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仕事ができる人の特徴や考え方とは?「できる人」になるための方法10選

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仕事ができる人に憧れる人は多いのではないでしょうか。「できる人」は、もともとの能力が高いのだから自分とは違うのだとあきらめている人がいるかもしれません。しかし、仕事ができる人には共通した特徴や考え方があります。できる人を真似て仕事への向き合い方や要領を改善していけば「できる人」に近づくことができるでしょう。

この記事では、仕事ができる人になるための方法を紹介しています。仕事ができる人に共通している特徴や考え方を知り、自分にできることからぜひ取り入れてみてください。

この記事は書籍『 要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑 』の関連コラムです。

仕事ができる人の特徴とは

最初に、仕事ができる人の特徴を見ていきましょう。

判断が早く、正しく優先順位をつけている

仕事ができる人は決断力を持っています。つねに全体を見て冷静な判断をするので、いい加減な判断になることはないでしょう。的確で素早い判断は、ビジネスにおいて欠かせないスキルです。とくにトラブルが起きたときには迅速な対応が必要不可欠。対応次第で相手との信頼関係に影響することもあるからです。

こうした判断ができるのは、自分で責任を負う覚悟を持っているからだともいえます。判断が間違っていたら、気づいた時点で修正する柔軟な対応もできるでしょう。周りからも信頼される人であるのが特徴です。

また、優先順位を正しくつけて効率的に仕事を進めています。仕事の全体像を把握し、やるべきこと・やらなくていいことが明確です。やるべきことには優先順位をつけ、1つの業務に集中しながら効率よくこなしているので、仕事のスピードも早いでしょう。締切にもきちんと間に合わせることができます。

コミュニケーション能力が高い

仕事は1人では進められません。職場内だけでなく、外部の人とも関わりながら業務を進めていく必要があります。このため、仕事ができる人はコミュニケーション能力が高く、周りの人としっかりした信頼関係を築いていることが多いでしょう。

誰に対しても笑顔で挨拶したり、相手の体調や状況に気を配ったりと、ちょっとしたコミュニケーションを欠かさないようにしています。お互いが気軽に話しかけやすい関係をつくっているでしょう。職場の雰囲気も明るくなり、全体の生産性が上がる一因となります。

自分の伝えたいことを明確にしてわかりやすく伝えることができ、相手の言っていることを正しく聞いて理解する能力にも長けているので、仕事のやり取りもスムーズ。相手が部下や後輩であっても、わからないことは素直に聞ける謙虚な姿勢も持っています。レスポンスが早く、報告・連絡・相談もしっかりしているので認識の違いなどによるミスも起きにくいでしょう。

また、普段から積極的にコミュニケーションをとっていることで人脈が広くなり、何かあったときには周りから協力を得られます。情報を共有したり協力を得られたりできると、仕事の成果にもつながるでしょう。頼ったり頼られたりしながら、職場全体で仕事を進めていきます。

タスクを把握し、集中して仕事をこなしている

仕事ができる人は、1つの仕事に集中して取り組むことができます。仕事の全体像を把握できており、今やるべきタスクが明確なので、無駄に悩むことなく仕事に集中できるのです。

仕事が早いのはマルチタスクができるからではありません。人の脳は複数の作業を同時に行うことができないので、1つの仕事に集中して行うほうが効率がよくなるのです。

複数の仕事を同時にしているように見えても、実は同時にこなしているのではなく、いったん切り替えてそれぞれの作業をしています。作業を切り替えるたびに「どこまで進んでいたか」を思い出さなければならないので無駄な時間が発生し、結果的に効率が悪くなってしまいます。

また、自分が集中できる時間帯やシチュエーションがわかっているので、それに合わせて仕事の種類や順番を意識的に変えることができているでしょう。頭がスッキリしている朝の時間帯に考える仕事やアイデアが必要な仕事をこなしたり、午後の眠くなる時間帯には単純作業を行ったりと変化をつけています。

集中すべきときにはきちんと集中し、効率よく質の高い仕事ができるようにしているのです。

周りの人への気遣いができ、感謝の気持ちを口にする

仕事ができる人は、周りの人にさりげない気遣いができています。相手の顔を見て笑顔で挨拶をしたり、相手の変化や状況を見て声かけをしたり、必要ならば手助けをしたりして、周りとの良好な関係を築いているでしょう。

新人には積極的に声をかける、体調が悪そうな人へのフォロー、困っている人に適切なサポートをするなど、思いやりを感じられる行動をしています。職場全体の雰囲気がよくなり、仕事が順調に進むようになります。

