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いろいろな感情が混ざり合って心が疲れたときの対処法

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心がモヤモヤして気分が落ち込んでしまうことはありませんか?気持ちを前向きにするために、自分の心の状態を理解してコントロールしましょう

今回は、心をコントールする方法を、メンタルクリニック院長である須田賢太著書の『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』より紹介します。

なんとなく気が晴れないときの感情調節をするスキルを紹介

心のなかにさまざまな感情が渦巻いてモヤモヤするときはありませんか。そんなときは、仕事や勉強に集中できず、趣味や好きなことも楽しめないでしょう。

この場合は、感情に「切迫感」があるかないかで対処の方法を変えます。「切迫感」とは感情におされ身動きが取れない感覚や絶望感、焦燥感がある状態。切迫感が生じると後先を考えず、問題を早く解決しようとする行動を取ってしまいます。

ここでは「切迫感」がそこまで強くない場合に役立つ「感情調節のスキル」を紹介いたします。

自分の感情にニックネームをつける

人間は8つの感情を持っています。「怒り」「悲しみ」「楽しみ」「驚き」「恐怖」「嫌悪」「罪悪感・羞恥心」「興味」です。

複雑そうな感情ですが、それぞれの組み合せでしか起こりません。自分の気持ちを見つめるためにも、感情にニックネームをつけてみましょう。

恋人がほかの人をかわいいと言ってモヤモヤしたら「ジェラ子がきた」(嫉妬/嫌悪)。

ミスをいつまでも引きずっていたら「気にしいちゃんがいる」(後悔/罪悪感・羞恥心)など。

自分の感情を特定しニックネームをつければ、自分と感情を切り離せ、感情をコントロールしやすくなります。

感情を詳しく描写する

「どんな感情も一時的なもの」いつかは過ぎ去っていきます。自分に湧きおこった感情を受け入れ「感情に押しつぶされることはない」「少し我慢するだけ」と自分に言ってあげましょう。

「恥ずかしさ」や「罪悪感」は一時的なものです。仕事のプロジェクトで見栄を張ってしまっても勉強すればよいことです。上司は見栄だと気づいたかもしれませんが、これから挽回すればよいでしょう。

しかし、自分の感情を否定したり避けたりしてはいけません。

友達に嫌なことを言われても「こんなことで怒るなんて器が小さい」と思って感情にフタをすれば怒りがおさまったように感じます。

これは「回避」という反応ですが、何度も刷り込まれていくと友達が何か言おうとしただけで避けるようになります。やがて、同世代の友達に同じような反応を起こす可能性が高くなるでしょう。

あなたから湧き起こる感情はふつうのこと。あなたはその感情に向き合い対処できます。

感情が複雑に絡み合ったときの対処法

自分の感情に名前を付けると冷静に対処できます。しかし、さまざまな感情が絡み合い、名前を付けられない場合も。

ここからは、心が複雑化したときの対処方法について詳しく解説していきます。

一次的感情と二次的感情を切り分けて捉える

感情には「一次的感情」と「二次的感情」があり、それらが複雑に連鎖して感情が湧きます。

例えば、仕事でミスをして上司に叱られたとしましょう。とっさに「なぜそんな嫌な言い方をするのだろう」「みんなの前で恥をかかせた」と「怒り」の一次感情が現れます。そのあとに「ミスした自分が悪いのに上司を責めた」「失敗を認められず恥ずかしい」といった「罪悪感・羞恥心」は二次的感情。

二次的感情は、一時的感情にともなう思考・行動に対して感じている二次的な反応です。感情が複雑化しているときは、この二次的感情が影響している場合です。

感情が複雑に絡み合っている場合は、一時的感情と二次的感情を切り分けて捉えてみましょう。相手の言葉や反応に対してとっさに現れた感情が一次的感情です。一次的感情は名前を付けて心を和らげましょう。

上司に叱られただけで「会社を辞めたい」とまで思う。これは、二次的感情が生じている状態でしょう。

上司に叱られてとっさに怒りが湧いたことに対し「自分が悪いのに上司を責めてしまった」「失敗を認められなくて恥ずかしい」という感情から「私なんてダメだ」「会社を辞めたい」とネガティブに考えが湧き起こる場合。

時間が経過しても気持ちがおさまらない、上司から褒められても嫌な気持ちになるときは、二次的感情が生じているかもしれません。

二次的感情5種類を理解して自分の気持ちを把握しよう

二次的感情は大きく分けて5種類に分けられます。複雑に感じられる二次的感情も種類分けすれば、自分の感情が冷静に捉えられるでしょう。

以下5つの二次的感情を詳しく解説していきます。

① 自分の一次的感情が認められず不快に感じる感情

自分の一次的感情が受け入れられず不快に感じることもあります。しかし、その感情を認めることが大切です。その後、受け入れられない感情に対してどう思っているかを考え、反論することも必要。マインドフルネスを用いて感情に焦点を合わせ、自分が感情に耐えられることを信じましょう。

②過去の似たような感情にまつわる強い感情

過去の似たような強い感情があった場合の対処法は、まず抱いている感情を認識し、一次感情と二次感情を切り分けましょう。一次感情に対処するためのプランを考え、その後マインドフルネスになる時間をつくります。

例えば、恋人から返信がないと前の恋人に浮気されたことを思い出してしまいます。「浮気しているんじゃないか」と考えるのは自分の問題。相手にぶつけないように注意しましょう。相手が仕事で忙しいと言っていたので、気長に待とうというプランを考えてください。

③世の中への思い込みにより引き起こされる感情

自分が友達に冷たくされると悲しくなり「みんなに嫌われているんじゃないか」と思って怖くなることはありませんか。これは、自分が「みんなに好かれなくてはいけない」という思い込みが原因かもしれません。全員に好かれる必要があるかどうかを考え、好きな人に好かれていればそれでいいと思うことが重要でしょう。

④将来への思い込みが引き起こす感情

将来への思い込みが引き起こす感情について、恐れや不安を感じる場合には以下のアプローチが有効でしょう。まず、抱いている感情を認識し、自分が将来をどう予想しているか考えてください。その後、予想を疑問視することが大切です。違う考えを持つことで、将来に対する不安を軽減できます。自分自身を客観的に見つめ直すことで、より自分らしい未来を実現できるでしょう。

⑤自分のアイデンティティや性格が引き起こす感情

自分のアイデンティティや性格が引き起こす感情を認識し、自分がどう捉えられたいかを考えましょう。自分が素直でいられるアイデンティティを望み、実践すれば、自然体で感情を表現できるでしょう。

まとめ

何となく疲れていたり、気分が落ち込んだりしているときは、感情調節をすることが大切です。うまくメンタルをコントロールする力を手に入れて、どんな状況でも冷静な自分を保ちましょう。

メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』では、気持ちが不安定になったり、まわりの人に強い感情をぶつけたりするのではなく、自分の心をコントロールできるようになる30の行動リストを4コママンガとともにお届けしています。

自分自身を見つめ心を落ちつかせ、今を大切に過ごしましょう。


メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習 著:須田賢太 / マンガ:まるいがんも

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