値段を高めに設定しておくことで、自分の商品や自分自身の価値をアピールすることができます。情報を持っていない相手に情報の一部だけを伝え、相手の考え方や言動を変える「シグナリング効果」を使いましょう。
この記事では、自分の価値をアピールできるシグナリング効果について、対人関係の全技術を凝縮した「頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術」よりご紹介します。ぜひ最後まで読んで、自分の商品やサービス、さらにはあなた自身の価値をアピールする方法を身につけていきましょう。
目次
シグナリング効果で価値をアピールするには
ここでは、シグナリング効果について説明していきます。
価値を判断するのは「価格」
2種類の牛肉が売られていたとします。見ただけではその価値の違いはわかりにくいでしょう。しかし、片方は100gあたり500円、もう片方は100gあたり5,000円の値段がつけられていたら、「5,000円の牛肉の方がおいしい」と判断するのではないでしょうか。
このように、値段の付け方次第で商品やサービス、さらには人物の価値の印象が変わります。
人は、自分があまり詳しくないジャンルやはじめてみる商品サービスの価値が見た目ではわからないとき、「値段」をみて判断します。知識がないものに対して、特定の情報だけで価値の判断をしてしまう傾向があるからです。
この心理を交渉でも役立たせてみましょう。
適正な価格で取引したい場合は、自分の商品・サービス・あなた自身の価値を相手にしっかりとわかってもらい、ある程度の高い価格を設定することです。すると、相手はつけられている高い価格から、あなたの商品やサービス、さらにはあなた自身の価値を判断してくれます。
高値をつけるためには
正々堂々と高値をつけるためには、ポリシーやプライドを持ち、裏付けとなる信念や実績をあわせてアピールすることが大切。高い値段をつけて「ぼったくり」と思われるのは嫌ですが、正当性を説明できれば高い付加価値として理解してもらえるでしょう。
自信がないのなら、これまでの仕事の成果物を見直したり、クライアントからの高評価を思い出したりして自信を取り戻してみてください。
また、値段をつけるときには「自分なら買う値段か?」という視点を取り除くことがポイント。原価を知っているので「この値段では買いたくない」と思ってしまうことが多いからです。
こんな話があります。ある画家が自分の描いた絵におよそ1,000万円の価格をつけたそうです。それに対して批評家が「たった2日間で描いた絵にそんな値段をつけるとは」と非難しました。しかし画家は「生涯をかけて生み出した成果に対して1,000万円の値段をつけた」と反論したそうです。
このように、値付けへの疑問に答えられる正当な理由を用意しておくことが大切です。
シグナリング効果とは
市場において十分な情報を持っている側が、情報を持っていない側に一部の情報だけを選んで伝えることを「シグナリング」といい、それが相手の考え方や言動まで変えてしまうことを「シグナリング効果」と呼びます。
このシグナルの代表例が「値付け」。消費者が商品やサービスを購入するとき、品質が判断できなければ値段をチェックすることで指標にするのです。
ですから、買ってもらいやすくなるからといって安易に低価格をつけないようにしましょう。シグナリング効果で、あなたの商品やサービスの価値が低いとみなされる可能性があるのです。同様に、値下げをすることでも価値が下がったとみなされてしまいます。
値付けはシグナリング効果を発揮するので、値段次第で他者に伝わる印象を変えることができるのです。
シグナリング効果から身を守るには
ここからは、シグナリング効果から身を守る方法を説明していきます。
相手の価値を価格で判断する前に
相手が提示した高価格を見て、「高品質かも」と思ってしまったら、次の2つを試してみることをおすすめします。判断するのはそのあとでも遅くはありません。
- 相場を知る
- 値付けの理由を聞く
詳しくみていきましょう。
1.相場を知る
他社の類似商品やサービスをリサーチして相場の情報を知りましょう。価格以外の判断基準を複数もつことができます。
2.値付けの理由を聞く
その価格に設定した理由を、相手にさりげなく質問してみましょう。低姿勢でお願いすれば、相手が答えてくれる可能性もあります。場合によっては、商品愛を存分に語ってくれることもあるでしょう。
あなたがこの回答に納得できるのであれば、取引を継続してもいいと判断できるのではないでしょうか。
まとめ
一部の情報から価値を判断させることが可能なシグナリング効果。価格でも同様の効果があります。ポリシーやプライドを持ち、実績や信念とあわせてアピールしていきましょう。値段はその商品やサービス、あなた自身の価値を示す指標となります。
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