また、何かしてもらったときには、感謝の言葉を忘れません。誰に対しても、どんな些細なことでもきちんと「ありがとう」と言葉にして相手に感謝の気持ちを伝えています。

共有棚が綺麗に片付けられていることに気づいたら、「片付けてくれたんですか?ありがとうございます!」とお礼を伝え、少し前の出来事でも「この前はありがとうございました」などと感謝の気持ちを伝えることを忘れません。

相手に興味を持ち、相手の立場で接することができるので、好感を持たれやすく信頼されるようになります。

人に仕事をお願いすることができる

仕事ができるからといって、すべての仕事を1人でこなしているわけではありません。自分ができることとできないことを見極め、お願いできる仕事は人に任せることができます

その仕事が得意な人にお願いした方が効率も質もよくなるでしょう。頼まれた人も自分の能力を信頼してくれていると感じ、質の高い仕事ができるようになります。

誰が何を得意としているのかを把握できているので、仕事の状況を見ながら無理なくお願いすることができるのです。部下や後輩に経験をさせることによって将来的な人材を育てることもできるでしょう。

コミュニケーション能力に長けていることが多いので、頼み方も上手です。「あなただからこそ頼みたい」などと言われれば、頼まれた人も悪い気はしないはず。仕事を上手にパスし合いながら効率よく仕事を進めています。

タイムマネジメントがうまい

仕事ができる人は、時間を大切に考えています。その仕事にどれだけの時間をかけられるのかを決め、集中して取り組みます。時間内に可能なだけの仕事をこなすのではなく、成果を出すために必要な期限を割り出して調整することもあるでしょう。

それぞれのタスクにどれだけの時間がかかるのかの把握ができていることも特徴。スケジュール管理を徹底し、締切や待ち合わせ時間などを守るので信頼も高くなります。

やるべきことを意識して隙間時間もうまく活用しています。通勤時間やちょっとした空き時間・待ち時間などにも、勉強したり情報を収集したりして時間を無駄にしません。

時間に振り回されることなく、計画性を持って仕事をしているので終わらせるのが早いでしょう。

行動力とポジティブ思考を持っている

仕事ができる人は行動力があるので、他のなら迷っているようなことでも、すぐに取りかかります。スピード感が大切な仕事では、即行動に移せる行動力が成果につながっていきます。行動しながら、よりよい結果にするためにはどうすればいいかを考えるのです。

行動すれば失敗する可能性も出てきますが、それに臆することなく何度でも行動を繰り返します。前向きにとらえるポジティブ思考を持っているので、うまくいかないことに直面しても落ち込んだり暗くなったりすることなく、どうすればいいのかを考えるでしょう。行動力とポジティブ思考で、何度でも挑戦し、失敗を経験値につなげていきます。ピンチをチャンスに変える力があるといえるでしょう。

また、前向きな姿勢は周りにもよい印象を与えるので、周りにも人が自然と集まってくるもの。相手を不快にさせない対応ができるので、人間関係も良好になります。

レスポンスが早い

レスポンスが早いのも仕事ができる人の特徴の1つです。メールやチャットなど、気づいたときにすぐ返信をします。すぐに結論が出ないような内容でも、「いつまでに回答します」などと返事をしています。「気づかれていないのでは」など、相手が不安になることがありません。

文字によるコミュニケーションは感情が伝わりにくいため、レスポンスの早さも印象に残りやすく、相手に仕事ができる人だという認識につながります。商談や打ち合わせなど、チャンスを逃さずに掴み取れる可能性も高まるでしょう。

メールやチャットに限らず、すぐにできる仕事は迷わずに即こなしていく姿勢を持っています。即行動できるレスポンスのよさが、仕事が早い要因となり、仕事ができる人をさらに成長させていきます。

仕事ができる人の考え方

仕事ができる人は、どのように仕事に向き合っているかを説明していきます。

優先順位を明確にしているので判断が早い

仕事ができる人は全体の状況・やるべきことがわかっており、優先順位が明確です。最終的なゴールから逆算して考えているので、どの作業から手をつけたらいいのかという判断が早いでしょう。それまでに培ってきた知識や経験も最大限に活かし、的確な判断ができます。

すべてのタスクをこなすことが難しいと感じたら、やらない決断をしたり、他の人にお願いしたりすることも。自分が抱えている仕事量を把握できており、重要な仕事を優先して「やらなくていいこと」を見極められます。仕事を1人で抱え込むことはありません。

