜け出せるでしょう。
作業以外の方法で苦痛から意識をそらす
作業以外でも今の苦痛から気をそらす方法はあります。
ここからは、ほかの方法を紹介していきます。
別の感覚を引き起こす
別の感覚を起こすことも「気をそらす」方法として有効的です。
例えば、氷を持って強く握りしめる、腕に輪ゴムをはめて弾く、熱いお風呂に入る、好きな香りをかぐなど。ほかの感覚に意識を向ける体験をして苦痛から気をそらしましょう。
別の感覚で気をそらす方法は、解離症状と呼ばれる症状を引き起こす人に向いている方法です。
解離症状とは、現実が現実でないように感じる、自分の体が自分でないように感じる、過去に合ったことが夢か現実か分からなくなる症状です。
自分以外の人に目を向ける
単純な作業をしても感情に圧迫されて身動きがとれない、感覚が落ち着いてきてもつらい感情が続くこともあるでしょう。そのようなときは「自分以外の人に意識を向ける」ようにしましょう。
例えば、家族や友達、俳優やミュージシャンなどの大切な人の写真を眺める。大切な人が傷ついているあなたを見てどんな言葉をかけてくれるか、どのように癒してくれるか想像しましょう。
ほかの人のために何かをするのもおすすめです。人に贈るプレゼントを探しに買い物に行く、家族の手伝いをする、職場や教室などの掃除をする、ボランティア活動に勤しむなど。
苦しくつらいときは、自分のことばかり考えてしまいがちですが、誰かのために行動すれば気分が変わります。ほかの人の役に立つ、喜びも感じられ、心が満たされるでしょう。感情は一次的なものです。いい感情も嫌な感情もいつまでも続くことはありません。
まとめ
苦しい気持ちをまぎらわせる・気をそらすスキルを手に入れれば、どんな場合も自分で自分を落ち着かせることができます。つらい状況を乗り越えられるスキルを身に付けられれば、「感情をコントロール」でき、あらゆる困難を乗り越えていけるでしょう。
「苦悩耐性スキル」は、苦しくてどうしようもない場合のお守りのような技術です。頭の片隅に入れておいて、困ったときや必要なときに思い出してください。
『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』では、気持ちが不安定になったり、まわりの人に強い感情をぶつけたりするのではなく、自分の心をコントロールできるようになる30の行動リストを4コママンガとともにお届けしています。
本書を読んで、自分自身を見つめてみませんか。自分のために感情を理解し、今を大切に過ごしましょう。