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国が守ってくれているから成り立つ?財産を所有するということ

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山の中で光り輝くダイヤを見つけたら、そのダイヤは誰のものになるのでしょうか? 山の所有者なのか、見つけた人なのか。法律を調べたり行政に聞いたりするでしょう。所有権は法律で決まっています。つまり、「所有」を管理しているのは国なのです。

この記事では、財産の「所有」について、経済の仕組みが超シンプルに理解できる「東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった! 」よりご紹介します。ぜひ最後まで読んで、国家とお金について理解しておきましょう。

国があるからお金を使って買い物ができる

ここでは、お金の機能について説明していきます。

自分の財産とは

100人の島にたくさんのお金と宝石を持ったトラがいます。トラはいつも「一番金持ちのおれが一番強い」と言っていばってしました。そんなトラに、ネコが「一番強いのは国だよ」と言いますが、トラは「たくさんのお金と宝石があるから大丈夫」と笑います。

しかし、革命により国が無くなってしまうと、トラは宝石を全部奪われてしまいました。国が無くなったことにより、所有を可能にしているルール(秩序)がなくなったからです。

宝石の権利書はただの紙切れとなり、裁判をする公務員もいません。たくさんのお金にもなんの価値もなくなりますトラは国からお金持ちであることを許されていただけ。トラとトラの持っていた宝石に科学的な結びつきがあるわけではなく、神様の不思議な力でダイヤに名が刻んであるわけでもありません。お金が機能するのも、国があるときだけです。

財産を所有できるのは、国がルールで守ってくれているからなのです。国が消えれば、弱肉強食の暴力の世界に戻ってしまうでしょう。

国がなくなっても消えないもの

国がなくなり、トラは全てを失いました。しかし、もしトラが天才建築家だったり、社員に好かれる敏腕社長だったりしたら、新しい国でもすぐに裕福になれるはずです。能力や人間関係は国が無くなっても消えません。反対に、何もできない人だったら新しい国で裕福になることは難しいでしょう。

ルールや国が変わった例として、フランス革命や日本の戦後の農地改革・財閥解体などがあります。

所有とはルールにすぎない

ここでは、国がもつルールについて見ていきましょう。

国家がもたらす社会秩序

山の中でダイヤを見つけたとしたら、ダイヤは誰のものでしょう。その所有権が誰にあるのかは法律で決まっています。所有権を管理しているのは国なのです。

もしあなたが1万年前にタイムスリップしたとして、そこで、自分の持っていたダイヤを誰かに取られたとしたらどうしますか?

「そのダイヤは私のモノです」と主張しても、相手が「私のモノだ」と言ったらどうしようもできません。暴力で奪い返すほかはないのです。
あるいは、その集団で一番強いボスが「モノは最初に拾った人間のモノだというルールにする」と決めれば、ダイヤは返してもらえるかもしれません。

「所有」とは、人間社会が作り、認めているルールにすぎません。そして「暴力」によってそのルールは機能しています。「ルールを破るやつは許さない」という罰則としての「理不尽な暴力」です。

お金持ちも貧乏も国家に許されている状態

「国家の必須の条件は暴力の独占である」と社会学者のマックス・ウェーバーが述べています。

近代国家も「暴力の独占」によって成り立っています。警察や軍隊などの強大な権力を持つ国が、所有権のルールを決め、もし破ったら逮捕すると法律で定めているからです。これにより、私たちは財産を所有して秩序のある生活を送ることができています。

お金を持っていたり、貧しかったりするのも国家がその状態を許しているからだといえます。

目的は国民が幸せに暮らせるようにすること

国の目的は、文明の発展と平和な社会を守ること。国の役割や存在目的を定義するのは難しいのですが、本書ではこのように位置付けています。

弱い立場の人を助けるルールを作るのも国の仕事です。弱い人を助けないと、治安が悪くなって社会が壊れてしまいます。追い詰められた弱者が泥棒になるかもしれず、あるいは無差別テロを考えるかもしれません。

このような人がいるとしたら、国民は安心して過ごせなくなります。資産を集めたり、兵士を雇ったりと物騒になっていくでしょう。

ヒトが100人いたら、平均以下の人は50人です。その50人のうち、10人は平均と比べてすごくできない人となるでしょう。弱者かどうかは平均からの差でしかないのです。つまり「社会的弱者」は絶対にいなくなりません。明日、あなたが社会的弱者になる可能性もあるのです。

国には、平和と文明の発展を進められるように弱者を助ける仕組みがあります。これにより治安が良くなり、経済活動も活発になるのです。

まとめ

所有権を主張できるのは、国によって秩序がたもたれているからにすぎません。国がなくなれば、お金もただの紙切れとなり、弱肉強食の世界に戻っていくでしょう。

ムギタロー氏の著書「東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった! 」では、日本を「100人が住む島」と想定して経済のしくみをわかりやすく解説。本書を読めば経済ニュースが「わかる!」レベルになるだけでなく、経済に対する自分の意見も持てるようになります。ぜひ手に取ってみてください。


東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった! ムギタロー(著)、井上智洋、望月慎(監修)

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