相手が何を考えているのかを知りたいと思ったことはありませんか?
そんなときは、あえて異論を唱えることで本音を引き出すことができます。
この記事では、バランス理論を使った本音と建前の見抜き方を、対人関係の全技術を凝縮した「頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術」よりご紹介します。ぜひ最後まで読んで、上司の本音が知りたいとき、遠慮している相手の本心が知りたいときなどに活かしてください。
目次
バランス理論を使って本音を見抜くには
ここでは、バランス理論とその活用の仕方を説明します。
「バランス理論」とは?
相手と意見・考え方・嗜好などが異なるとき、人はそれをどうにか一致させたいという気持ちが湧き、積極的にコミュニケーションをとろうとする傾向があります。
対象となる事柄について、あなたと相手の意見や見解が合わなかった場合、あなたと相手との関係性がバランスを崩して緊張状態に。この「緊張」を不快に感じ、解消するために話し合いが促されるからです。これは「バランス理論」と呼ばれるものからきています。
たとえば、あなたの大切なパートナーが大好きな食べ物があったとします。しかし自分はその食べ物がすごく苦手。この状況をあなたはどう感じますか?
多くの人はこの状況を不快と感じます。そして、どうにかしてその食べ物を自分も克服したいと思うようになるでしょう。
逆に、自分が大好きな食べ物を一緒にいる相手が苦手だと知ったら。この場合、相手もその食べ物を好きになってくれたらいいのにと思うのです。
自分・相手・対象という3つのバランスが意見の不一致などにより崩れると、人は不快感を覚えます。そしてバランスを保とうとして、緊張状態を緩和する方へと行動が動機づけされるのです。
バランス理論を交渉で役立たせる方法
バランス理論は、交渉において相手の意見が本音か建前かを見抜くことに役立ちます。
相手の本音を引き出したいときは、あえて相手と反対の意見をぶつけてみるのです。衝突を恐れずに異論をぶつければ、相手はバランスを保とうと説得を試みるでしょう。
会議等の議論において、異論を唱えるなどで相手と自分の意見が一致しないバランスの悪い状態をつくりだします。相手がそれを認識したときの動きを観察してみましょう。
バランスの悪い状態を解消しようとするなら、その意見は相手の本音だということ。逆に相手が動じなければ、相手の意見は本心ではない可能性が高まります。
不快感を感じたら気をつけること
相手があなたと異なった意見を出してきて不快感を感じることもあるでしょう。この場合は、次の2つに気をつけてください。
- 本音を漏らしすぎない
- 対応バイアスにはまらない
本音を漏らしすぎない
意図的に相手があなたの本音を探り出そうとして反対意見をぶつけてきても、ムキになって自分の本音を話してしまうことは避けましょう。
本音を出しすぎると交渉上不利になることもあるからです。
対応バイアスにはまらない
対応バイアスとは、相手の言動の原因をその人の内面に紐づけてしまう傾向のこと。
自分と異なった意見を言ったことから、相手とは反りが合わないと思い込み、相手のことを嫌いになったり敵対視したりしてしまうことです。
自分と異なる意見を言った相手の意見の中身と、その相手の内面とは切り離して考えましょう。
敵対関係にある人の本音を引き出すのは難しい?
バランス理論を使っても本音を引き出しにくい場合の対処法を説明します。
関係性が薄いと使えないので注意
ここまで説明してきた、バランス理論をベースとする自分(A)・相手(B)・対象(X)の関係性を「A-B-Xシステム」といいます。
これは、自分と相手がある程度の友好関係や信頼関係が成り立っているときにしか使えません。関係性が薄かったり、敵対関係にあったりするときは、話し合いで相手の本音を引き出すのは難しい傾向にあります。
その場合は、少なくともこちら側から好意を寄せる姿勢を見せて信頼関係を築いておくことが必要です。
本音を引き出せる関係になるためのアプローチ法
本音を引き出したい相手には、「単純接触効果」や「好意の返報性」というメソッドが有効です。
単純接触効果とは、関係が浅い人との距離を縮めたいときに使うメソッドで、相手ととにかくよく会うこと。相手があなたのことを知覚する量を増やしてみましょう。人は、対象の手がかり(情報)が多いほど親しみを感じやすいからです。
好意の返報性は、自分から好きだということで相手に自分を意識させるメソッド。相手に対して、自分から好意を伝えてみましょう。人は、自分に対して好意や親近感を持ってくれる人に好意を寄せやすくなります。
まとめ
相手の本音と建前を見抜くには、あえて正反対の意見をぶつけてみること。そのときの相手の動きを観察することで本心かどうかがわかります。ただ、相手と敵対関係にある場合などは本音を引き出すのは難しいかもしれません。
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