社会生活を営むうえで、人間関係の悩みは切っても切り離せない問題のひとつです。悩みをひとりで抱え続けてしまうと、全てをリセットしてしまいたくなる人間関係リセット症候群になってしまいます。しかしリセットする前に対処することで、自分の人間関係が冷静にわかるようになるのです。
「人間関係に疲れすぎて、なにもかもがどうでもよくなってしまった」
「SNSから離れたいけど、周りからどう思われるのか気になってやめられない」
「急に音信不通になった子がいたけど、人間関係リセット症候群かもしれない」
など日々悩んでいるのではないでしょうか。今回は人間関係リセット症候群について徹底解説します。精神科医・須賀賢太著書の『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』から、人間関係をリセットしたくなったときの対処法も紹介します。リセットせずに問題を改善したい、よりよい人間関係を築きたい方はぜひ参考にしてみてください。
目次
人間関係リセット症候群とは関係を断ち切る行動を取ること
人間関係リセット症候群は、今まで築いてきた関係を衝動的にリセットすることを指し、自ら断ち切る行動を取ることが特徴です。2022年にSNSを中心に話題となった言葉で、明確な定義があるわけではありません。
SNSの通知を減らしたり、友人を含めた連絡先を大量に削除したりと、人によって行動パターンはさまざまです。他にも以下のような、特徴や行動が見られます。
- 何かあるとすぐにSNSのアカウントを削除してしまう
- 逃げ癖や現実逃避をする癖がある
- 突然仕事を辞める
- 嫌なことがあるとすぐに逃げてしまう
- 連絡先を削除したり変更したりして、音信不通になる
- 自暴自棄になって、実際に行動に移してしまう
- 人間関係のトラブルやトラウマの経験がある
人間関係リセット症候群は、繋がりを断ち切ったその瞬間は気持ちが楽になるかもしれません。しかし何度も繰り返してしまう場合があります。長期的に見ると心身に悪影響を及ぼすため、リセットする前に対処が必要です。
人間関係をリセットしたくなる5つの場面
人間関係をリセットしたくなる場面は、以下の5つが挙げられます。
- 仕事が辛い
- 友人や恋人から大切にされていないと感じた
- 人間関係がうまくいっていない
- 自己成長できない環境にいる
- 喪失感に苛まれたとき
ひとつずつ見ていきましょう。
1.仕事が辛い
職場の人間関係や環境が合わず、想定外の場面に直面すると、「全てやり直したい」と思ってしまいます。また上司から「できるのが当然」「なぜできないのか」と責められると「自分なんて生きている価値がない」と卑下することもあるでしょう。
退職したとしても、今までの頑張りに疑問を感じてしまい、無気力になる恐れがあります。さらに周囲からいつ働くのかと責められると、すべてをリセットして自由になりたいと思ってしまうのです。
2.友人や恋人から大切にされていないと感じた
なにかの出来事がきっかけで、友人や恋人から大切に思われていなかったと気が付くと、二度と関わりたくないと思って今います。信じていた相手から裏切られると、傷つきたくないと、自分を守る行動から関係性を断つ行動に出てしまうでしょう。
冷静になるまで時間がかかりますが、縁を切る前に一呼吸置き、すれ違いの可能性が無いかを考えてみてください。
3.人間関係がうまくいっていない
人間として生きていくうえで、誰かと接しながら生きていかなければなりません。人間関係がうまくいかなくなると「何もかも嫌」といった感情が先走り、「人生をリセットしたい」と思うようになります。
1人ひとり物事に対する価値観や捉え方も違うなかで、すべてをわかり合って共感したり、尊敬できる仲になるのはほんの一握りです。うまくいかないと割り切ることも必要ですが、状況次第ではリセットしたくなるぐらい辛くなるときもあるでしょう。
4.自己成長できない環境にいる
一緒にいて成長できない相手や自己成長がしにくい職場など、自分にとってプラスにならない環境にいると、物事に対するモチベーションが低下してしまいます。このように感じる方は成長欲求が強いと言えるため、自己成長につながらないと感じた瞬間、関係や環境をリセットし、次のステップヘと進んでしまいます。
5.喪失感に苛まれたとき