自分から主体的に行動している

仕事ができる人は、細かい指示を受けなくても自分から動くことができます。目的や目標を自分で設定し、積極的に取り組む姿勢を持っているでしょう。仕事をただこなすだけではなく、期待以上の成果を出すことを目指しているのです。

目的や目標を設定できるのは、仕事に目的意識を持っているから。問題や課題に気づきやすく、より良くするためにはどうすればいいかを考えています。自分1人より、周りと協力をしたほうがよいと思ったら、躊躇なく協力を依頼するでしょう。

仕事が失敗しても、なぜうまくいかなかったかを考えます。対策を練り、改善をして同じ失敗を繰り返さないようにするでしょう。同様に、成功した場合でもその理由を考えるので、次の仕事も成功させる可能性が高くなります。

仕事ができる人は失敗を「学び」や「経験」と考えています。失敗と成功の経験を積み、より仕事ができる人になっていくのです。

素直に他人の意見を聞ける

仕事ができる人は、他人の意見を尊重しています。言い訳をすることなく自分の足りないところを素直に認め、人からのアドバイスを真摯に受け止めようという姿勢を持っているのです。相手がどのような立場であっても素直に話に耳を傾けてくれるので、周りの人からも応援されやすいでしょう。その結果、仕事がスムーズに進められるようになり成果につながります。

自分にスキルに不足があった場合でも謙虚な対応ができ、わからないことは周りに聞いたり頼ったりできるでしょう。たとえ失敗したとしても、その失敗や周りの意見から学ぶので成長につながります。

仕事ができる人が周りを頼っていると、周りの人も助け合うことが自然にできるようになります。職場の雰囲気がよくなり、仕事を円滑に進められる環境が整います。

生産性を高められる方法を実践している

仕事ができる人は無駄な時間を過ごすことがありません。生産性を意識したやり方を取り入れているからです。生産性とは、労働時間に対して生み出した成果がどれだけかという「労働生産性」のこと。

どれだけ質のよい仕事ができたとしても、時間をかけすぎていては生産性が低くなってしまいます。求められているレベルを越えようとしながらも、これ以上は時間をかけられないというラインを見極められています。

時間の使い方を意識し、優先順位を明確にして集中して仕事に取り組んだり、便利なツールを積極的に活用したりして時間内に仕事を終わらせる工夫をしているでしょう。また、文字変換に辞書登録機能を使う、カバンの中やデスク周りの整理整頓をして探し物の時間を減らすなど、ちょっとしたことでも自分で考えて主体的に仕事に向き合っています。

新しい情報を取り入れることを意識しており、それを業務に取り入れられないかを考えているでしょう。業務に必要なスキルを高めることにも意欲的です。

仕事のオンとオフをしっかりと切り替えている

仕事ができる人ほど、仕事ばかりではなくプライベートも充実させています。やるべきことをきちんと終わらせて、次にやるべきことがしっかりわかっているので、オンとオフの切り替えが上手。休日は仕事から離れてしっかり休み、リフレッシュしています。休日は仕事のメールを見ないと決めている人も多いでしょう。

仕事とプライベートのバランスがきちんと取れているので、より仕事に集中できるようになります。ストレスを溜め込むことなく、スッキリした気持ちで仕事に取り組めるからです。

また、規則正しい生活を心がけ、体調管理がきちんとできている人が多いでしょう。自分をコントロールできる人は仕事もコントロールできます。睡眠不足や体調不良では質の高い仕事はできません。仕事だけでなく、自分の管理も怠らないのが仕事のできる人の特徴といえるでしょう。

仕事にも体力は必要です。仕事の成果と体力には関係があるといわれています。仕事ができる人は、体力を維持するために運動を続けていることが多いでしょう。もともと体が丈夫で体力がある人もいますが、基本的に体を動かすことに抵抗がありません。

運動を続けていると行動力や忍耐力が増します。ストレスの減少にもつながり、メンタルにもいい影響が期待できます。仕事に煮詰まったときは、運動などで体力作りに取り組んでみるとよい結果につながるかもしれません。

見た目から違う?仕事ができる人はすぐわかる

仕事ができる人は、見た目にも共通する特徴があります。まずは見た目から真似してみるのもいいかもしれません。

清潔感がある

身だしなみを整え、清潔感を保っているので、周りからも好印象を持たれます。とくに人と会うことが多い仕事では、第一印象も重要です。人は初対面での印象から人物像を判断する傾向があるため、仕事ができるか、信頼できるかどうかを見た目から判断されてしまうからです。清潔感から好印象を持たれ、仕事がスムーズに進むこともあるでしょう。

