フリーランスにとって心配事のひとつが確定申告。会社員時代あまり深く考えることがなかった税金は、フリーランスになると自分で納付額を計算したり、税金の種類や控除について理解する必要があります。
「税金を少しでも抑えたい!」
「フリーランスができる節税方法を教えてほしい」
「そもそもフリーランスが支払う税金って何種類あるの?」
など、フリーランスになったらぶつかる税金の悩みを、『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』から紹介します。
確定申告直前の2月、3月頃に「こんなはずじゃなかった……」と慌てないためにも、フリーランスができる節税対策をマスターしておきましょう。節税方法はもちろん、フリーランスが納める税金の種類についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
個人事業主とフリーランスの違い
フリーランスとは、特定の企業や団体と雇用契約を結ばずに仕事を請け負う「働き方」です。一般的なサラリーマンは会社に属して雇用契約を結んでますが、フリーランスは会社に属さず、さまざまな仕事を請け負います。仕事の内容や報酬によって案件を受けるか選択できるので、自由に仕事をできるのがフリーランス最大の魅力でしょう。
一方、個人事業主はフリーランスの働き方と基本的に同じですが、税務署に「開業届」を出して何らかの事業を行っている人たちを指します。税務上の区分を意味しています。
フリーランスが納める4つの税金
フリーランスは自分で確定申告をして税金を納めます。
フリーランスが納める基本的な4つの税金を紹介します。
- 所得税
- 住民税
- 事業税
- 消費税
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.所得税
所得税は1年間稼いだ所得に対してかかる税金です。所得とは売上から経費、控除を差し引いた額で、これを課税所得といいます。課税所得に自分の該当する税率をかけた額が所得税となるのです。
たとえば売上300万円、経費55万円、控除50万円の人の課税所得は195万円。195万円の人の税率は5%なので97,500円が所得税となります。
所得が196万円になると税率が10%になりますが、いきなり10%になるのではなく、195万円を超えた1万円分のみが税率10%に。課税所得196万円の人の所得税は98,500円になります。
税率が段階的に上がっていく仕組みを「累進課税制度」といいます。なので税率は上がりますが稼げば稼ぐほど、手取りは残るので安心しましょう。
2.住民税
自分が住んでいる都道府県や市町村に払う税金が住民税。所得に対して税率は原則10%です。住民税のよくある勘違いで、田舎は安く都会は高いと思っている方がいますが、自分が稼いだ額から10%なので住んでる場所は関係ありません。
住民税は、所得税が決まると決定します。確定申告をすると市町村に所得の情報がいき、その額をもとに住民税が決まって通知書が送付されます。
所得税は確定申告をした同年3月15日まで、住民税はその年の6月と時差があるので覚えておきましょう。また脱サラの落とし穴として、住民税は前年の所得に対して税金がかかります。退職をしたら給与から天引きされるはずだった住民税は自分で払う必要があるので、理解しておきましょう。貯金額が少ないと大変なことになります。
3.事業税
事業税は事業に応じて課される税金です。職種によって払う人もいれば、払わなくていい人もいるのが特徴で、利益が290万円以下の人は免除されます。
芸術、林業、農業(一部)などは事業税がかかりません。芸術とは画家や漫画家、音楽家、文筆業などを指します。職種別の税率は次の通り。
第1種事業(5%) | 販売業・製造業・運送業・飲食店業・広告業など |
第2種事業(4%) | 畜産業・水産業・薪炭製造業の3つのみ |
第3種事業
(5%か3%) |
歯科医業・弁護士業・デザイン業など(5%)
マッサージ業など(3%) |
基本は確定申告の職業欄でチェックされ、あとは役所判定です。また事業税は経費として処理できるので覚えておきましょう。
4.消費税
4つ目が一番馴染みのある消費税。フリーランスは売上時に預かった消費税から経費などと一緒に支払った消費税を差し引いて、差額分を納税する必要があります。
原則前々年の課税売上が1,000万円以下だと免除され、納める必要はありません。また開業2年以内でも免税されるので覚えておきましょう。
フリーランスの基本の3つの節税方法
フリーランスが節税を考えるときは次の3つに着目しましょう。
- 経費を漏れなく計上する
- 控除制度を利用する
- 青色申告を利用する
この3つは必ず押さえて節税しましょう。
1.経費を漏れなく計上する
フリーランスの節税対策として代表なのが、必要経費を漏れなく計上することです。節税=課税所得を減らすこと。課税所得を減らすには、経費を計上することが重要です。経費は内容ごとに分類され、その分類項目を勘定科目といいます。