恋人との破局や死別、ペットロスなど大きな喪失感に苛まれたときに、どん底にいる状況を知られたくなくて音信不通になったり、自暴自棄になって人間関係を断ってしまったりすることがあります。喪失感に苛まれているときは、心身ともに不調をきたしているため、周囲や関係機関からのサポートが必要です。
もし何もサポートが無かった場合、裏切られたと感じて人間関係をリセットし、さらに孤立してしまうおそれがあります。
人間関係リセット症候群のセルフチェックリスト
「もしかしたら人間関係リセット症候群にあてはまるかも?」と思ったら、以下のセルフチェックリストを活用してみてください。
- 友達と約束したのに、会うのが面倒
- 1人でいるときのほうが楽しい
- LINEなどの未読スルーをよくする
- 友人がSNSにアップした投稿を見て不快になってしまう
- 仲良くなっても自分の本音を隠してしまう
- 気になる発言をされても言い返せない、または流してしまう
- 言われて嫌なこと、傷ついたを根に持つ
- 夜寝る前に自分のだめなところを掘り出して「ひとり反省会」をする
- 人と会ったあとの疲労感が強い
- 自分から連絡することがない
- 仕事でのミスをずっと引きずってしまう
- 自分は人から必要とされていないと感じる
- 人からどう見られているのかを気にしている
- 人間関係を損得で考える
- 自分に自信が持てない
チェックリストにあてはまる項目が多いほど、人間関係リセット症候群である可能性があります。友人や職場、SNS上でのやりとりを思い出しながら確かめてみましょう。
人間関係リセット症候群に見られる行動4つ
人間関係リセット症候群の行動は、人によりさまざまです。しかし、以下の行動が見られる傾向があります。
- 突然SNSを削除して新しくアカウントを作る
- 退職と転職を繰り返す
- 連絡を断つ
- 引っ越しを繰り返す
連絡を絶ち、環境を180度変えたいと感じている方が多くいるようです。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
1.突然SNSを削除して新しくアカウントを作る
人間関係で大きなトラブルがあったわけでもなく、SNSのアカウントを突然削除します。SNSでの人間関係も現実と同様にうまくいかなくなると、衝動的にリセットしたいという衝動に駆られることがあるため、突然アカウントを削除してしまうことがあるのです。
また削除するだけではなく、新しくアカウントを作ることも繰り返す傾向があります。アカウント削除と新規作成を繰り返している方は、人間関係リセット症候群の可能性があるでしょう。
2.退職と転職を繰り返す
仕事でストレスを感じたときに仕事を突然退職して、転職を繰り返します。社会人にとって会社は生活の大半を過ごす場所で、ストレスを抱えている方も多くいるでしょう。もし解消しないままでいると、衝動的な退職に走りやすくなります。また以下のように思っている方も、リセットする傾向があります。
- 一緒に働いてきた人と今後関わることがないように、連絡先を変える
- 社内の人間関係に不満は無いけど、退屈さを感じている
- 転職するときに、必要以上に転職先や新しい連絡先を教えない
- 連絡に対応しない
同僚や部下が退職して連絡が取れなくなった場合、人間関係をリセットした可能性があるといってよいでしょう。
3.連絡を断つ
人間関係リセット症候群の人は、突然連絡がとれなくなる傾向があります。自分の人間関係をリセットする衝動に襲われてしまうため、連絡先を変更する、着信拒否やブロックをしてリセットしようとします。
急に連絡がとれなくなってしまうため、親しくしていた友人や知人は不安を感じるでしょう。なにかあったのだろうかと心配になったり、体調不良になったのかと心配されてしまいます。
4.引っ越しを繰り返す
引っ越しを繰り返すことも、人間関係リセット症候群の特徴のひとつです。今の環境を変えたいという気持ちから、引っ越しという行動につながるのでしょう。今いる環境が嫌になり、知り合いのいない場所に引っ越すことで環境と共に人間関係をリセットしたいと考える方もいます。
関係を断ちたい人がいたり、住所を知られていることが原因となり、引っ越しすることで特定の人間関係をリセットします。新しい土地で自分らしく生活できるようになる一方、人間関係のストレスが溜まってしまい、引っ越しを繰り返す場合もあるでしょう。また住所を誰にも言わずに突然引っ越しをして、郵便物も届かなくなることもあります。
人間関係をリセットするメリット
人間関係をリセットすることはマイナスイメージで捉えている方も多くいるかもしれません。しかし、以下のようなメリットも存在します。