シャツにアイロンがかけられていない、汚れた服を着ているなど清潔感を感じられないと、一緒に働く相手を不快にさせてしまいます。

客観的な視点を持っているので、他人からどう見られるかを意識できています。見た目を整えると自分の気持ちも引きしまり、仕事にも意欲的に取り組めるでしょう。

また、デスク周りもきちんと整理整頓し、探し物などで無駄な時間を費やすこともありません。デスク周りは頭の中を表すともいわれます。デスク周りが整えられている人は、頭の中もスッキリ整えられているはずです。

TPOにあった服装をしている

TPOとは、Time(時)・Place(場所)・Occasion(場合)の頭文字をとった言葉。仕事のできる人は、時と場所と場合応じた服装ができています

職場の服装が自由だったとしても、顧客先に訪問するときはその業界に見合った服装を選ぶのが基本。工場などであれば、汚れても問題ない服装・動きやすく安全を確保できる服装にしています。

適切か不適切かという基準で判断すれば、一緒に仕事をする相手への配慮の気持ちが感じられ、できる人だと思われるでしょう。

仕事ができる人とできない人との違いは?仕事ができない人の特徴

仕事ができない人の特徴も見ていきましょう。自分に当てはまっていないかチェックしてみてください。

段取りが悪く効率的な仕事ができない

段取りができていないと、次にどの作業をするのかを考えながら進めなければならないので、余分な時間がかかってしまいます。「次はどうすればいいんだっけ」となり、調べたり思い出したりしながら進めるのは効率的とはいえません。

また仕事の全体像を見ていないので優先順位をつけられない傾向があります。優先順位を考えずに目の前の仕事に手をつけていくと、それぞれのタスクが中途半端になりがち。「あれをやらなくては」「これもやらなくては」と、いつも頭の中が混乱しているので集中して仕事に取り組むことが難しくなります。必然的にミスも増えがち。するとリカバリーのためにタスクが増え、悪循環に陥ってしまいます。

自分が抱えている仕事を把握し、優先順位をつけて1つの仕事に集中して取り組む必要があるでしょう。

また、すぐに終わる仕事を先送りしてしまう人も多いのではないでしょうか。数秒から2分程度で終わるような小さなタスクを後回しにしてしまうので、そのまま忘れてしまうことも。「電話の伝言メモを上司のデスクに置く」「資料を一部コピーする」など、簡単に終わるものでも溜めてしまうと負担になります。すぐに終わる仕事はすぐに終わらせるようにすると仕事を進めやすくなります。

時間管理ができていない

仕事の全体像が見えていないので、1つの仕事にどのくらいの時間を要するかが把握できていません。自分の能力でそのタスクを完了させるにはどのくらいの時間を要するのかがわからず、締め切りに間に合わなくなってしまうこともあるでしょう。

先延ばしをしがちで、いざ仕事に取り掛かってみたら思いのほか時間がかかる仕事だったなんてことも。残業や休日出勤を余儀なくされたり、他の仕事に悪影響を及ぼしたりということにつながります。

この作業を自分がやるにはどのくらいの時間がかかるのかを把握できるようにすることが大切です。作業の途中で予定通りに進んでいるかを確認し、予定からズレが生じるようなら修正する、ということを繰り返していくとよいでしょう。

時間に対する感覚が甘く、待ち合わせや会議などに遅刻することも少なくありません。スケジュール管理を徹底する意識が大切です。

自分で抱え込んでしまう

とくに責任感が強い人ほど自分で仕事を持ち続けてしまう傾向があります。しかし、仕事はパス回しが基本です。1人でやり遂げることが責任を全うすることだと思い込み、自分で抱え込んでしまうと、その仕事が今どのような状況なのかが周りにも把握できなくなってしまいます。

仕事量が多すぎてうっかり忘れていたり、方向性が間違っていてやり直しになったりして、結果的に遅れが生じ、周りに迷惑をかけてしまうことになるでしょう。責任を持ってやり遂げなければならない仕事もありますが、過剰な責任感は逆効果になることもあります。

また、コミュニケーションに苦手意識がある人も仕事を抱え込んでしまいがちです。わからないことがあっても質問できず悩んでいる間に時間だけが過ぎていく、誰かにお願いすることができない、仕事を頼まれたら断れないなど、消極的な人は注意が必要です。

人に仕事をお願いしたり、質問したりすることは相手の時間を奪うような気がするかもしれませんが、それも仕事の1つなので気にすることはありません。それよりも、仕事が滞らないようにすることを優先させましょう。

