うまく効果的に相手に伝えることができれば、仕事の成果も上がるのではないかと感じたことはないでしょうか。しかし、話すのに苦手意識があると要領がつかめず、うまく伝わらないと落ち込んでしまうことも。
話し方はトレーニングで上達できるスキルです。これから紹介する話し方のコツを意識すれば、あなたもうまく話せるようになっていくでしょう。ビジネスで使える話し方のコツをぜひ身につけ、プレゼンやスピーチに活かしてみてください。
目次
うまく伝わる話し方5つのコツ
はじめに、うまく伝わる話し方の5つのコツをみていきましょう。
伝える順番を意識する
うまく伝えたいと思ったら、結論から先に話すとよいでしょう。事実を時系列のまま話すと、何を言いたいのかがわかるまでに時間がかかり、聞いているほうはわかりにくく感じるからです。普段話しているのと逆にするように意識することがコツです。
【NG例】
「急ぎの注文を受けていたのですが、別の打ち合わせが長引いて発注が間に合わず、それが金曜の夕方だったので月曜の朝の分になってしまい、先方の希望する納期に間に合わなくなって急いで謝罪をしたのですが……」
【OK例】
「発注ミスで納期に間に合わなくなりました。先方に連絡し、メーカーから直接納品してもらうことで了承していただきました。納期が遅れた経緯は……」
ただ、場合によっては結論が必要ないこともあります。何を伝えたいのかを意識して、臨機応変に対応することが大切です。また、相手が傷ついてしまうような内容の場合は、詳細からゆっくり説明した方がよいでしょう。心の準備ができるからです。
順序よく伝える
結論と理由を順序よく伝えることができれば、相手への説得力が増します。理由を伝えるときもポイントを絞るようにしましょう。
いくつかの理由を伝えなければならないときは、「理由は3つあります。1つめは……」などと数字を使ってまとめるとわかりやすいでしょう。このとき、まとめるのは3つまでにしましょう。多すぎるとわかりにくくなります。
必要なら最後に補足を付け加えましょう。
理由を明確にする
先に結論を伝えたら、理由を説明すると説得力が生まれます。その結論に至った経緯を的確に説明しましょう。結論に対する対処法や意見を話し合うときに、理由が明確になっていると判断がしやすくなります。結論ばかりを主張していると、相手が意見を言いにくくなることがあるからです。
理由を伝えるときも、端的に分かりやすく伝えることを心がけましょう。
聞き取りやすい声で話す
声の出し方で印象が変わります。相手がきちんと理解できる声量でハキハキと話すようにしましょう。相手が聞き取りやすいかどうかを意識することが大切です。
このとき、場所や相手の様子で声のトーンを変えると効果的です。大きな声で話すのは良い印象を与えますが、狭い場所や静かな環境では圧迫感を感じさせてしまうことも。重要なところはゆっくりと話すなど、話すスピードも調節できると相手が聞き取ってくれやすくなります。
相手の注意を引きつけるには、「間」を使うことも効果的です。重要なことを言うときは、2秒の間を空けたあとに話すことがポイントです。アナウンサーの話し方を真似たり、軽く息を吸ったりするとコツをつかみやすくなります。
緊張していると喉に力が入ってしまい、自然な発声ができなくなってしまいます。話す前はできるだけリラックスできるように心がけましょう。
数字を使って具体的に話す
正確に伝えるためには、数字を使って具体的に話すことが大切です。「もう少し多く」「なるべく早く」というような抽象的な言い方をすると、間違えて伝わってしまう可能性もあるからです。
「もう少し多く持ってきて」なら「あと3枚多く持ってきて」、「なるべく早く届けて」なら「午前中であれば大丈夫だけれど、11時までに間に合えば助かる」などと具体的な数字を使います。
また、伝えたいことが複数あるときも、「伝えたいことが3つあります」などとすると効果的に伝わります。わかりやすくするためには、伝えたいことは3つまでに絞るとよいでしょう。
信頼感を持ってもらう話し方のポイント
ビジネスでは信頼感が重要です。ここでは、信頼してもらえる話し方のポイントを説明していきます。
本当に思っていることを伝えるために配慮をする
相手に信頼してもらうためには、本当に思っていることを伝えましょう。本音で話しているか、上辺だけで話しているのかで相手の受け取り方が変わります。明らかにマニュアル通りの話し方だなと感じると、信頼できる人だとは思えなくなってしまうものです。
ただ、やみくもに本音を言えばいいというわけではありません。「伝える」ことを意識して、配慮した言葉を選ぶ必要があります。