- 自由になれる
- 人脈が広がる
- 知らない場所でゆっくり過ごせる
- マイナスな人間関係のときに有効になる
今までの人間関係の縛りがなくなるため、伸びのびと過ごせるでしょう。ひとつずつ解説します。
自由になれる
人間関係をリセットすることで今まで身をおいていた環境の縛りが無くなるため、自由になれます。人の顔色や意見を気にする必要が無くなるため、自分のやりたいことに集中できるでしょう。人間関係に不満があり、有意義な時間を過ごしたい方にとってはメリットになります。
人脈が広がる
人間関係をリセットすることで、たくさんの出会いにつながり、人脈が一気に広がります。今までの環境では出会えない人達と話せる機会が増えるため、刺激になるでしょう。ひとつのコミュニティだけにとどまりたくない人にとっても、メリットになります。
また人脈が広がると同時に、複数のコミュニティに参加できます。さまざまな価値観に触れられるきっかけになるため、自分の価値観や考えを広げたい方にとっては、人間関係リセット症候群がよい方向に働くでしょう。
知らない場所でゆっくり過ごせる
人間関係をリセットして引っ越すことで、知らない場所でゆっくり過ごせるメリットがあります。買い物や遊びに行っても知っている人がいないため、ストレスが少ない環境で過ごせます。はじめのうちは寂しいと感じる方もいますが、新しい自分として生きていると思うと開放感があると感じる方がいるようです。
マイナスな人間関係のときに有効になる
DVや暴言、いじめなどのマイナスな人間関係のときは、リセットしましょう。心身に悪影響を及ぼし、状況次第では命の危険に発展する場合もあります。無理にひとりで解決するのではなく、頼れる人や機関を活用しながら行動しましょう。
人間関係をリセットするデメリット
人間関係をリセットすることで自由になれるメリットがある一方、関係性の継続が難しくなる場合があります。詳細は、以下のとおりです。
- 人と仲良くなることが難しくなる
- 自己嫌悪に陥る
- 孤独を感じやすくなる
具体的に説明します。
人と仲良くなることが難しくなる
人間関係のリセットを繰り返すことで、人と仲良くなることが難しくなってしまいます。新しい出会いがあったとしても、この人と縁がつながらない、仲良くなれないかもしれないという考えが出てしまいます。
また「人間関係で悩んだら、リセットすればいい」という考えが潜在的にある場合、最初から良好な人間関係を築くことを諦めたくなるでしょう。
家族や友人の連絡先を消し、何度もSNSを削除することで、周囲から「どうしてすべて削除するんだろう?」と思われるでしょう。またリセットを繰り返す様子を見て、「何かあると関係を切られるな」と不快に思います。
リセットし続けてしまうと、この人は何かあればすぐ逃げる人というイメージがつき、深い人間関係を築くのはやめておこうと避けられる可能性があります。リセット以外の方法で、関係を良くする方法を身につけることが必要です。
自己嫌悪に陥る
人間関係をリセットすると「リセットしたことに対する自分」に自己嫌悪に陥る場合があります。一度自己嫌悪に陥ってしまうと、人間関係を築いていくことに自信が持てなくなることもあるでしょう。
一度リセットしてしまうと関係修復が難しいため、次はどうしたらリセットせずに済むかを考えましょう。同じことを繰り返さないように、自分にあう対処法を見つけ出すことが重要です。
孤独を感じやすくなる
人間関係をリセットすることで、周囲との関わりが希薄になり、孤独を感じやすくなります。リセットした人たちの中に深く関わっている人がいた場合、より顕著になるでしょう。
リセットによる孤独や寂しさを感じないためには、本当にリセットしてよいのかと一呼吸置いてみることがおすすめです。
人間関係リセット症候群になる10の原因
人間関係リセット症候群になる原因はさまざまですが、主に以下の原因が挙げられます。
- 人付き合いが面倒
- 限られた人間関係を築いている
- 近況報告をしない
- 人から嫌われていると思っている
- 白黒思考になっている
- 完璧主義
- 生活習慣の乱れ
- 相手を優先しすぎてしまう
- マイナス思考
- SNSをこまめにチェックしている
人付き合いが元々面倒に感じていたり、白黒思考寄りの考え方が原因のひとつとして挙げらます。ひとつずつ見ていきましょう。
1.人付き合いが面倒
