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固定相場制って何?変動相場制との違いや失敗談を解説

東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった!
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日本人が海外の商品をほしがる気持ちと、海外の人が日本の商品をどれだけほしいか。これによって為替レートが毎日変化しています。

為替レートが固定されていない状態を「変動相場制」といい、レートを固定させるのを「固定相場制」と呼びます。何が違うの?と思うかもしれません。

今回は経済を分かりやすく解説した本、『東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!』から、内容を一部抜粋してご紹介します。

固定相場制と変動相場制の違いを理解し、国のお金がどのように回っているか見ていきましょう。

固定相場制の面倒くさい仕組み

固定相場を簡単にいうと、為替レートを変えずに一定にさせるといことです。変動相場は、その逆です。

通常は、お互いのモノやサービスの質、レア度に合わせて為替は変わります。

例えば、日本車が海外で人気になれば、日本車をほしがる人が増えます。そうすると、為替市場で通貨のバランスを考えて「1ドル=〇〇円」と決まるのです。
どれだけの人が、どれだけほしいかによって変わってくるのが「変動相場制」ということです。

では、なぜ固定相場という考え方が出てくるのでしょうか。

固定相場制をわかりやすく解説するために、ろしあ島の話をしていきます。

ろしあ島では「るーぶる」というお金が通貨です。ある日、ろしあ島の政府は言いました。

1るーぶる=1どるで交換できるようにレートを固定させたい

ろしあ島の中では、石油1リットル=1るーぶる、あめりか島の中では、あめ車(あめりか島の食料とモノ、サービスのすべて含む)1台=1どるの値段がついているとしましょう。

ろしあ島は「1るーぶる=1どる」に固定すると決めていますが、あめりか島は協力するつもりがありません。
そこで、ろしあ島政府がやることは、為替レートを調整することです。固定レートにするために、為替市場に参加して通貨のバランスをとりました。

あめりか島の住民が石油をほしがり、ろしあ島の住民があめ車をほしがるときは「1るーぶる=1どる」です。
ところが、ろしあ島の住民は「あめ車がほしいのに、あめりか島の住民が「石油をほしがらない。そうすると、通常の為替ルートの場合「2るーぶる=1どる」「3るーぶる=1どる」のように「るーぶる安」になっていきます。

ろしあ島の政府は、固定レートのためにニセ者のあめりか島の住民をつくり、為替市場で大量の「どる」を使い「ろしあ島の石油がほしいですわたしのどるるーぶると交換してください」ということをやりはじめました。

すると、為替市場に❝るーぶる❞をほしがる人が増えたので、るーぶる高に変わり「1るーぶる=1どるのレートに近づくという仕組みになります。

固定相場に限界あり?国債を売っても限界あり

ろしあ島の政府が、為替市場でやっている面倒くさい操作により「1るーぶる=1どる」をなんとか、保てています。

しばらくはうまくやっていたのですが、あるとき問題が起きました。

あめりか島が「最近あんまり石油を使わないし他の島がもっといい為替レートで石油をゆずってくれるからろしあ島の石油はもういらない」と言い出したのです。

ろしあ島の政府は、金庫の❝どる❞がなくなってしまい、次の作戦として他の島の住民たちからどるを借りることにします。
こうしてまた、為替市場で❝どる❞と❝るーぶる❞を交換して「1るーぶる=1どる」に戻していきました。

しかし、焼け石に水のようことを何度も繰り返していくうちに「ろしあ島に❝どる❞を貸しても返してくれないかも。貸すのやめようかな」と言われます。

焦ったろしあ島の政府は、次の作戦で国債を売ることにしたのです。

  • ろしあ国債(3ヵ月後に105るーぶると交換できる券)を100るーぶるで売る
  • さらにいま、ろしあ国債を買ってくれた人には、絶対3ヵ月後に105るーぶるを105どると交換してあげる券

好条件を聞いた他の島の住民たちは、ろしあ国債を買うことにしました。

しかし、状況は変わらず、ろしあ島の❝どる❞の金庫はまた底をつき、他の島の住民に❝どる❞も❝るーぶる❞も返せなくなってしまいました。これが、固定相場の失敗例です。

ろしあ島の失敗から学ぶのは、他の民がほしがるような良質な製品資源が自分の島にないときは無理して固定レートにしてはいけないのです。

まとめ

日々の為替レートは、お互いのモノのほしさによって左右されていますが、経済がうまくいくためには変動相場制で決めるほうが、安心して貿易ができます。

焼け石に水のように、小手先だけで状況を変えようとしても変わりません。現実の日本も円安で大変な時代ですが、他国と仲良くして日本のすばらしい「資源」「技術」を海外に広めていくことが大切です。

このように『東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!』では、今回ご紹介した内容の他に、「国や政府の役割」「景気と物価」などのとっつきにくいお金の話を、シンプルに分かりやすく解説しています。興味がある方は、ぜひ本書をご覧ください。


東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった! ムギタロー(著)、井上智洋、望月慎(監修)

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