消耗品費・交際費・旅費交通費・車両費・取材費などさまざまあります。どこまで経費として処理していいか迷うこともあるでしょう。事業とは売上を上げることなので、その売上に貢献しているかが重要です。経費は税務調査官とフリーランスの人数分、それぞれの解釈があり、正確な答えがないグレーな世界です。
「これは仕事で使った」と自信を持って説明できるなら、確定申告でどんどん経費として反映させましょう。領収書とレシートは大切に保管しておいてくださいね。
2.控除制度を利用する
売上から経費を引き、所得控除を差し引いた金額に税率がかけられ所得税が算出されます。節税対策として、自分が該当する控除を知っておきましょう。
控除は14種類ほどあります。
- 基礎控除
- 扶養控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 障害者控除
- 勤労学生控除
- 寡婦控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
- 地震保険控除
- 医療費控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 寄付金控除
- 雑損控除
控除にはさまざまな種類があり、適用するには証明書などの必要書類を集める必要があります。控除を差し引くか、差し引かないかで納税額は大きく変動するので、まずは自分に該当する控除があるかチェックしてみてください。
3.青色申告を利用する
フリーランスの節税対策3つ目が、確定申告で「青色申告」を利用することです。
確定申告は控除が0円の白白申告と、最大65万円控除がある青色申告の2種類があります。事前の手続きや帳簿が複雑といったデメリットはありますが、65万円控除を利用しない手はありません。
簿記の知識がなく帳簿が不安な方は、会計ソフトを購入すると自動でやってくれます。ソフトの購入が1万円ほどかかりますが、65万円控除を受けられるので断然お得です。勇気を持って青色申告してみましょう。
フリーランスが簡単にできる!その他の節税方法
基本の節税対策を3つ紹介しましたが、ほかにもフリーランスができる節税方法があります。
- 寄付控除を利用する
- 小規模企業共済で退職金を準備する
- iDecoを利用する
れぞれ詳しくみていきましょう。
寄付控除(ふるさと納税)を利用する
寄付控除(ふるさと納税)とは、本来自分が住んでいる自治体に払う税金の一部を、自分が応援したい市町村に払える仕組みです。聞いたことや、利用している方は多いのではないでしょうか。自治体によっては寄付金の使用用途も選べます。
ふるさと納税のメリットは実質2,000円だけの負担で、寄付した金額に応じて地方の名産品がもらえること。1万円寄付したら、8,000円が現金で戻ってくるのではなく、税金を自分が好きな地域に前払いしたということになります。
控除には上限があり、その金額は年収や家族構成によって異なります。ふるさと納税のサイトで収入や世帯情報を入力すると調べられるのでチェックしてみてください。
小規模企業共済で退職金を準備する
小規模企業共済は、毎月自分でお金を積み立てて自分が事業を辞めるときに受け取れる仕組みです。
小規模企業共済のメリットは主に3つ。
- 掛金が全額控除になるので節税効果がある
- 普通の銀行より金利が高い
- 掛金額を自由に設定できる
などがあります。フリーランスは退職金がなく、国からもらえる年金も少ないので老後が心配な方は多いのではないでしょうか。運営している中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)のHPか、金融機関から加入申請ができるので、これからフリーランスとして長くやっていくなら入っていた方がお得です。参考にしてみてください。
個人型確定拠出年金(iDeco)を活用する
iDeCoは毎月自分が決めた額を積み立てられる年金。国民年金への加入は国民の義務ですが、それとは別で積み立てられるのです。iDeCoも掛金が全額控除なので、節税効果があります。
自分で掛金を決めて、掛金は全額控除で節税効果がある。小規模企業共済と同じように感じますが、iDeCoは加入した時に自分で金融商品を選ぶことができます。金融商品とは、定期預金・株式・投資信託・債券などのこと。
メリットは、通常資産運用した利益には20%という高い税率がかかりますが、iDeCoは非課税な点です。ただし年金なので60歳まで受け取ることができません。加入する際は注意しましょう。
まとめ
今回は『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』から、フリーランスや個人事業主ができる節税方法について紹介しました。
節税対策のポイントは必要経費を計上したり、控除を利用したりして課税所得を減らすことです。経費を漏れなく計上するには、日頃から領収書やレシートを保管してまめに整理、帳簿することが大切です。また控除の種類についても自分自身が理解することで、適用になる控除を漏れなく利用できます。
これからフリーランスになろうとしている人はもちろん、毎年確定申告をしている人も、本書を読めば個人の税金の基礎を網羅できるはずです。学校や会社では教えてもらうことができない税金を正しく理解し、ルールを守って正しく節税しましょう。