大勢のお子さんに絵本を読み聞かせする際には、せっかくならみんなで盛り上がれる絵本を選びたいですよね。そこで今回は、声優であり絵本専門士の冨田泰代さんに、盛り上がること間違いなしのテッパン絵本を教えていただきました。
目次
みんなで盛り上がろう!読み聞かせでテッパンの絵本5選
絵本の読み聞かせでは、積極的に反応してくれるお子さんだけではなく、隅の方にいるお子さんもみんな置いて行かないことを大切にしているという冨田さん。
身体を動かしたりみんなで一緒に考えたり、参加しているお子さんの心をグッと掴める絵本を5冊ご紹介していただきました。つかみに読むといい本、中だるみしてきたときに盛り上がる絵本など、読む順番も教えていただきましたのでぜひ参考にしてください。
つかみはバッチリ!『ぴょーん』
ぴょーん (はじめてのぼうけん (1))
まつおか たつひで (著)
ポプラ社 (2000/6/1)
https://amzn.to/3J6U3fY
こちらは、身体を動かして会場を温める要素があります。大型絵本もあり、読み聞かせしやすい絵本です。
冨田さん:読み聞かせ会で、1冊目はお子さんたちも読み聞かせをする方も緊張しています。そこで、お互いの緊張を打ち破るために、身体を動かす体操の要素のある絵本を用意します。
ページをめくりながら「ぴょーん」の掛け声に合わせて一斉に身体を動かします。いろいろな動物や生き物が出てくるので、「飛ぶのか?飛ばないのか?」というクイズにもなります。お子さんたちが率先して物語を作ってくれるのが楽しい、万能な絵本ですね。
読み聞かせ会の途中で、お子さんたちがダレてきた時に流れを変える目的でも使えます。
参加型の科学絵本『くらべるえほん たべもの』
くらべるえほん たべもの
ちかつたけお (著, イラスト)
学研プラス (2022/2/25)
https://amzn.to/3zAar5f
こちらは、クイズ形式でみんなで参加できます。いろいろな視点で考えられるところが面白い絵本です。
冨田さん:1つの絵から間違いを探すような絵本ではなく、同じような絵が見開きページに描かれている絵本です。2つの絵を見比べて、どこが違うのか見つけていきます。どの子も参加できるのがポイントで、「正解は1つじゃない。いくつかあるんだよ」ということを教えてくれます。パッと答えられる子だけではなく、じっくりと考えて答える子もみんな置いていかない絵本ですね。全員が参加することで、お子さんのいろいろな視点に気付けることが面白いと感じますよ!
物語が苦手な子やクイズが大好きな子も楽しめるところがおすすめです。盛り上がりすぎて、時間内に終わらないこともあるほど。サイドストーリーもあり、それを見つけるのもまた面白いですね!
ことば遊びでクイズ!『しりとりのだいすきなおうさま』
しりとりのだいすきなおうさま
中村 翔子 (著), はた こうしろう (イラスト)
鈴木出版 (2001/6/11)
https://amzn.to/3PG7pCb
こちらは、みんなで力を合わてしりとりをしながら読み進めていく絵本です。大型絵本もあり、読み聞かせしやすい絵本です。
冨田さん:0歳から年長のお子さんに読み聞かせすることが多い、ことば遊びの絵本です。年少さんは簡単な絵は答えられても、難しい絵は答えられません。そんな時は年長さんが頑張って答えます。お兄さんお姉さんらしく、ちょっと誇らしげで得意気な表情で答えてくれます。みんなが力を合わせて、しりとりを完成させるところがおすすめのポイントですね。
また、年中や年長さんは、言葉をどんどん覚えて吸収していく時期。ことば遊びの絵本でたくさんの言葉を覚えられます。
表紙もしりとりになっていることが特徴的ですね。描かれている絵はシンプルで大きく、背景が白で目立つところだけ描かれているため、お子さんが集中しやすい絵本ですよ。
流れを変えるリズム絵本『ねこのピート だいすきなよっつのボタン』
ねこのピート だいすきなよっつのボタン
エリック・リトウィン (著), ジェームス・ディーン (イラスト), & 2 その他
ひさかたチャイルド (2014/10/15)
https://amzn.to/3BjdsIA
こちらは、リズム絵本として場を盛り上げる、テッパンの絵本です。参加しているお子さんみんなを巻き込んで楽しめます。
冨田さん:この絵本は、うた絵本やリズム絵本として使っています。ラップ形式で、途中に合いの手を入れて楽しめる絵本ですよ!ねこのピートが付けている4つのボタンが、1つずつ減っていくことで引き算もできます。歌でみんなを巻き込みながら、流れを変えてくれる楽しい絵本で、会の終わり頃に使うことがおすすめです。
小さいお子さんから大きいお子さんまで、歌で盛り上がれます!中学生の男子も恥ずかしながら参加してくれるのが、とても嬉しいですね。シリーズもたくさんあり、読み聞かせする人の好きなリズムで読み進められるところもおすすめのポイントですよ!
みんなが触りたくなる!『ぜったいに おしちゃダメ?』
ぜったいに おしちゃダメ?
ビル・コッター (著)
サンクチュアリ出版 (2017/8/26)
https://amzn.to/3cKslJz
こちらは、どんなお子さんにも対応できる優しい絵本です。大型絵本もあり、一体感が味わえます。
冨田さん:この絵本は「ぜったいにおしちゃダメなボタン」をつい押してしまうことで、ストーリーが展開していく参加型絵本です。最後のページで「好きなだけ押していいよ」というシーンがあり、絶対に押さないとルールを守っているお子さんが、最後は群がるように押しに来るところが可愛いですよ!はじめは後ろで見ているお子さんが、ストーリーが進むにつれて前に来てくれて、物語に入ってくれる様子が見られます。最後に心が解放されて、魔法のような絵本だなと感じますね。
背景が白いので、ボタンの色や絵がはっきり分かる絵本。色弱がある子にも分かりやすいですよね。ボタンを押せないお子さんは、楽器を使ってみる方法もいいですよ。どんなお子さんにも対応できる優しい絵本です!オンラインの読み聞かせ会でも楽しめます。
「一人ひとりの心に届く読み聞かせ絵本を選びましょう!」
大勢のお子さんを対象にした読み聞かせでは、みんなが参加してくれる絵本を選ぶことが大切です。積極的に声を出したり身体を動かしたりしてくれるお子さん、恥ずかしそうに座っているお子さん、障がいを持っているお子さんなど様々です。
どんなお子さんも巻き込める要素を含めた絵本を選び、一人ひとりの心に少しでも残るような楽しい読み聞かせにしましょう。
●お話を伺った方 冨田泰代(とみたやすよ) 社会人を経て声優の世界へ。代表作は「おかあさんといっしょ内人形劇ガラピコぷ~(ムームー役)」「魔女がいっぱい(ブルーノ役)」など多数。 自作のパペット“エビフライピー子”と読み聞かせをしたり、子ども達とダンスを踊っている。 YouTube「とみチャンネル」https://youtube.com/channel/UCzbzkS5tXOoqqgaZe_C42UQ 2013年より路上で紙芝居を始め、賢プロダクションの読み聞かせ広場「けんけんぱーく」に参加。絵本専門士として読み聞かせ講座やお話会を開催している。 Twitter:@yasuspiegel URL:https://twitter.com/yasuspiegel?t=whLPLp-5fu5YWxbaJKUXLA&s=06