元々、人付き合いが面倒だと感じている方は、人間関係リセット症候群になりやすい傾向があります。人間関係は他人との関わりで、自分がコントロールできない側面を持ち合わせています。自分の思い通りにならないことが多く、面倒だと感じることもあるでしょう。
また、元々面倒くさがりな方は、人間関係を維持することが難しい傾向があり、衝動的に人間関係を断ち切りたい衝動に駆られます。断ち切りたくなったら「人間関係を築いていくのは。面倒なこと」と切り替えて、妥協する気持ちを持つことが重要です。
2.近況報告をしない
人間関係リセット症候群の人がやりがちな行動傾向のひとつとして、近況報告をしないことが挙げられます。環境の変化を報告するのが、いちいち面倒だと感じるからです。
SNSを通じて、さまざまな人とインターネットでやりとりできますが、大事な用事がないのであれば連絡する必要がないと考えるのでしょう。また悪気なく連絡を忘れているだけの場合があります。無理に連絡を取ったり、踏み込みすぎたりせず、適度な距離感を保って接してみるとよいでしょう。
3.人から嫌われていると思っている
人から嫌われていると思っていると、距離を置きたくなる傾向があります。自分が嫌われているかもしれないと思いながら、関係性を築いていくのは大きなストレスです。また自分が傷つくくらいなら、人間関係をリセットしたいと考えてしまいます。
4.人を信じられない
人を信じる気持ちを「対人信頼感」と呼びます。対人信頼感が低くなると、「どうせ自分の気持ちはわかってもらえない」と感じて、本音で話ができなくなります。本当の気持ちを抱えたまま「話してもどうせ解決できないから」となってしまい、リセットしたくなるようです。人を信じられない背景として、過去のトラウマやトラブルも大きく関係しています。
5.白黒思考になっている
白黒思考の方は、自分の良くないことを知られてしまうと距離を置きたくなったり、相手の嫌な部分が見えると嫌いになったりして、断ち切ろうとします。また「敵か味方か」とか「善か悪か」といった思考になりがちです。
中途半端なことが受け入れられる「曖昧さ耐性」を身に着けていくことで、白黒思考が薄くなる場合があります。白黒思考が強く、生活に支障が出ている場合は、プロのカウンセラーの手を借りながら話し合うことも必要です。
6.完璧主義
何事も完璧ではないと気がすまない「完璧主義」の場合、今ある人間関係に満足できずにリセットしたくなります。理想の人間関係を求めて必要以上に自分を追い込んでしまい、無理をしてしまうでしょう。
ただ人間関係は他人が絡むため、理想の人間関係を実現させることは困難です。追い込まれてリセットしないために「人間関係はうまくいかないこともある」と思って、肩の力を抜いてもよいでしょう。
7.生活習慣の乱れ
生活習慣が乱れていると、日常的にストレスを感じやすくなって、マイナスになりがちです。思考がマイナスになると疲れやすくなり、人間関係の問題を解決する意欲がわかなくなるため、リセットしたくなるでしょう。十分な休息をとったり、病院に行ったりと、身体を休ませることを優先させましょう。
8.相手を優先しすぎてしまう
相手の気持を優先しすぎて、自分の気持ちを後回しにしてしまうとストレスが溜まって辛くなってしまいます。また自分を過度に卑下したり、相手の顔色を伺いすぎてしまう人もいるでしょう。
「相手にうまく言わなきゃいけない」「相手になんていいのかわからない」と思ってしまい、関係をリセットしたくなります。相手の気持ちを優先しすぎてしまうと、自分の気持ちや辛さに気付けなくなってしまいます。自分の気持ちを吐き出せる人を探すなど、対処が必要です。
9.マイナス思考
マイナス思考な方も、人間関係リセット症候群になりやすい傾向があります。思考がマイナスになっていると、人間関係で悩んだ際に、「解決できる」と思えなくなります。苦手な人がいたり、自分の言いたいことが言えなかったりすると、人間関係にストレスを感じがちです。マイナス思考が進んでしまうと解決ではなく、関係性のリセットを選択してしまうでしょう。
10.SNSをこまめにチェックしている
SNSをこまめにチェックしていると、友人が何をしているのか、どのように考えているのかがわかるため、かえって疲れてしまうのです。またSNS上の関係の場合、ブロックやミュートボタンを押すことで、こちらから関係性を終わらせることも可能です。
リアルな人間関係に比べて簡単にリセットしやすいため、SNS上の人間関係のほうが起きやすい傾向があります。SNSをやっている方が多いからこそ、生じるといえるでしょう。