メンタルが弱いと感じている人は、相手にどう思われているかがどうしても気になってしまいます。仕事をお願いしたり、頼まれた仕事を断ったりするのは勇気がいるかもしれません。しかし、まずは仕事を終わらせることにフォーカスすることが大切です。仕事を終わらせることが結果につながり、自信もついていきます。

仕事ができる人になるには?すぐに実践できる方法10選

仕事ができる人になるための方法を説明していきます。自分がどうなりたいのか、足りないものを補うにはどうしたらいいかを考えていくとよいでしょう。できるものから実践してみてください。

1.効率よく段取りを組んでいくためにタスクを明確にする

段取りよく仕事を進めるためには、仕事の全体像を把握する必要があります。そのために「手順書」を作成してみましょう。作り方は以下の5ステップです。

  1. やらなければならないことをタスクとして書き出す
  2. それぞれのタスクを完了させるための手順を書き加える
  3. その手順は誰が行うかを明らかにする
  4. タスクと手順に締切を入れる
  5. 最初の手順だけが見えるようにする

詳しく説明していきます。

1.やらなければならないことをタスクとして書き出す

「あれやらないと」「これもやらなくては」などと、頭の中にある「やらなければならないこと」をタスクとして書き出します。

2.それぞれのタスクを完了させるための手順を書き加える

書き出したタスクを完了させるための手順を書き加えます。このとき、できる限り細かく書き出すと現状把握がしやすくなります。途中で作業を中断しても素早く作業を再開できるようになります。

手順が正しいかどうかがわからなかったとしても、わかる範囲でかまいません。もし違っていたら、その都度書き換えていけばよいだけです。これを行うと、仕事の全体像がみえてきます。

3.その手順は誰が行うかを明らかにする

それぞれの手順を進めるのは自分なのか他の誰かなのかをわかるようにします。色分けするとわかりやすいでしょう。ここでしっかり区別しておくと、自分のやるべきことがはっきりしてきます。

仕事はパスしながら進めていくもの。タスクをいくつも抱えていると焦っていたけれど、実際はほとんど他の誰かが進めるべき仕事だったということもあるのです。

4.タスクと手順に締切を入れる

タスク全体の締め切りと、手順の1つ1つに締切を入れましょう。自分なりの日付や時間でかまいません。「この日までにはできそうにない」「もう少し前倒しできそう」と思えばそのときに変更しましょう。

または、設定した締切で可能なのかを実際に確認してみます。これを繰り返していくと、仕事にかかる時間が読めるようになり、締切を守れるようになっていきます。

5.最初の手順だけが見えるようにする

仕事に取り掛かるときは、最初の手順だけがわかるようにしておきます。今すべきことを明確にし、そこに集中するためです。これで手順書が完成しました。

手順書を作成すると、仕事の全体像が見えるのと同時にやるべきことが明確になります。手順書に沿って迷うことなく仕事が進められるでしょう。

もしうまくいかなかったら、手順書を修正していきましょう。これを繰り返すことで完璧な手順書になり、仕事が効率よく進められるようになります。

また、自分が抱えている仕事量がわかり、許容量以上の仕事を頼まれそうになっても自信を持って断れるようになるでしょう。

2.余裕のあるスケジューリングで「割り込みタスク」に対応する

仕事では「割り込みタスク」が多く発生します。また、あらかじめ予定していた時間をオーバーしてしまうことも。これに対応するには、スケジュールに余裕を持たせる必要があります。勇気を出してスカスカなスケジュールにするくらいがちょうどよいでしょう。そのほうが落ち着いて仕事に取り組むことができます。

「なるべく早く」という仕事を頼まれたときは、自分に無理のない締切を決めてしまいましょう。「今すぐに対応してくれたらありがたいが、具体的な期限を決めるほどではない」ということなので、締切を決める権限が自分にあると思ってもよいのです。相手の事情を優先しすぎることはありません。

依頼を受けた時に、こちらから自分に無理のない締切を具体的に提案するとよいでしょう。そうすることで、落ち着いて仕事を進められるようになります。

また、そもそもスケジュールをつくることが苦手な人もいるかもしれません。時間の見積もりが甘いと感じる場合は、練習をすることでスケジュール感を鍛えられます。先述した「手順書」を使うと効果的。やり方は以下の通りです。

  1. 手順をできるだけ細かく分解する
  2. 手順に締め切りを設定する
  3. 設定した締切が適切かどうかを確認する

スケジュール感を鍛えるためにはこの3つの流れを繰り返していきましょう。

また、自分が使える時間を把握しておくことも大切です。会議や来客の対応など、自分だけでは動かせない予定をスケジュールに組み込むと、残りの時間がわかると思います。ただ、スケジュールが長引く可能性や、電話対応・割り込みタスク・会議や商談の準備なども考慮すると、自分が使える時間が思ったより少ないことに気づくのではないでしょうか。

