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不安定になりやすい方が人生をよくするための感情コントロール術「DBT」とは

メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習
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誰かの何気ない言葉に傷ついたり、過去の失敗を思い返して落ちこんだりすることはありませんか?

気持ちを安定させるためには、自分の心の状態を知ってコントロールする習慣を身につけることが大切です。その方法を、メンタルクリニック院長である須田賢太著書の『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』より紹介します。

感情コントロール術DBTとは

DBTとは、メンタルヘルス研究がさかんなアメリカで生まれ、高い評価を受けている心理療法です。弁証法的行動療法といいますが、言葉の意味はわからなくても大丈夫。

伝えたいのは、このDBTという心理療法が、境界性パーソナリティ障害に効果があると科学的に立証された初めての治療法だということです。

境界性パーソナリティ障害の特有の症状として、感情の不安定さと衝動的な行動を抑えられないことがあげられます。従来の精神分析や認知行動療法などの心理療法では、それらの症状にたいして効果が不十分であることから、新たに開発されたのがDBTです。

このプログラムを受けた患者さんは、リストカットや大量服薬などの自分を傷つける行為、入院する割合、入院日数などが、ほかの治療法と比べて減少しました。そして、治療を終えた後の社会生活の安定度が高いという結果も出ています。

DBTが他の心理療法と大きく違うのは、「今の自分」や「今の状況」をあるがままに受け入れる「受容」を重視している点。苦しみを引き起こしている感情・思考・行動のパターンを、受容を柱とするマインドフルネスを使って変えていきます。

一度習得すれば日常生活で活かせるようになり、人生の質が向上していくでしょう。

心が傷つきやすい方にDBTをおすすめする理由

DBTを身につけるメリットは以下の2つです。

  • 日本では新しい治療法
  • 「受容」をベースにした誰にでもできる方法

それぞれ説明していきます。

DBTは日本において新しい心理療法

DBTは、日本では、まだあまり知られていない心理療法です。効果が認められ、アメリカで高い評価を得ていますが、アメリカとの保険診療体制の違いなどから、日本で取り入れているクリニックはわずかです。

また、DBTの新しさとは、「今の自分」や「今の状況」をあるがままに受け入れる「受容」を重視している点です。そのうえで、苦しみの元になっている感情・思考・行動のパターンを変えていきます。

この「受容」を柱とするマインドフルネスは、東洋の思想を取り入れています。そのため、日本でも比較的受け入れられやすいメソッドだといえるでしょう。

DBTは「受容」をベースにした誰にでもできる方法

DBTは、傷つきやすい方や生きづらさを感じている方にとっても、取り組みやすい方法です。

そもそも、DBTは境界性パーソナリティ障害の治療のために開発されたもの。境界性パーソナリティ障害とは、感情を刺激されると、圧倒されるような感情に飲み込まれてしまい、元の安定した情緒になかなか戻ることができないという症状が特徴です。

そのせいで衝動的な行動をとったり、人に強く当たってしまったりするため、対人関係をうまく築けない傾向にあります。

DBTの原著は専門的な内容でとても難しく、自力で読める方はほとんどいません。しかし、『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』では、DBTの主要なポイントの大半をカバーしつつ、実際に取り組みやすいように具体的に紹介しています。そのため感情のコントロールが難しい、と感じる多くの方に役立てていただけるでしょう。

感情コントロール術の具体例をご紹介

モヤモヤや不安を解消できる行動リストを2つ紹介します。

  • 食事中にスマホをいじらない
  • 友だちの会話を遮る

食事中にスマホをいじらない

友だちに言われて傷ついたことを思い出したり、将来のことを悪く想像して不安になったりしたら、「ひとつのことだけに集中する」ことを意識します。

食事は食べることだけに集中。スマホを見ながらだとSNSからの情報がきっかけとなって、イヤな気持ちを引き起こすことも多いのです。

お箸でおかずをつかんだら、まずはその見ためや香りを確かめます。ひと口ずつ口に入れたら、ゆっくり噛みしめながら味や感触を楽しみます。最初は難しいかもしれませんが、何度でも今に戻って集中しなおせば大丈夫。

ひとつのことに集中することで、思い込みから開放され、過去のモヤモヤや未来への不安に振りまわされにくくなります。

友だちの会話を遮る

友だちからの誘いを断ることが苦手な人は、うまく断れるようになるための練習をしましょう。

カフェで友だちとおしゃべりしているとき、友達の話をいったん遮って「飲みものおかわりする?」と聞いてみる。

最初はちょっと勇気がいるかもしれませんが、やってみたら意外に簡単。相手もとくに気にせず、怒ることもないと思います。

感情のコントロールが苦手な人は、断ることが苦手な傾向にあります。だからこそ日常のちょっとした断る経験を積み重ね、「断っても大丈夫」ということを体験していきましょう。

相手の希望を尊重しながら、自分の望みを主張することが、いい対人関係を築くコツです。

まとめ

自分の心の状態を知ってコントロールする習慣を身につけることで、苦しみを引き起こしている感情・思考・行動のパターンを変えることが可能です。

その手法として用いられているDBTは、まだ認知度が低い方法ですが、アメリカでは人気を集めています。ぜひDBTを活用して、自分のメンタルヘルスを行ってみてください。

メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』では、気持ちが不安定になったり、まわりの人に強い感情をぶつけたりするのではなく、自分の心をコントロールできるようになる30の行動リストを4コママンガとともにお届けしています。

心を落ちつかせ、今を大切に過ごしましょう。


メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習 著:須田賢太 / マンガ:まるいがんも

メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習

著:須田賢太 / マンガ:まるいがんも
定価:1,250円(税込1,375円)
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アメリカで生まれたDBT(弁証法的行動療法)という、境界性パーソナリティ障害に効果があると世界で初めて科学的に立証された治療法を、わかりやすく噛み砕いて、実践しやすい内容で紹介しています。