人間関係をリセットしたくなったときの対処法11選
人間関係がうまくいかなくてリセットしたくなる前に、対処して改善していくことが重要です。対処法の内容は、以下のとおりです。
- 人に頼る
- 悩みを紙に書き出してみる
- 自分の気持ちを実況する
- SNSと距離を置く
- 相手の気持ちを受け入れてみる
- 気が乗らない誘いは断る
- 呼吸に目を向けてみる
- リセットしたくなったとき1回冷静になってみる
- 自分なりのルールを決めておく
- 人間関係以外のものをリセットする
- もっと良い人間関係が築けると思ってみる
自分に合った対処方法を見つけて、人間関係のストレスを減らしていきましょう。具体的に説明します。
1.人に頼る
人間関係をリセットする前に、人に相談して頼りましょう。悩みやストレスをひとりで抱えたままでいると、マイナス思考になってストレスを感じやすくなります。人と話すことで、気持ちが楽になったり、違う視点が得られたりするメリットがあります。友人や家族だけではなく、周囲の信頼できる人なら誰でも問題ありません。
相談するのに抵抗を感じるかもしれませんが、言葉にすることで思考整理になり、きもちがすっきりします。人間関係で悩みがあるときはひとりで抱え込まずに、人に相談しましょう。
2.悩みを紙に書き出してみる
人間関係リセット症候群の対処法として、悩みを紙に書き出してみる方法があります。紙に書いてアウトプットしてみることで、ストレスを感じていることはなにか、不安に感じていることが一目でわかります。
人間関係で辛さやしんどさを感じているときは、悩みや不安について、具体的に書き出してみましょう。自分の思考が整理できれば形式は気にせず、紙やメモ機能など、自分がやりやすいやり方で試してみましょう。
3.自分の気持ちを実況する
人間関係をリセットしたくなったときに、どのような気持ちを抱いているかを実況中継してみましょう。今何が起きているのか、どんな感情があるのかを自分に説明してみてください。実況の具体例は、以下のとおりです。
- Aさんは上司から仕事で評価されているのに、自分は認め評価されなくて悔しい
- 彼氏に裏切られて、悲しさと怒りがじわじわ広がって、涙が止まらない
- SNSで〇〇さんの様子を見て、羨ましいと思っていることに気づいた
頭に思い浮かべたり、口に出したりしてもよいでしょう。具体的に言葉にして実況することが重要です。
4.デジタルデトックスをする
人間関係で疲れたときは、一時的にスマホやネットから離れる「デジタルデトックス」がおすすめです。距離を置いてみることで、本当にリセットする必要があるのかの判断がしやすくなります。
デジタルデトックスは、スマホやPCに触らない時間を一定時間設けることで、ストレスを減らす解消法です。具体的なやり方は以下のとおりです。
- ネットを意識的に使わない時間を決める
- 特定の時間以降は、スマホに触らないと決める
- 機内モードを設定して、簡単にネットを開けないようにする
- SNSが確認できないように、スマホの電源を切る
いきなり連絡を断つのではなく「少しの間スマホの電源を切るけど、心配しないでください」といった言葉を添えることで、周囲から過度な心配をされずに済みます。意識的にデジタルデトックスを行うことで、SNSへの依存度を減らせるだけではなく、人間関係リセット症候群が改善しやすくなるでしょう。
5.相手の気持ちを受け入れてみる
人間関係をリセットする前に、一旦相手の気持ちを受け入れてみてください。「他人と自分は違う人で、いろいろな考え方がある」と考えてみると、許容範囲が広がります。
もし友人と、価値観の違いでトラブルに発展しそうになったら、すぐにリセットするのではなく、一度距離を置きましょう。距離を置くことで冷静になり、本当に関係をリセットしてもいいのかを考えられます。
6.気が乗らない誘いは断る
自分にとって気が乗らない誘いは、思い切って断りましょう。すべての誘いに応じているとストレスが溜まってしまい、リセットしたい衝動が強くなるからです。うまく断るために、以下のポイントをおさえましょう。
- 言い訳をしない
- 早めに断る
- 断る理由を伝える
「本当は行きたいけど…」などと前置きしてしまうと、優柔不断な人だと思われるため注意しましょう。行きたくないと感じた時点ですぐに伝え、興味がないのであれば「興味がない」とはっきりつたえることが重要です。
