悩んでいる状態を抜け出すには、その悩みを誰かに吐き出し、自分の弱さを赤裸々にさらけ出すことが必要!? シリーズ累計90万部の『アウトプット大全』の超実践的コミック『もしも社畜ゾンビが『アウトプット大全』を読んだら』著者の精神科医・樺沢紫苑が解説します。
目次
ひとりで悩むと、孤独に陥る
あなたには、「弱音」を吐ける人がいますか?
「同僚や後輩にそんな姿は見せられない」「仕事の愚痴を話すなんてカッコ悪い」……そんなふうに考えて、弱音=本音を話せる相手がいないのであれば、あなたはちょっと危険な状態といえます。
誰にも本音を打ち明けられないと、いつしか孤独感やストレスがたまっていきます。気付かぬうちに思考力が低下し、気力がわかず、働くことはおろか生きることへの意欲も失った「社畜ゾンビ」になっている……なんてことにもなりかねません。
「言語化」でスッキリ&自分を客観視
自分の「思い」や「感情」を表現できると、気分がスッキリします。表現には、自分の「考え」「思い」「気持ち」を言葉で表現する「言語化表現」と、「笑う」「泣く」、身振りや手振り、態度であらわす「非言語的表現」があります。
特に大切なのが言語化です。言語化によって、「心」というとらえどころのないものを、客観的につかむことができるのです。さらに、「話す」「書く」などのトレーニングをすると、言語化能力が高まり、自己洞察能力も高まります。
もし悩みがあるのなら、自分の心の中にある不条理を言葉にして表現しましょう。日本人は人前で感情を表現することが苦手で、つらくても表情に出さずに我慢するのが美徳と考える人も多いでしょう。しかし、感情を表現することによって、苦しい気持ちがスッキリします。
こうして自分の弱さをさらけ出し、自分の弱さを認めることを、心理学で「自己受容」といいます。自分の弱さを認めることで、初めて他人に対しても優しくなれます。「自己受容」を行うことは、悩みから脱して次のステップへと向かう、ひとつの転換点となるのです。
自己開示は「心の荷下ろし」
そして、悩みや苦しみを誰かに「打ち明ける」ことで、心の中がスッキリするだけではなく、物事が打開したり、人間関係が一気に深まったりすることがあります。
「自分の秘密」「自分のマイナス部分」など、心の中を打ち明けることを、心理学では「自己開示」といいます。自己開示することで、相手のあなたに対する親近感がアップし、人間関係が深まる。これを「自己開示の法則」といいます。さらに、自分が自己開示すると、相手も自己開示してくれる。これを「自己開示の返報性」といいます。
自己開示は「心の荷下ろし」です。悩みで重くなっていた心のうちも、誰かに話すことで軽くなります。そして、孤独感やストレスが浄化されるとともに、話を聞いてくれた相手との絆も生まれます。さらには、相手との会話の中で、現状を打開するようなアイデアにも出会えるかもしれません。こうした効果は、人の目を気にして悩みをひとりで抱え込んでいる人には、絶対に得られないものです。
恥ずかしがらずに「アウトプット」を
こうした「表現する」「打ち明ける」といった行為はアウトプットの一種です。『学びを結果に変えるアウトプット大全』(2018)では、「話す」「書く」「行動する」「伝える」というアウトプットの重要性と、その具体的な方法を紹介しています。そして、同書を完全オリジナルストーリーで漫画化したのが『もしも社畜ゾンビが『アウトプット大全』を読んだら』です。普段ビジネス書を読まない人でも、短時間でわかりやすくそのエッセンスを吸収できます。
アウトプットには、現実を変える力があります。本当につらいときは、涙を流してもいいのです。つらさや苦しさを適度に吐き出すことで、あなたという人を理解してくれるサポーターが周りに増えていきます。現状を変えたい人は、まずは恥ずかしがらずに「表現する」「打ち明ける」というアウトプットから始めてみてください。
この記事は、”もしも社畜ゾンビが『アウトプット大全』を読んだら” 樺沢紫苑(著)・齋藤邦雄(漫画) の新刊コラムです。