無理をしてストレスを溜めすぎると、心身のエネルギーが低下し、やがてうつ病など発症する可能性があります。
そうならないためには、自分の心と体のキャパシティを知り、予防することが何よりも大切です。その方法を、11月8日新刊『うつ病で20代全部詰んでたボクが回復するまでにやったこと』より3つご紹介します。
うつ病で20代全部詰んでたボクが回復するまでにやったこと
デラさん
定価:1,300円(税込1,430円)
医者にもネットの情報にも救われなかったうつ病当事者のデラさんがリアルに効果があったことを1冊にまとめました。当事者だからこそ語れる「どん底から回復できた工夫」が満載でうつ病・予備軍・大切な人がうつ病の方のお役に立てる1冊になっております。
目次
直し方1.「今食べたいもの」に忠実になる
うつ病になってしまう人の多くは、家族、友人、恋人、恩人といった存在を、自分より守ったり、特別に扱おうとしたりする傾向があります。要するに、周りの人への配慮をし過ぎてしまっているのです。
「自分以外の人も、自分と同じレべルで考える」というのは、それだけ思考力を使うことになります。単純に、疲れやすくなるし、消耗しやすくもなる。しかも、大切にしたい人の数が多ければ多いほど、その度合いはどんどん大きくなっていきます。
これはある意味、思考のパターンなので、直すのはなかなか簡単なことではありません。
だからこそ、訓練が必要になります。
そのためにオススメなのが、「自分の損得だけ考えて行動する」。他人のことは考えず、自分の心の声にだけ忠実になるのです。
そのためにまずは、毎日の食事のチョイスから始めるのがオススメです。「あの人が『おいしい』と言っていたから」「体にいいと言われているから」「半額シールが貼られていたから」とか、一切考えないこと。自分に「今日死ぬなら、今、何が食べたい?」と問いかけ、そのとき、本当に食べたいものを選ぶ練習をするのです。
ボクも、うつ病まっただ中のときは、食べたものの味がよくわからず、食べたいものを聞かれても答えられませんでした。自分の食べたいものすらわからないというのは、自分の気持ちや感情も見えづらくなっているというヤバイ状態です。
だから、自分の食べたいものをパッと言えるぐらいのリラックスした状態へ持っていくべく、「今これが食べたい」と頭に思い浮かんだものをひたすら食べました。
最初は暗闇のなかにいるような感覚でしたが、続けていくうちに「今日の気分はこうだったけれど、ちょっと違ったな」とか、「やっぱりこれが食べたかったんだ!」とか、少しずつ光が差し込んでくるのを感じました。
「自分の食べたいものを食べる」というシンプルな行動をするだけで、自分の欲求に正直になっていく感覚が呼び覚まされていきます。自然体になる第一歩です。
そして、これは食べたいものの話に限りません。まずは期間限定でもいいから、「今日死ぬなら」という仮定のもと、「自分だけが喜ぶ選択」をしてみましょう。
直し方2.無になるためのカードをもつ
精神科医がよく「うつ病には運動がいい」と言っています。科学的なことはよくわかりませんが、実際にうつ病を抱えるボクが運動をする理由はただひとつ、「嫌なことを考えなくていいから」です。
そんなボクは以前、筋トレのためのジムに通っていたことがあります。当時から「行きたいときに行く、行きたくないときには行かない」という基本ルールはあったはずなのですが、この頃は「行きたい」気持ちが強かったのでしょう。
熱心に通いつめ、「100キロのバーベルを持ってスクワット」といったハードなトレーニングを、週2でこなしていた時期もありました。
振り返ると、ジムに行くのは「嫌なことを考えたくない」ときでした。「運動したい」というより、「無になりたい」「頭のなかを空っぽにしたい」から行っていた(そう考えると、結果として体も鍛えられるというのは、思わぬ副産物です)。
このように、「無になりたいとき=ジム」のようなカードを持っておくのは、安心に繋がります。うつ病からの回復を目指すにあたり、余計なことを頭から追い出すのはとても大切なことだから。
ボクの場合は筋トレでしたが、散歩もオススメです。フォームもルートも自由。何分、何時間歩こうとかは一切決めずに、好きな場所をうろうろする。人のいないところへ行ってみたり、電車をボーッと見たり、月を見上げたり。意味のない行動で、ただひたすらボーッとする、つまり無になる時間を、意識的につくるのです。
帰宅後や休みの日も仕事のことを考え続けてしまい、疲労が溜まっていくような人は、意識的にスイッチをオフにする訓練をしましょう。とにかく無になること。そして、そのための自分なりのカードを持つこと。
できる限り省エネで生きていくためのテクニックです。
直し方3.情報をとらない努力をする
コロナ禍となって以降、心身の調子を崩す人が増えたと聞きます。
これは、外出自粛やテレワークとなって家に閉じこもり、不安を煽るようなテレビ番組を見続ける人が増えたことに一因があるのではないかと思います。
自分が不安になる要素のある情報からは距離をとるべきです。
だから、ボクの部屋にはテレビがありません。
ボクが家で何をしているかというと、主にゲームです。スマホでも、Switchでもやります。
熱中することもあれば、疲れて何もしたくない日はただただテトリスをする。生きていくのに必要な情報って、実は思っているほど多くはありません。
みんな、本来は自分とは無縁なはずの情報を一生懸命にかき集め、勝手にショックを受けたり怒ったりしているだけ。
それよりも、自分が好きなことで時間や空間を埋めたほうが、どう考えても楽しい人生なはず。ボクの場合はゲームですが、アニメや読書、創作活動やスポーツなど、人それぞれ、なんでもいいと思います。
テレビを見る時間が物理的になくなれば、不意なバッドニュースで心がかき乱されることもありません。万が一、見たくない情報に触れてしまった場合も、普段から心が満たされていれば、感情の振り幅も小さくて済みます。
感情の浮き沈みに悩んでいる人は、まずはテレビを消しましょう。
もっと言えば、ネットも見なくていいと思います。SNSなんてもってのほか。
人の動向を見てどうこう思うなんて、感情の無駄遣いに他なりません。
さまざまなデバイスに囲まれた現代は、求めなくても勝手に情報が入ってきてしまう時代です。だからこそ、意識的にスイッチをオフにする必要があるのです。
うつ病歴9年心が壊れそうだったぼくが回復するまでにやったこと
うつ病はなかなか治らない。だからこそ自分の欠陥を受け入れ、それでもうまいことハックすればどうにか生きていける……と著者のデラさんは言います。『うつ病で20代全部詰んでたボクが回復するまでにやったこと』では、うつ病を発症してから現在まで、デラさんがやってみて本当に効果があった、思考法や生活習慣・仕事のコツをお伝えしています。うつに悩む人の他、予備軍で今なら逆戻り可能な人、うつの周りの人にも役立つ内容になっています。ぜひ書籍をチェックしてみてください。
(画像提供:iStock.com/hanamirae)