7.呼吸に目を向けてみる
リセットしたいくらい人間界に疲れてしまったときは、呼吸に目を向けてみましょう。自分の呼吸であれば、いつでもどこでも意識が向けられ、気持ちが落ち着きます。以下の方法で試してみましょう。
- 床や椅子の上に座って、足を床につける
- 「1回目を吸っている」と意識して、腹式呼吸で息を吸う
- 「1回目を吐いている」と意識して、腹式呼吸で息を吐く
- 自分の呼吸を観察しながら、10回繰り返す
- 気が散ってわからなくなったら、1回目に戻る
呼吸に目を向けることで「マインドフルネスな状態」になり、今の自分の状態を冷静に観察できます。リセットしたいと行動に移す前に、一呼吸置いてみてください。
8.リセットしたくなったときに1回冷静になってみる
リセットする前に、1回冷静になることが重要です。人間関係リセット症候群の方は、すべてのことが面倒になって衝動的に連絡を断つ傾向があります。SNSや連絡先を削除する前に、スマホやパソコンから離れて時間をおいてみてください。
また「リセットして後悔しないか」「もし突然親しい友人からリセットされたらどう思うか」など、具体的に状況を考えてみましょう。
9.自分なりのルールを決めておく
人間関係をリセットしたいと感じたら、自分なりのルールを決めておきましょう。完全にリセットしてしまうと癖づいてしまい、良好な人間関係を築くことが難しくなります。たとえば以下のようなルールを定めておくとよいでしょう。
- アカウントではなく、アプリを削除する
- 親しい友人や家族の連絡先は削除しない
- ミュートやブロック機能を活用する
SNS上で嫌なことを言われたときはミュート機能などを活用して、投稿から距離を置くとよいでしょう。
10.人間関係以外のものをリセットする
人間関係以外のものをリセットすることで、連絡先の削除などの衝動的な行動が起きにくくなります。「選択肢が増えるほど人間の判断力は低下する」と言われており、選択肢を減らすために人間ではなく物を減らしてみてください。
たとえば、家にあるいらないものを断捨離してみることで、心に少しずつ余裕が出てくるでしょう。目についたものからでよいので、試してみてください。
11.もっと良い人間関係が築けると思ってみる
人間関係に疲れているときや、リセットしたいと思っているときこそ「もっと良い関係が築ける」と思ってみましょう。人間関係のストレスが完全に無くなるわけではありませんが、意識を変えてみるだけで、マイナスの感情に支配されなくなります。
またマインドフルネスを意識してみることで今の自分に集中できるため、現実が受け入れやすくなります。もしリセットしたい衝動に駆られたら、良い人間関係が待ってると思い浮かべてみてください。
友人が人間関係リセット症候群だったときの対処法3つ
友人が人間関係をリセットしてしまうかもしれないと感じたときは、以下の3つのことを試してみましょう。
- そっとしておく
- 連絡を控えめにする
- 落ち込みすぎない
心配だからといっていろいろ聞きすぎてしまうと、かえって相手に精神的負担をかける可能性があります。適度に距離をおいて、見守る姿勢が必要です。
1.そっとしておく
友人から状況を聞きたい気持ちをおさえて、そっとしておきましょう。深く関わらない期間を作り、気持ちの整理ができれば、相手から連絡がくることもあります。友人の様子をみて、普段通りのコミュニケーションができるようになってから、徐々に寄り添うのもありです。相手の気持ちを察知して、無理強いはしないようにしましょう。
2.連絡を控えめにする
友人が人間関係リセット症候群だとわかったら、連絡を控えましょう。一方的に連絡し続けてしまうと、かえって関係性が悪化する可能性が高くなります。どうしても連絡したくなったときは「返信不要」と、相手の負担を減らすような一言を付け加えてみてください。
3.落ち込みすぎない
友人からリセットされたとしても落ち込みすぎず、あくまで相手の問題として捉えるとよいでしょう。リセットされた自分ではなく、リセットした友人側の課題として受け止めてみてください。また落ち込んだ気持ちを抱え続けるのではなく「悩んでも仕方ない」と流すようにイメージしてみると、心が軽くなります。
友人からリセットされた場合の対処法5つ
もし自分が友人からリセットされた場合は、以下の方法で対処してみてください。
- 友人の行動を分析する
- リセットされて悲しい気持ちを否定しない
- 自分が悩んでも仕方ないと思う
