上司への報連相、取引先との大事な商談など、ビジネスの場では高い言語化力が求められます。しかしうまく言語化できず、上司から「何が言いたいのかわからない」と言われてしまったり、商談がうまくいかなかったりと困っていませんか?
そのような人は、言語化力をアップさせるとよいです。言語化力が上がれば、自分の伝えたいメッセージが相手に正しく伝わるようになります。
この記事では、樺沢紫苑氏の著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』から、言語化力アップに効果的なトレーニング方法を詳しく解説します。
言語化できない人に多い原因や言語化できるようになることで得られるメリットも併せて紹介するので、参考にしてください。
目次
そもそも言語化とは?
言語化とは、自分の考えていることや気持ちを相手が理解しやすいように伝える力を意味しています。ビジネスにおいては、相手の目的・要求に応じて情報を分類し、単純化することとされています。
言語化がうまくできないとコミュニケーションをとるなかで誤解が生まれてトラブルになったり、自分の意見がなかなか通らなかったりと不都合が生じやすいです。
そのため、仕事をするうえで言語化能力は重要な要素といえます。
言語化能力が高まると得られる3つのメリット
言語化力が上がると、次に挙げるメリットを得ることが期待できます。
- 思考整理のスピードが早まる
- 自分を客観視できるようになる
- 相手いに意見を正確に伝えられるようになる
上記について、順に詳しく解説します。
1.思考整理のスピードが早まる
言語化能力が高まると、思考整理のスピードが早くなるといわれています。言語化には、相手の目的に合わせて情報を分類したあと、伝わりやすく順序を組み立てる作業が必要です。
そのため、言語化の能力が高まると思考整理のスピードも自然と早くなります。思考整理のスピードが早くなれば、突発的に意見を求められたときにも自分の考えを適切に伝えやすくなるでしょう。
2.自分を客観視できるようになる
言語化能力が高くなると、自分を客観視しやすくなるというメリットもあります。
たとえば、面接では自分に関する情報整理が必須です。そのため、面接のように自己開示が必要な場を繰り返し経験すれば、自分を客観視する能力が自然と高まります。
客観視する能力が鍛えられれば、自分の感情や行動を冷静に分析して対策を考えることが可能です。そのため、言語化力が高まることは、同時に問題解決能力の向上にもつながるといえます。
3.相手に意見を正確に伝えられるようになる
言語化能力が高くなると、相手に意見を正確に伝えられるようになるメリットもあります。そのため、相手との間に勘違いや誤解が生まれる可能性も低いです。また、自分の意見や提案も通りやすくなるでしょう。
言語化できない人に多い5つの原因
言語化できない人の多くには、次の5つの原因があるといわれています。
- 自問自答不足
- 問題意識を持てていない
- 周囲の反応を気にし過ぎている
- 思考整理ができていない
- 言葉で伝えるときの方がわかっていない
上記について、順に詳しくみていきましょう。
1.自問自答不足
相手に伝えたい意見や気持ちはあるけれど、言葉にして伝えられないときは自問自答不足が原因であるケースが多いです。
自問自答をしない人は相手に「なぜそう思ったのか」などと問われたときに、なんとなくや大した理由はないなどとグレーな言葉で簡単に片づけてしまう傾向にあります。
しかし自問自答を繰り返さなければ、自分のなかにある気持ちを具体的な言葉に落とし込めません。そのため、自問自答する機会が少ないと言語化が苦手になるのです。
2.問題意識を持てていない
言語化できない原因として、問題意識が持てていないケースもあります。
普段からあらゆる物事に対して問題意識を持てていないと「どう思う?」と聞かれたときに意見がないため、何も言えません。
このような場合は、言語化が苦手なのではなく自分のなかに意見がないことが問題です。自分の意見を持つためには問題意識が必要不可欠です。
問題意識を持ちながら経験やインプットを増やし、あらゆる物事に意見を持てるようにしましょう。
3.周囲の反応を気にし過ぎている
明確な意見があり、どう伝えればよいのかもわかっているけれど言葉にできない場合は、周囲の反応を気にし過ぎていることが原因となっている可能性もあります。
「こんなことを言ったら、バカだと思われるのではないか」「できる人だと思われたい」など、自分の意見に対する周囲の反応をあれこれ考えていないでしょうか。
しかし、自分の意見に対する反応は言わない限りわかりません。そのため、思ったことはひとまず言ってみる精神を持つことが大切です。
4.思考整理ができていない