きちんと配慮して伝えることができたら、そのあとのことは気にしないようにしましょう。相手がどう受け取るかは相手の問題であり、こちらでからコントロールできないのです。
相手の話を丁寧に聞く
相手の話を聞くことも大切なポイントです。営業などでは、相手に最適な提案をする必要があるため、相手から話を引き出さなくてはなりません。単調な相槌を続けていると、「本当に聞いてくれているのかな」と不信感を持たれてしまいます。
きちんと話を聞き、的確なリアクションを心がけましょう。興味深く聞いてくれていると感じると、つい話したくなるものです。
また、「自己開示」をすることで相手の本音を引き出せることもあります。こちらから本音を切り出すことで親しみを感じてもらうことができ、相手も本音を話してくれる可能性が高くなるのです。相手が本音で話してくれると、自分もつい話してしまうものです。
丁寧に聞く姿勢によって相手から信頼を得られ、こちらの話もしっかりと聞いてくれるようになるでしょう。
事実と感情は分けて伝える
ビジネスでは、事実と感情を分けて話すことが大切です。情報源があいまいな話し方では信頼感を持ってもらえません。
まず、ぼかし言葉を使わずに事実だけを伝えます。「100人くらい」「1,000円ほど」ではなく、「101人」「980円」と正確に言いましょう。憶測で話すのも避けるべきです。「多分、いけると思います」ではなく、「以前にも同じような例がありました。私としてはいけるのではないかと考えています」というように根拠を伝えると信頼性が高まります。
伝えるときの事実と感情は、男女の会話にたとえると分かりやすくなります。男性にとっての会話は「報告」、女性にとっての会話は「気持ちを伝えること」。女性は共感を求めているのに、男性はそれに対する解決策を提示するので、うまく伝わらないと感じるのです。
ただ、仕事で伝えるのは事実が基本ですが、要所要所に感情を組み込むと相手の心をつかむことができる場合もあります。
また、スピーチやプレゼンなどでは、堂々とした態度も必要です。聞いていて不安になるようでは信頼感を持ってもらえません。準備をしっかり整え、気持ちに余裕を持って挑みましょう。
話し方がうまくなるトレーニング法
話し方が上達するトレーニング法をご紹介します。練習を続けていけば、うまく話せるようになるはずです。
自分の意見につっこみを入れて論理的思考を鍛える
伝わるように話すには、「結論→理由→補足説明」のように論理的に構成を考える必要があります。論理的思考を鍛えておくと、話す内容をわかりやすくまとめることが容易になります。
論理的思考を鍛えるには、自分の意見につっこみを入れてみることを繰り返していくと効果的です。
「体調が悪いからミスが多いな」→「体調が悪くてもミスしない日もあるよね。今日はどんなミスがあったかな」→「部長への連絡ミスが大きかったな。」→「ほかには……」……というように、つっこみと回答を繰り返します。この状態が、論理的思考が働いてるということになります。
録音して自分の話し方を自分で聞いてみる
自分の声を録音して聴くことで、話し方が上達します。自分の話し方を客観的に聞くことができ、話すスピード・声の大きさ・滑舌などに気づけます。改善点がわかったら、理想に近づけるように練習を繰り返しましょう。繰り返すほどに話し方が上達していくはずです。
最初は自分の声を聞くことに慣れないかもしれません。漠然と聞くのではなく、無駄な口癖がないかだけを確認する、聞き取りやすさをチェックするなど、ひとつのことに集中するとよいでしょう。慣れていけば違和感なく聞き直せるようになります。
改善すべきところが複数見つかるかもしれません。しかし、一度にすべて直そうとせず、1つ1つを少しずつ改善していきましょう。プロのアナウンサーでも地道な努力を続けています。すぐにうまくなれるものではありませんが、努力を続けていけば必ず上達していきます。焦らず気長に続けることが大切です。
また、話すときに言葉がスラスラ出てこないという人は、書籍の朗読をするとよいでしょう。誰かに聞かせていると思いながら声に出して読みます。朗読していると語彙を吸収できるので、次第に表現力が豊かになっていきます。
まとめ
うまく伝えるには、結論からわかりやすく話していくことがポイントです。数字を使って具体的にしたり、聞き取りやすい声を意識したりして相手に伝わるように意識して話すことが大切です。
自分がどれだけうまく話せたと思っても、相手に伝わっていなければ意味がありません。相手の話もしっかり聞いて、本音をうまく伝えることで信頼感を得ることができるでしょう。
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