これを知っておくと、自分が今日こなせる仕事の量を調整できるようになります。予定していた仕事が終わらずに残業になってしまうことを防げるでしょう。

3.優先順位をつける基準を設ける

仕事は優先順位を考えて進めていくのがよいとわかっていても、なかなか正しく優先順位をつけられないと悩んでいる人がいるかもしれません。その場合は、優先順位をつける基準をあらかじめ決めておくとよいでしょう。

自分は優先順位をつけられないと思っている人でも、実は無意識のうちに優先順位をつけています。ただその基準に気づいていないだけ。

優先順位をつける判断基準が「怒られないようにする」だとしたら、段取りや締切は後回しになってしまうのも当然です。手順書を見比べて、やるべき手順の中からどれをやるかを決めるということを繰り返していくと、優先順位をつける基準ができていくでしょう。

一番わかりやすいのは、偉い人からの仕事を優先すること。誰かに仕事を依頼されても、社長から頼まれている仕事を先に終わらせてからという順序づけができるのです。依頼した相手も、明確な理由があれば後回しにされたとしても納得してくれやすいでしょう。

このように、基準を自分で設ける意識を持つと優先順位をつけるときに迷いにくくなります。

「締切」と「仕事の質」で迷うようなら、締切を選ぶこと。もう少し時間があれば、もっといい仕事ができるのかもしれません。しかしそれは、締切を破る口実となってしまいます。仕事が滞り、信頼を失ってしまっては意味がありません。締切を守った回数だけ自信になっていくので、締切を優先させることを意識しましょう。

優先順位を決めていくときに「やらない」という選択をするタスクもあります。忙しいときは電話対応をしない、仕事を頼まれても断るなど、自分の最優先のタスクに集中しなければならない場合があるでしょう。優しい人は罪悪感を感じるかも知れませんが、自分の仕事がスムーズに進めるためには必要な選択です。

仕事の全体像や、やるべきタスクを明確にしていれば、これらの判断も強い意志を持ってできるようになるでしょう。

4.ひとつの作業に集中する

人の脳は、複数の作業を同時に行うことはできません。マルチタスクをこなしているように見えるのは、同時にこなしているのではなく、素早く切り替えることを繰り返しているのです。切り替えると、この作業はどこまで進んでいたのかを思い出す必要があります。この「思い出す」とう無駄な時間が発生してしまいます。それよりも、目の前の1つの仕事に集中して取り組んだ方が早く仕事を進められます

集中するためには、以下の2つを意識すると良いでしょう。

  • 仕事の中身を把握する
  • シチュエーションを整える

仕事の中身を把握する

仕事の全体像を把握します。完了までに要する時間・必要な資料やスキル・必要な手順・相談するなら誰がいいかなどを確認しておきましょう。

シチュエーションを整える

その仕事にあった場所と時間を選びます。じっくり考える必要のある仕事は、朝や午前中の頭がスッキリしている時間帯に静かな場所で行うなど、自分の集中できるシチュエーションを整えましょう。

集中できる時間帯やシチュエーションは、人によって異なります。朝の時間帯が集中できる人がいれば、夕方になると集中力が増すという人もいます。静かな環境の方が集中しやすい人、少しにぎやかな方が集中できる人など、それぞれ違います。

自分が集中できるのがどんな状態なのかがわからない場合は、記録を取ってみるとよいでしょう。業務をしているときに、集中できていると感じたら、時間帯・場所・やっていた業務・気分を書き留めていきます。すると、集中力のバイオリズムがわかるので、1番集中できる時間帯に頭を使う仕事を行うようにするとよいでしょう。

また、安心して集中するためには、今自分が抱えている仕事の量や具体的にすべきことなどを把握することも大切です。自分が仕事をコントロールできている感覚を持つと、安心感が生まれて集中できるようになります。

5.すぐにできる仕事でも先送りをしない

すぐに終わらせられる仕事は、すぐに終わらせてしまいましょう。手順書に書き出すまでもない2分以内で終わるような仕事は瞬殺する意識を持つことが大切です。

それほどではなくても取り掛かればすぐに終わるようなタスクは、いつでもできると思って先送りにすると、いつの間にかタスクが溜まってしまったり、うっかり忘れてしまったりします。