- リセットされた意味を考える
- リセットされるときもあると開き直ってみる
リセットしたことを否定せず分析してみることで、友人の気持ちの理解につながるでしょう。
1.友人の行動を分析する
リセットされて落ち込んだ気持ちを受け入れられたら、相手のことを客観的に分析してみましょう。「先週LINEしたときは、いつもと様子が変わらなかった」「急にLINEアカウントが削除されててメッセージを送っても既読がつかなかった」など、事実をベースに考えてみてください。
感情を入れないことで「急に連絡が取れなくなったことは、今回こちらに否は無い」と冷静に捉えられます。
2.リセットされて悲しい気持ちを否定しない
急に関係をリセットされて怒りが沸いたり、落ち込んでしまったりするのは当然の感情です。自分の気持ちを否定せず、認めましょう。「悲しかった」と思った感情をありのままに認めて、受け入れることで心が穏やかになります。
3.自分が悩んでも仕方ないと思う
友人から関係性をリセットされてしまった場合、自分が悩んでも仕方ないと切り替えることが必要です。自分ではなく、相手の精神状態が不安定であったことが原因のひとつとして考えられます。自分を責めたりせず、友人を見守りながら「いつか帰ってくる」という気持ちで、気長に待ちましょう。
4.リセットされた意味を考えてみる
友人からリセットされた状況下で「なんで?」と思ったときに、意味を考えます。「今は成長段階だ」という発想に転換してみると良いでしょう。
また「人間関係の転換期かもしれない」と思うことで、リセットされたときの怒りや悲しみが、徐々に緩和されるでしょう。自己満足やこじつけでもよいので、自分なりに意味を見出してみてください。
5.リセットされるときもあると開き直ってみる
リセットされたことに執着しすぎず「人間関係ってこんなもんか」と開き直る姿勢が必要です。どれだけ良い人間関係を築いていても、相手のことはコントロールできません。開き直るのが難しい場合は、これまでの人間関係を振り返ってみましょう。すべてが悪い人間関係ではなかったはずです。
リセットされたとしても、これまでの人間関係で培ったものは無駄になりません。今まで良好な人間関係を築けてきた事実に目を向けて「リセットされるときもあるよね」と口に出してみましょう。
人間関係リセット症候群にならないほうがいい3つの理由
人間関係リセット症候群は自由になれるメリットがありますが、リセットしないほうが賢明でしょう。理由は、以下の3つです。
- 問題の根本的解決にならない
- 収入があがらず生活に影響が出る
- 表面的な人間関係しか築けない
1.問題の根本的解決にならない
人間関係をリセットしたからといって、問題の根本的な解決にはつながりません。原因は周囲の人たちではなく、自分にあることがほとんどです。今の人間関係を断ってリセットしても、新たな人間関係でまたリセットしたくなる可能性が高くなるでしょう。
リセットしても根本的な解決にならないため、転職など辛い状態が続きます。辛い状況から打破するためには、リセットしないでよい関係を築く方法を考えることが重要です。ひとりで考えるのが大変な場合は、カウンセラーなどプロの手を借りながら、話し合うことも視野に入れてみてもよいでしょう。
2.収入があがらず生活に影響が出る
人間関係をリセットして何度も転職すると、収入があがりにくくなります。とくに日本の企業の場合、年功序列で、勤続年数が長い方のほうが収入が多い傾向があります。仕事で結果を出し、役職をもらう前に辞めることになるため、収入が上がらず生活に影響が出るでしょう。
3.表面的な人間関係しか築けない
人間関係を何度もリセットすることで、表面的な人間関係しか築けなくなります。相手の嫌なところが見えるたびにリセット癖をつけてしまうと、人間関係が深まらないまま終わってしまいます。深刻になると転職や離婚など、孤独な状況を繰りかえしてしまうでしょう。少しでも深い人間関係を築いていきたいと考えている方は、改善する意識を持ってみてください。
人間関係リセット症候群についてよくある質問
人間関係リセット症候群について、よく寄せられる質問に回答しました。
- 人間関係リセット症候群って病気なの?
- HSPに多いって本当?
- 人間関係をリセットしたあとってどんなかんじ?
- 人間関係のリセットを理由に転職するのはあり?
- リセットしたほうがいいのはどんなとき?
- どうしても人間関係をリセットしたくなったら?