言語化がうまくできず、相手に話の内容が正しく伝わらない人は思考整理ができていないケースが多いです。
思考整理とは、自分の頭の中にある情報を整理すること。言葉に出す前に思考整理をしないと、話の中で情報が行ったり来たりしてしまい言いたいことがうまく伝わりません。
そのため、何か伝えたいことがあるときは感情や勢いに任せて話し始めてしまうのではなく、一旦頭の中にある情報を整理して順序立てて伝えるようにするのが大切です。
5.言葉で伝えるときの型がわかっていない
言語化がうまくできないのは、伝えるときの型を理解していないことが原因であるケースも少なくありません。
型がわからないと相手にどのように伝えらればよいのかわからないため、自分の気持ちや意見を伝えられなくなってしまいます。
言語化できるようにしたいのであれば、伝えるときの「型」を理解するのが大切です。
言語化力アップに効果的なトレーニングのやり方
言語化できるようになりたいとは思っても、何もすればよいのかわからない人も多いでしょう。そこで、ここからは言語化力アップに効果的なトレーニング内容を紹介します。
1.ささいな問題を解決し考える力を鍛える
まずは、考える力を鍛えましょう。考える力を鍛えるのに最も効果的なのは、問題を解決することです。問題解決といっても、「部屋が散らかっている」など日常にあるささいな問題で構いません。
問題を挙げたら、解決するために今すぐできることを書き出して実行していきます。実行したら打ち消し線を引き、次にすぐできることを考えて書き出しましょう。このサイクルを繰り返すことで、自然と問題解決につながります。
問題解決までの作業に慣れてきたら、一つずつ考えるのではなく一度に複数の解決策を考えてみましょう。この一連の作業を繰り返すことで、考える力を鍛えられます。
2.本を読み使える言葉をふやす
言語化力を高めるためには、使える語彙を増やすことも重要です。
使える言葉が多いと、相手に合わせて伝え方を工夫できます。そのため、使える語彙が多いとどのような人にも自分の意見や考え方を正しく伝えやすくなるのです。
語彙を増やすためには、読書をするのがよいです。一冊読むだけでも、多くの言葉や表現を学べます。そのため、毎日少しでも読書をする時間をつくるとよいでしょう。
3.制限時間を設けて毎日日記を書く
言語力アップには、毎日日記を書くのも効果的です。毎日日記を書くようにすると、アウトプットの習慣が身に付きます。
長い文章を書こうとすると毎日続けるのが難しくなるため、10分や5分など制限時間を決めて書くようにするのがおすすめです。
4.相手に情報を伝える際の型を把握する
言語化がうまい人は、相手が理解しやすいように型にあてはめて伝えているケースが多いです。そのため、型に沿って話をするだけでも言語化力の高まりが期待できます。
相手に情報を伝える際の基本的な型には「前提・結論・根拠・補足・相手に促したいアクション」の順に話すものが挙げられます。
どのように話せばよいかわからない場合は、この型に当てはめて文章を組み立てるとよいでしょう。
5.情報発信を始めてみる
ブログやSNSなどでの情報発信も、言語化力アップにおすすめの方法です。情報発信をするには、必要な情報をインプットしたあと情報を整理して伝わりやすいように順序を組み立てる必要があります。
これは、直接相手に話していないだけで言語化とほぼ同じプロセスです。そのため、情報発信を続けていけば言語化力も自然と高まることが期待できます。
6.身近にいる相手から型に沿って言葉で伝えてみる
日記を書いたり情報発信をしたりして、言語化に必要な能力が向上してきたと感じたら、身近にいる相手に直接言葉で伝える練習をしてみましょう。
まず、型に沿って情報を整理し説明する順序を明確にします。その後、相手が理解しやすい言葉を使って順に説明していきましょう。
身近にいる相手に対し、自分の伝えたいことが正しい形で受け取ってもらえることが多くなったら、職場でも実践してみてください。
まとめ
言語化力は、相手に自分の気持ちを正しく伝えるために欠かせないものです。言語化がうまくできないと、コミュニケーションのなかで齟齬が生じたり、仕事を円滑に進められなかったりなどさまざまなデメリットを被る可能性があります。
本を読んだり情報発信をしたりなど、できそうなことから少しずつ日常に取り入れてみましょう。樺沢紫苑氏の著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』では、ここで紹介した方法以外にも、言語化力アップを期待できる手法がたくさん紹介されています。
言語化力を上げて今よりもスムーズに報連相ができるようになりたい、自分の意見をうまく伝えられるようになりたいと思っている人は、ぜひ本書を手に取ってみてください。