たとえば、少額の交通費などの経費の精算はあとでやろうと思いがちです。しかし、他の仕事を始めてしまうと、そのまま忘れてしまうことになりかねません。この場合、必ずやる仕事とセットにして手順書に書き出しておくとよいでしょう。

セミナーに参加したことにより交通費が発生したのならば、以下の例のように、セミナーの手順の最後に経費の精算を組み込んでしまうのです。

〇〇セミナーに参加する

  1. セミナー申し込み
  2. セミナー参加
  3. 経費の精算

すると、タスクを完了させるためには経費の精算を終わらせなければならないので、先送りを防げるようになるでしょう。小さな仕事でも終わらせることで確実に前進します。自分はできるという自信に繋がっていくでしょう。仕事ができる人になるには、この自信の積み重ねも大切です。

また、仕事に求められたものがイメージできず、悩んでしまうことはないでしょうか。たとえば、「説明会で使うレジュメの作成をしてほしい」と頼まれたとします。これだけでは、イメージがつかめず、どのようなものを求められているのかが見えてきません。わからないので、手をつけられず、結果的に先送りした形になってしまいます。

そうならないために、完成品をイメージできない場合はその場で聞き取りながら目の前でイメージを提示し、一緒に確認するとよいでしょう。依頼した側も明確なイメージを持っていなかったということもあります。お互いにイメージを共有できていれば、安心して仕事に取りかかれ、先送りしてしまうこともなくなるでしょう。

6.目的意識を持ち、周りの人と協力して仕事を進める

仕事の目的や役割を意識することで、優先順位や仕事にかける時間をつかみやすくなります。手順書を作成するときにもそのタスクの目的を考えておくとよいでしょう。

目的が明確になると当事者意識が芽生え、能動的に仕事に取り組めるようになります。効率よく仕事を進めていくためには、何をすればいいのかを考えるとよいでしょう。

目的のために周りと協力し、職場全体を通してよい結果を目指すことも大切です。仕事は周りの人と協力することで成果につながっていきます。周りの人とのコミュニケーションを積極的にしておくとよいでしょう。

ただ、コミュニケーションに苦手意識がある人もいるかもしれません。そういう人はまず、仕事の進捗状況を共有してみましょう。今やっている仕事はどのようなものか、どのように進めようとしているのか、次は何をしようとしているのかなどをお互いに知っていくだけで違います。

雑談が苦手なら、聞き役に徹したり、教えてもらうことを目的にしてみるとよいでしょう。おすすめの店・おすすめの映画など、相手から情報を聞き出すことを意識すると、話題に困ることがありません。教えてもらったら「ありがとう」という感謝の気持ちも忘れずに伝えましょう。

仕事ができる人は、すべての仕事を1人でこなしている印象を持たれがちですが、実際は人にうまく頼ることができています。自分がやるべきことと、やるべきでないことをきちんと区別し、やるべきでない仕事はそれを得意とする人に任せるようにするとよいでしょう。それぞれが自分の得意とする仕事に集中できるため、成果が上がっていきます。

もし、仕事を進めていく上でわからないことが発生しても1人で対処しないようにすることも大切です。わからないことを聞くのは能力がないからではありません。わからないことはきちんと聞いてすぐ覚える人だという高評価につながることの方が多く、コミュニケーションにもよい影響を与えるでしょう。

7.心身を健康に保つために生活習慣を見直す

質のよい仕事をするためには、心身が健康であることも大切です。睡眠時間の確保・バランスのよい食事・ストレスの解消・運動習慣などにも気を配りましょう。

睡眠が不足すると集中力や判断力が低下してしまいがち。質のよい睡眠をとることが大切です。入浴は寝る2〜3時間前にする・朝起きたら朝日を浴びる・眠る環境を整えるなど、入眠環境を整えるとよいでしょう。室内の温度や湿度を快適に保ち、寝具も心地の良いものを選びます。

また、早寝早起きを心がけると生活のリズムが整っていきます。早起きをして朝の時間に余裕ができると、仕事の効率があがるといわれています。

バランスのいい食事は仕事の成果にも影響します。脳のパフォーマンスを上げるといわれるビタミンやミネラル、良質な油を積極的に取り入れて、栄養バランスを考えた食生活を意識しましょう。

時間や食欲がないと、朝食を抜いたり軽く済ませたりしがちですが、朝食をしっかり摂ることで疲労感が減ったり集中力が増したりする効果が期待できます。朝食でもバランスの良い栄養素を摂取することを心がけましょう。

