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感情を揺さぶることで行動を促すメソッドとは

頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術
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人は感情を揺さぶられることで行動を起こします。では相手の感情を刺激するにはどうしたらいいのでしょうか。

この記事では、相手の感情を揺さぶるストーリー・テリングという方法を、対人関係の全技術を凝縮した「頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術」よりご紹介します。ぜひ最後まで読んで、相手に行動を促したいときなどに活かしてみてください。

感情を揺さぶるには物語る

ここでは、相手の感情を揺さぶる方法を説明していきます。

感情を刺激する方法とは

人は喜怒哀楽の感情が動いたときに行動を起こします。強い感情は強い衝動を呼び起こすので、論理的ではない判断をする原因になることも。
つまり、交渉相手の感情を刺激することができれば、プライベートでもビジネスでも優位に立つことが可能になります。

とはいえ、相手の感情を刺激するにはどうしたらよいのでしょうか。

研究によると、単なる情報提供よりも話の内容を物語にした方が聞き手にポジティブな影響を与えられるとわかってきました。
たとえばストーリーのあるCMは、商品やサービスの購買意欲を高める・企業への好感度を上昇させる・社会課題に対する啓発効果などを発揮します。

あなたの話も物語(ストーリー)にすることで、相手の感情を刺激でき、記憶にも残しやすくなるでしょう。

メッセージを伝える物語

相手の感情を動かす力のあるストーリーとは、何らかのメッセージを伝えるために物語化したものです。フィクション・ノンフィクションに関わらず、単なるエピソード(出来事)ではいけません。

相手にどんなメッセージを伝えたいのかから逆算してエピソードをつくり、物語にしていくことが重要です。

たとえば、仕事に失敗して落ち込んでいる部下を励ましたいとしましょう。目的は「励ますこと」なのに、自分の失敗談のエピソードだけを語っても「それで?」となってしまいます。単に「がんばれ!」と励ましたり、考え方やノウハウを提供したりするだけでも相手の感情まで刺激はできません。

この場合、「誰でも失敗はある。そして失敗は必ず乗り越えられる」というのが伝えるべきメッセージ。そこから逆算して自分の過去の大きな失敗エピソードと、それを乗り越えたときの考え方やスキルをストーリーにするとよいでしょう。

ストーリー・テリングの強い効果

物語を語って情報を伝えることを「ストーリー・テリング」といいます。
まだ文字が存在しない時代は、口頭で情報伝達をしていました。出来事や教訓などをできる限り伝え残していくために、有史以前から物語が使われていたのです。

有名なものとしては「神話」があります。神話は何千年も伝え残されており、これからも伝え残されていくでしょう。それほどストーリーには、人の脳や感情に情報を刻み残す力があるといえます。

このように、ストーリー・テリングの効果はとても強力。もし反対に、感情を刺激されるようなストーリーに出会ったら、「即決しない」というマイ・ルールを決めておきましょう。

購買決定などの合意をする前に、その商品やサービスの効果・スペック・価格などを検討します。客観的かつ論理的な精査を行うことが重要です。

ストーリー・テリングを習得するコツとは

ここからは、ストーリー・テリングのコツをご紹介していきます。

「目的」と「ジャンル」をあわせる

ストーリー・テリングのコツは、交渉本来の目的とストーリーのジャンルをマッチさせること。ジャンルには次の3つがあります。

  • ギャップの演出
  • 成功体験
  • 未来予測

次から詳しく説明していきます。

共感を得たい・親近感を高めたいなら「ギャップの演出」

目的が共感を得ることや親近感を高めたいことであるなら、ギャップを演出しましょう。

ギャップの演出には「平凡なところ、もしくは絶頂から穴に落ちるエピソードに教訓を添える」「自分が穴にいたところから這い上がったエピソードに教訓を添える」という2つのコツがあります。

人は穴に落ちるエピソードに好奇心を抱き、穴から這い上がるエピソードに期待を抱いたり、応援したくなったりします。そして、「穴」は深ければ深いほどよいでしょう。「穴」という自分自身の欠点や弱点を相手に伝えることで共感を得られるのです。

ギャップを演出することで、好感度を高め、親近感が得られるでしょう。

達成意欲を刺激したい・相手を惹きつけたいなら「成功体験」

成功体験を語ることで相手の達成願望を刺激できます。「自分も達成したい!」と思わせることで、相手の行動の動機づけができるのです。

「奇跡」を起こしたことを伝えるとより効果的。常識的にあり得ないようなことを起こしたエピソードは、あなたに対して尊敬・憧れ・畏怖などの感情を起こします。「自分もその恩恵にあずかりたい」と思わせて、相手を惹きつけることができます。

ただし、成功体験はやりすぎると自慢話と受け取られることもあるので注意が必要です。

先導したい・虜にしたいなら「未来予測」

いつの時代も未来を予測できる人のもとには人が集まります。未来を推測して相手の将来を物語ることができるからです。

この能力はカリスマ性を持つリーダーに必要な資質。「過去に〇〇や△△があった。ここから××というパターンが見出せるから、それをこの先10年に当てはめてみると……」というように未来予測をし、当たっていると思わせれば相手はあなたに首ったけです。

未来をストーリーとして語ることができれば、相手の心を鷲掴みにできるでしょう。

まとめ

ストーリーには人の脳や感情に情報を刻み残す力があります。これをふまえて、伝えたいメッセージから逆算してストーリーを作れば、相手の感情を刺激でき、記憶に残すことが可能です。

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