人間関係リセット症候群を改善したい、人間関係をよくしたい方は参考にしてみてください。
人間関係リセット症候群って病気なの?
人間関係リセット症候群は、病気ではありません。正式な病名ではなく「何度も繰り返し人間関係をリセットするような衝動」を指します。突然連絡先を消したり、誰にも言わずにSNSを削除することが特徴です。
病院に行っても診断されることはありませんが、職場に馴染めず何度も転職と退職を繰り返している場合、適応障害や不安障害などの疾患も考えられます。生活に支障が出ている場合は、受診しましょう。
HSPに多いって本当?
人間関係リセット症候群が、HSPに多いという根拠はありません。しかしHSPは「繊細で敏感な気質」を持っているため、人間関係に疲れやすい傾向があります。とくに人間関係のストレスを感じやすいため、「一人の時間が欲しい」と思うようになり、連絡先やSNSを削除したくなるのでしょう。
また自分の本心を隠して人と接する傾向があり、相手の望んでいる反応をしようと頑張ってしまい、疲れることがあります。自分の本音を抱えてストレスがたまると、人間関係をリセットする行動に走っていまいます。
人間関係をリセットしたあとってどんな感じ?
人間関係をリセットしたあと、新しい生活に慣れるために行動するか、後悔するかどちらかにわかれる傾向があります。
たとえばドラマ化された漫画の主人公の女性は、職場の人間関係がうまくいかず、彼氏とも別れてしまいました。過呼吸になったことをきっかけに、全てをリセットします。退職や引っ越し、人間関係をリセットし行動し続けた結果、楽しい生活を手に入れました。この主人公の行動が多くの方の共感を呼んだことから、現実に疲れてリセットしたい人がたくさんいることがわかります。
一方、人生の全てが嫌になって会社を突然退職し、住む場所を変えて後悔している方もいるのが現実です。すっきりした気持ちは最初だけで「二度と会えない人」や「二度と行けない店」ができたことで、かえって不自由さを感じたとのことです。リセットしたあとは新しい生活が始まり、多くのエネルギーを消費します。後悔しないために、実行するかどうかをしっかりと考えましょう。
人間関係のリセットを理由に転職するのはあり?
人間関係のリセットを理由に転職してしまうと、人間関係の悩みが出るたびに転職を繰り返すおそれがあるため、ありとは言えません。転職を繰り返すことで、収入とキャリアに影響が出るため「今の仕事をやめて本当に転職するべきなのか」をしっかりと考えましょう。
組織で働くと人間関係の悩みはつきもので、合わない人や苦手な人がいるものです。もし仕事自体に不満がないのであれば「仕事の人間関係は適度な距離をとろう」と割り切ってみてみてください。
リセットしたほうがいいのはどんなとき?
DVやいじめを受けている場合など、自分にとって悪影響を及ぼす人間関係を築いている場合は、リセットしたほうが賢明です。ただし自分ひとりで解決するのは困難であるため、関係機関に頼り、健全な人間関係を作るための環境調整を行いましょう。
どうしても人間関係をリセットしたくなったら?
人間関係に疲れてしまいどうしてもリセットしたくなったら、以下のことを試してみてください。
- 人に頼る
- 悩みを紙に書き出してみる
- デジタルデトックスをする
- 相手の気持ちを受け入れてみる
- 気が乗らない誘いは断る
- リセットしたくなったとき1回冷静になってみる
- 人間関係以外のものをリセットする
リセットしたいくらい追い込まれたら、人に相談し気持ちを吐き出してみることが重要です。また気が乗らない誘いに断ってみることで、自分の本心に気づきやすくなるでしょう。
デジタルデトックスや人間関係以外のリセットは、スマホやパソコンから離れ、情報が入りにくい状況を作り出すため、冷静になりたいときにおすすめです。
人間関係をリセットする前に自分なりの対処法を身に着けよう
人間関係で悩んだからといってすぐにリセットするのではなく、本当に必要かどうかを考えることが重要です。今回は『メンタルヘルス大国アメリカで実証された心がモヤらない練習』から、おすすめの対処法を紹介しました。
人間関係でつらいときは、今回紹介した方法を試してみてください。リセットしたい衝動をおさえられる実用的な方法を紹介しているため、今後の人間関係を築いていくうえで役立つでしょう。リセット以外の方法で改善していきたいと感じたら本書を手に取り、モヤモヤとストレスを一緒に解消していきましょう。