ストレスを溜め込まないようにすることも大切。仕事中にこまめにストレッチをしたり、深呼吸をしたりするだけでも違います。可能であれば軽くウォーキングをするのもよいでしょう。親しい友人に話を聞いてもらったり、適度な運動や趣味などでもリフレッシュできるでしょう。

また、筋肉を鍛えることで脳が活性化し、集中力・考察力・記憶力が向上すると言われています。ほかにも、ストレスの減少・体力の維持・肩こりや眼精疲労の改善など、仕事にもよい影響が期待できます。気になる人は筋トレに挑戦するのもよいでしょう。仕事ができる人になるには、体力をつけることも忘れてはいけません。

8.マインドセットで仕事への向き合い方を変える

仕事ができる人は、つねに前向きな考え方をしています。失敗しても、落ち込むことなく解決策を見つけようとできるのです。

この思考を会得するには、マインドセットにも注目してみましょう。マインドセットとは、無意識の思考のことを指します。先入観・思い込み・考え方の癖などのことです。ビジネスに有効なマインドセットを持っていれば、目の前の課題にも前向きに取り組めるようになるでしょう。

マインドセットは、無意識のうちにスキルや行動に影響を及ぼしています。マインドセットには「成長型」と「停滞型」があり、どちらを持っているかで成長のスピードに差が出ます。

成長型のマインドセットは頑張りや努力で成長していけるという思考。新しい業務にも積極的に取り組む姿勢を見せます。一方の停滞型マインドセットは頑張りや努力で能力は変わらないという思考なので、失敗を恐れて取り組みに消極的になってしまいます。この取り組み方の差が、成長スピードの差につながります。

多くの人は両方のマインドセットを持っています。営業では成長型マインドセットを持てているものの、事務作業では停滞型マインドセットを持っているなど、場合によって変わることが多いでしょう。

マインドセットを変えるにはまず、自分のマインドセットを自覚することが大切です。ほとんどの人は両方のマインドセットを持っていますが、不得意な分野で停滞型マインドセットとなっていることが多いでしょう。

マインドセットは環境や人間関係から影響を受けます。停滞型マインドセットを持つ人は、成長型マインドセットを持つ人と関わるようにすると効果的です。引っ越しをしたり、毎日のルーティーンを変えたりすることでもマインドセットを変化させられます。

そして、身につけたいマインドセットの思考や行動パターンを習慣づける必要があります。これまでの経験や価値観を変えるのは簡単なことではありませんが、意識的に取り組めば変わっていくはずです。小さな成功体験を積み重ねていくことで少しずつ変化を感じられるでしょう。何かのきっかけで変化することもあります。

9.仕事ができる人から学んだり、真似たりする

仕事ができる人にはそれなりの理由があります。仕事ができる人の仕事の仕方を観察したり、直接教えてもらったりすることも有効です。できる人の考え方を知ると、仕事への向き合い方も変わってきます。成功した体験談を聞くよりも直接できる人の仕事ぶりを見るほうが発見が多いので、一緒に仕事をする機会を持つとよいでしょう。一緒に仕事をするのが難しければ、直接話を聞くだけでも変わります。

できる人を真似ても最初は同じようにうまくかないかもしれませんが、習慣化していくと自分にもなじんでいきます。仕事のできる人ならどう行動するかを考えながら行動しましょう。そこへ自分独自の工夫も取り入れていけば、さらに大きく成長していけるはずです。

10.自分から動いて成果を出すことを意識する

仕事ができる人は、仕事に取り組む姿勢が前向きです。成果に繋げるためにはどうすればいいのかを考え、主体的に行動しています。言われたことをこなすのではなく、どうすればよくなるのかを意識しながら仕事にむきあいましょう。たとえば、頼まれた仕事を指示通りにこなすだけでなく、よりよくするためにはどうすればいいかを考えます。期待以上の成果を出すことを意識するとよいでしょう。

仕事ができる人は動くスピードも早いもの。着手が早いと余裕ができて見通しが立てやすいからです。どうすべきかを考えることは重要ですが、考えすぎて行動に移せなくなってしまうのは避けなければなりません。目的を持って行動すれば、結果がともなってくるでしょう。このような成功体験をしていくことが成長につながります。

まとめ

仕事ができる人になるには、仕事の全体像を把握して効率よく仕事を進めていく必要があります。また、周りの人とのコミュニケーション能力や心身ともに健康を保つなど、総合的な能力も大切になってきます。

仕事ができる人とできない人の違いは、能力の差だけではありません。きちんとタスクを把握して、仕事に対する姿勢を意識するだけで「できる人」に近づいていくことができるでしょう。

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